2008年10月3日
『国債は買ってはいけない!』
『偽善エコロジー』の著者が書いた経済の本なんですが、この本はちょっとお勧めしがたいです。リンク貼っておいて言うのもなんですが。(笑)
いかにも過激な「えっ!?」と思わせるような持論で読者の興味を引こうとするやり方は、『偽善エコロジー』と似ています。たとえば、
・100万円の国債を買うと、最終的に205万円の赤字になる。
・時代の変化や加齢による生活レベルの上昇を加味した実質的な物価上昇率は、年率10%である。(だから、貯めておいたお金はすぐに腐る。)
・原油価格が200ドルになると日本の物価は10倍になる。
・年率14%のファンドがあるとすると、そのうちまともな利益は3%ぐらいであり、残りの利益は「もともと他人が受け取るべきお金をかすめ取った」ことになる。
・日本にはお金が余っているので、タヌキしか通らない道路を作るほうがドブに捨てるよりはましである。
・もし日本の会社がすべて無借金会社になったら、銀行は借り手を失い、庶民は預金というものができなくなる。
しかし、これだけ大げさな主張であるにもかかわらず、裏付けとなるデータは少ないしロジックも何だかテキトーな感じです。読めば読むほど頭の中に?マークが増えていきます。すんなり納得できたのは第5章のごく一部、株の話ぐらいです。
結論としては、経済の本に見せかけて実は道徳の本だった、という評価が妥当ではないかと。
・額に汗して稼ぐのが正しい。
・ファンドはいかがわしい商売である。
・投機は「どろぼう」と紙一重である。
・自分の損得は考えずに他人に献身すべきである。
というような、著者の道徳的価値観の記述が随所にちりばめられていて、うんざりしました。
久々に、読んで損したと思った一冊でした。
なお、日本社会に根強く残っていると思われる「額に汗して~」的な価値観については、私は次のブログ記事と同意見ですのでリンクさせていただきます。
FIFTH EDITION: 「額に汗して働く人が報われる社会を!」の不思議
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