2008年6月30日

『天才数学者はこう賭ける』 を読んで



400ページを超える厚い本で冗長な部分が多く、エッセンスを抽出するのが難しい本でした。もっと要点を短くまとめてくれたら読みやすかったのにと思います。

今から40年以上も前に天才数学者たちがギャンブル必勝法を真面目に研究し、実際にラスベガスのカジノで実験を行って成果を上げたとか。カードカウンティングをすればブラックジャックで客側に有利な状況になる、すなわち客側にエッジ(分)があることを発見し、期待リターンを最大にするために、エッジの大きさに応じて持ち金の何%を賭ければよいかを算出する「ケリー基準」が考案されました。

このケリー基準を株式投資に応用して、19年間にわたり市場平均よりも大幅に小さいリスクで、市場平均を大幅に上回る平均15.1%ものリターンをあげたプリンストン・ニューポート・パートナーズというファンドの存在は、効率的市場仮説の反証としてかなり強力なものかもしれません。

ただ、ケリー基準を有効に使うためには、エッジの存在とその大きさを正確に知る必要があり、その多くはインサイダー情報から得られるものと推定すれば、結局はセミストロング型の効率的市場仮説と矛盾するわけではないような気もします。

いずれにしても、パッシブ運用中心の投資家にとっては他人事と思って、天才たちの真似をしようなどとは考えないのが吉でしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿