日本がどんどん住みやすい国になり、「もう、日本人は海外に行きたくなくなったし、海外のことに興味がなくなった」状態を「パラダイス鎖国」と名付けた方の著書です。
まず、日本は「パラダイス」つまり「楽園」と呼べるほど住みやすい国かなあという疑問が一つ。たしかに国内市場がそこそこ大きいので、国内の寡占企業にとってパラダイスであるという面は否定しませんが。
それから、「海外のことに興味がなくなった」のではなく、情報やお金の流れに国境がなくなったことで、海外が国内とは異なる特別な場所だという意識が薄れたと見ることもできるのではないでしょうか。私は海外にも普通に興味を持っていますが、それは私が地球上に住む地球人として地球全体に興味を持っているからであり、現在たまたま住んでいる日本という国の国境の外に存在するからといって、何か特別な意識があるわけではないです。
特に、国際競争力の国別比較で日本の凋落ぶりを嘆いているところでは、このボーダレス時代に国別対抗戦の成績を気にして、他国に勝つための方法を一生懸命考えてどんな意味があるのかなあ、という思いを強くしました。
日本国政府、日本企業、日本人に対してもっと批判的な内容を想像していたのですが、楽観的で前向きな提案が多く、希望を捨てていない若者に元気を与える反面、優等生的で面白みに欠けるとも言えます。また、提案の多くは机上の空論というか、実現可能性が低いように感じました。たとえば、保守的な日本の政府や企業が近い将来「プチ変人」を受け入れるような方向に変質を遂げるとは、とても想像できないです。
私も10年前この本を読んだことがあります。
返信削除日本が豊かになって今の若者が昔ほど欧米というか海外に憧れがなくなってきたといったことだったと思います。この点に関しては共感しました。