エピローグより:
自動車保険金は出ないのが普通です。損保からの賠償金の提示額は、作為的に安く構成されています。したがって、あなたが事故に遭いますと、泣き寝入りしない限り、まず九分九厘、相手損保とトラブルになると思ってください。私も過去20年ほどの間に3回被害事故に遭いましたが、これは真実です。最初から満足のいく金額が提示されたことは一度もありません。被害を最小限に抑えるには、交渉して何とか妥協できるラインまでもってくる作業が必要になります。
示談の際、本書に書かれているような最低限の知識がなく、プロが言っているのだからそういうものだと思い込まされて、最初の金額をあっさり受け入れてしまう人が多いのだろうと想像します。そういう無知で無抵抗な被害者こそが、保険会社にとっては美味しい利益の源泉なのです。
プロが無知な素人をカモにする構図は金融業界と同じですね。
無知が高くつくのはこの世の常です。
こっちがだめなら、あっちで攻める。保険金の不払いのためなら、手段や理屈を選ばない。確かに被害者から見たら非常に狡猾なやり口です。実際にやられたら腹も立つでしょう。
これが損保のやり口です。
でも冷静に考えたら、株主会社として合理的に行動しているだけだと気付きます。株主や契約者として関わるだけならば、むしろ良い会社です。コストを抑える努力があればこそ、保険料を安くできるのですから。コストを下げる努力を怠り、営利を追求しない保険があったとして、それが良い保険であるとは思えません。たとえば公的年金などが悪い見本です。
著者はあくまでも被害者の利益のために、損保憎しの姿勢を貫いて弁護活動をしてきた様子がうかがえます。弁護士の鑑だと思います。
ですが、何事もやりすぎると裏目に出ます。
asahi.com(朝日新聞社):「事故で寝たきり」とウソ、賠償請求 東京の弁護士懲戒 - 社会:
第一東京弁護士会は27日、依頼人の交通事故の後遺症を誇張したとして、加茂隆康弁護士(61)を業務停止4カ月の懲戒処分とし、発表した。「手段や理屈を選ばない」のは著者自身も同じだったようです。
参考記事: 読書(自動車保険金は出ないのがフツー) - 早期リタイア公務員の優雅な毎日 - Yahoo!ブログ