2008年8月28日

『ディープエコノミー』



果てしない経済成長が人々に幸福をもたらすとは限らないという事実、ピークオイルや気候変動により経済成長が物理的限界にぶつかるであろうという事実を示し、効率最優先のグローバル経済から地産地消型の「地域経済」への転換が必要であると説きます。
一般的に一人当たりの収入がおよそ一万ドルまでなら、一貫して幸福は金で買うことができるが、それを超えると相関関係はなくなるという研究者の報告がある。
1万ドル≒110万円ですから物価の高い日本ではもう少し閾値が高くなりそうですが、世界的にはこの程度の閾値を超えるとお金の効用が急激に下がるということは想像できます。

ピークオイルとは、石油産出量がピークに達して減少に転じることです。その時期については2005年だったという説もあれば、2020年以降という楽観的な予測もあります。いずれにしても遠い将来の問題ではなさそうです。化石燃料は長い時間をかけて蓄積された奇跡の産物であり、ハイテク技術に支えられたバイオ燃料でさえ、そのエネルギー収支比は化石燃料の足元にも及ばないことから、
化石燃料の世界からバイオマスの世界へ移動するということは、エデンの園から塀の外へ出て行くようなものだろう。額に汗して暮らさなければならないはずだ。
化石燃料は法則に対する例外で、成長という一度きりの浮かれ騒ぎを引き受ける一度きりの恵みだ、というほうがふさわしいように思える。
と表現しています。

つまり、あらゆるモノが長い距離を移動して消費者に届く現在のグローバル経済は、化石燃料のような奇跡的に安価なエネルギー資源に恵まれたおかげで成り立っているとも言えます。その奇跡の終焉に備えて、地域経済を再生する方向に少しずつでも舵を切っておく必要があるという主張が本書の核心なのですが、なかなか説得力があると思います。その結果として生産性が下がり経済成長にブレーキがかかることは避けられませんが、それは決して不幸なことではなく、むしろ地域との絆が人々を幸福にするという楽観的な見方をしています。

アマゾンのレビューに書かれている通り、翻訳の品質が今ひとつなのが残念です。

経済成長は持続するという前提を信じるインデックス投資家としては、精神衛生に良くない一冊かもしれません(笑)。

2008年8月27日

iPhone 3G の最低月額料金

ソフトバンクのプレスリリースより:
その結果、iPhone 3Gの最低月額料金も、従来の2,990円が2,324円に値下げとなります。
発売当初の7,000円超の料金から見ると随分安くなったものです。

それでもまだ27,888円/年かかります。やはり本体価格より高いことに変わりありません。

また、パケット通信料を下限に抑えるには使い方に工夫が必要になり、色々と神経を使うみたいです。詳しくはこちらのブログへ。

2008年8月26日

『プラネテス』



1話から26話まで一気に見ました。
原作は読んだことがなくアニメから入りましたが、これは名作だと思います。

2008年8月21日

ソフトバンク812SHのTVコール発信規制方法

スパボ一括6,800円で購入したソフトバンクの812SHという携帯電話、現在は老親にトランシーバー代わりに持たせているのですが、発信ボタンを長押しするとTVコール発信になる詐欺仕様、いや失礼、若者向け仕様の機種なのがよろしくありません。

何とかしてTVコール発信できないようにしておかないと安心できない・・・しかしマニュアルには載っていない、ということで検索したら裏技的な方法が見つかりましたのでメモしておきます。

Googleキャッシュに保存されている2ちゃんねる過去ログからの情報です。
【TVコール発信規制の手順】
設定→通話/TVコール設定 メニュー下で下記の順に設定する
(1) 留守電設定(留守番・転送電話→留守番電話→設定)
(2) 国際発信全規制(発着信規制→発信規制→国際発信全規制)
(3) 全発信規制(発着信規制→発信規制→全発信規制)
(4) 留守電解除(留守番・転送電話→留守番・転送停止)


2008年8月20日

ブログ通信簿

今更ですがブログ通信簿もらってみました。

tushinbo_img.png

なんだか平凡でつまらないですね・・・。経済評論家はお断りします(笑)。

2008年8月19日

『不況のメカニズム』



以前読んだこの本で絶賛されていた本です。ケインズの「一般理論」の何が正しく何が誤りであるかを解き明かしています。時間の都合で、最後のほうだけ読みました。

好況期には市場原理に基づく自己利益の追求が経済全体の効率を上げるのに対し、
非自発的失業のある不況期には、「合成の誤謬」が成立し、市場原理に基づく自己利益の追求だけでは、経済全体の効率はかえって下がる。このとき、市場制度がうまく働いて真の効率化に結びつくようにするには、まず失業を減らさなければならず、それにはコストがかかって無駄だと思えるような政策でもする必要がある。
とのことで、公共事業が大好きな日本の政治家が喜びそうな結論になっています。でも、失業で困っていない大多数の人はこんな政策を支持するわけないですね。
したがって、富裕層か貧困層かという特定集団への利益誘導型の政党ではなく、国民全体の経済価値を追求する真の意味での効率追求政党が必要なのである。
我々は囚人のジレンマと同じ状況に陥っているというわけです。このジレンマを解決する手段として、民主主義というシステムは役に立たないような気がしています。長引く不況が解消されるには、まだまだ長い時間がかかるのではないでしょうか。

2008年8月18日

『「無税」入門―私の「無税人生」を完全公開しよう』



会社員にもこんな簡単な節税法があったとは知りませんでした。もっと早く知っていたなら、間違いなく実践していたと思います。今となってはこの知識を活用できないのが残念です。

簡単に言えば、副業の所得を雑所得ではなく事業所得として申告し、その赤字を給与所得と相殺するという方法です。副業の所得が事業所得として認められるか否かがポイントになりますが、意外にも税務署の回答は「納税者が自分の認識で決めてください」だそうです。

こういった税制の欠陥を上手く利用して、合法的に900万円の所得税を浮かせてきた筆者の実績に拍手を送りたいと思います。

もちろん、この節税法が広く知られて実践する人が増えると、いずれは穴が塞がれることになるでしょうね。そうなったらなったで、税制の歪みを修正するのに貢献したと思えばいいのです。

2008年8月16日

『大人の投資入門』



現在40代以下の世代が将来必要とする老後資金と公的年金から得られるであろう資金との差、いわゆる「年金ギャップ」を埋めるための「私的年金ファンド」のススメとその具体的運用法について解説しています。

上記世代に該当する方で老後が不安な方には一読に値する良書だと思います。

読んでいて気になった点を少し。

「経済的にゆとりのある老後を送るためには、夫婦で月38万円必要」→不思議とよく目にする数字ですが、そんなに何に使うの?といつも思います。夫婦二人だけで家賃15万円ぐらいの賃貸住宅にでも住むという前提なのでしょうか。
将来の運用結果が正確にはわからない---これは資産運用や投資にはつきものの宿命です。
しかし、大切なことは、これらの「4資産」で運用することにより、インフレ率を上回る収益が得られることはほぼ確実である、ということです。
「ほぼ確実」とまで言い切っていいのかどうか・・・どの程度の確からしさであるかを具体的に示してほしかったです。
日本の国営・投資ファンドである「政府年金投資ファンド(GPIF)」は、このオルタナティブ投資をまったく行っていないのに対し、カルパースをはじめとする欧米の主要年金基金は、十数%から30%程度を4資産以外のアセットに投資しています。
実は、ポートフォリオの組み方には、黄金律とも言える至高の手法があります。
それは、「値動きが相互に関係しないアセット(資産)クラスを組み合わせる」ということです。
この考え方に従って、世界の有力年金基金やアメリカの知性を代表する有名大学は、「オルタナティブ(代替的)投資」を行っています。
(中略)
このため、これらの「オルタナティブ投資」をポートフォリオに加えることで、分散効果----リスクを抑え、リターンを上げる効果----が得られるのです。
せっかくここまで読んで期待が高まったのに、オルタナティブ投資の有無によってリスクとリターンにどの程度の違いが生じるのか、具体的な数字が出てこなかったのが残念です。
このように、私たち普通の市民は、単純に1万円ずつ購入するということ「定時定額投資法」を実践することで、仕入れを安くし、利益を確実に手にすることができるのです。
「確実に」は明らかに言い過ぎです。また、ここで登場する2000年1月~2007年7月のTOPIXのチャートは、ドルコスト平均法が最も有利になる条件に見事に一致しています。自説に都合の良いデータだけを抜き出したと言われても仕方がないと思います。
世界全体の市場に追随するという考え方からすれば、「国内株式」を日本の株式時価総額が世界に占める割合である15%とし、残りを「外国株式」で運用するということも考えられます。
しかし本書では分かりやすさと運用の簡易さを重視して、『私的年金』を「国内株式」と「海外株式」を50%ずつで運用するものとします。
ポートフォリオ理論から市場全体を買うことが最適だと論じているのに、ここにきて急にアバウトな展開になってしまうのがもったいない・・・。と不思議に思いつつ読み進めると、最後のほうにちゃんと理由が書かれていました。
『私的年金』の資産配分を「国内株式」と「海外株式」を50%ずつとしたのも、日本経済の発展を私たち普通の市民の投資で応援したい、という筆者の思いが込められています。
気持ちはわからなくもないですが、これは蛇足ですね。アセットアロケーションは感情ではなく理論に基づいて決定したいものです。

2008年8月15日

『パラダイス鎖国』



日本がどんどん住みやすい国になり、「もう、日本人は海外に行きたくなくなったし、海外のことに興味がなくなった」状態を「パラダイス鎖国」と名付けた方の著書です。

まず、日本は「パラダイス」つまり「楽園」と呼べるほど住みやすい国かなあという疑問が一つ。たしかに国内市場がそこそこ大きいので、国内の寡占企業にとってパラダイスであるという面は否定しませんが。

それから、「海外のことに興味がなくなった」のではなく、情報やお金の流れに国境がなくなったことで、海外が国内とは異なる特別な場所だという意識が薄れたと見ることもできるのではないでしょうか。私は海外にも普通に興味を持っていますが、それは私が地球上に住む地球人として地球全体に興味を持っているからであり、現在たまたま住んでいる日本という国の国境の外に存在するからといって、何か特別な意識があるわけではないです。

特に、国際競争力の国別比較で日本の凋落ぶりを嘆いているところでは、このボーダレス時代に国別対抗戦の成績を気にして、他国に勝つための方法を一生懸命考えてどんな意味があるのかなあ、という思いを強くしました。

日本国政府、日本企業、日本人に対してもっと批判的な内容を想像していたのですが、楽観的で前向きな提案が多く、希望を捨てていない若者に元気を与える反面、優等生的で面白みに欠けるとも言えます。また、提案の多くは机上の空論というか、実現可能性が低いように感じました。たとえば、保守的な日本の政府や企業が近い将来「プチ変人」を受け入れるような方向に変質を遂げるとは、とても想像できないです。

2008年8月14日

『臆病者のための株入門』



2年ほど前に読んだので今更な気もしますが、これだけの良書のレビューを書かないわけにはいかないのでもう一度借りてきました。

資産運用の初期段階で、情報の洪水の中から本書のような良書に出会えるか出会えないかで、その後の運命がまったく違ってくると言っても過言ではないと思います。

ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理』はインデックス投資のバイブルと言われていますが、分厚くて読破するのがなかなか大変な翻訳本であることも事実です。

その点、本書は日本人が日本語で、インデックス派から見れば異教徒であるデイトレードや、バフェット流の個別株長期投資にも幅広く言及した上で、インデックス投資の経済学的合理性をわずか229ページの中にまとめています。

以下、印象に残った記述を引用しておきます。
株式投資はギャンブルである。でもそれは、たんなる賭け事ではない。素人でも大きな果実を手にすることができる、世界でもっとも魅力的なギャンブルなのだ。
テクニカル投資というのは、簡単にいえば、株価チャートから未来の株価を占う技法である。私は、広い世の中にそうした秘儀が存在する可能性を否定しないが、次のことだけは断言できる。
チャートで儲ける方法が無料の株式セミナーで教えられていたり、近所の書店で売っている株の入門書に書いてあることはぜったいにない。
バフェットがアナリストを嫌う理由は、彼らが投資家に損をさせているからである。なぜなら、彼らの予測はぜんぜん当たらないのだ。
自分自身に投資家としての適性があるかどうかを、簡便な方法で知ることができる。
宝くじを買って億万長者になろうと夢見ていたり、競馬や競輪で生活しようと考えているのであれば投資はやめたほうがいい(ゲームとして楽しむのならこのかぎりではない)。投資用にワンルームマンションを買っているひともかなりあぶない(高額所得者が税金対策と割り切るなら別)。こういうひとは、ギャンブルでいちばん大事な期待値の計算ができていないからだ。
私はべつに、毎月分配型ファンドが金融商品として問題があるといっているわけではない。現在の日本の税制に照らせば、元本部分を取り崩して分配するファンドは、投資家が自らすすんで余分に税金を支払うためにのみ存在する、という事実を指摘しているだけだ。
金融市場は人生を豊かにする機会を私たちに与えてくれる。リタイアすれば、ひとはだれでも一人の投資家として生きていくほかない。
そのとき、まずはじめに知っておくべきことがある。
投資は偶然性に左右されるゲームであり、確実に儲かる方法などどこにも存在しない。だが、確実に損をする方法ならいくらでもある。
金融リテラシーは、投資家が身を守るための唯一にして最大の武器なのである。


2008年8月13日

『みんなの意見は案外正しい』



本書の核心と思われる記述を引用します。
正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮するし、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力よりも優れている。優れた集団であるためには特別に優秀な個人がリーダーである必要はない。集団のメンバーの大半があまりものを知らなくても合理的でなくても、集団として賢い判断を下せる。
ここで「正しい状況下では」という条件付きであることがポイントで、状況しだいでは全く逆の結果になることもあります。

その条件とは、多様性と独立性です。
集合的にベストな意思決定は意見の相違や異議から生まれるのであって、決して合意や妥協から生まれるのではないから、多様性と独立性は重要だ。認知の問題に直面した賢明な集団は、メンバー全員にとってハッピーな結論に到達するべく、各人に意見を変えるよう求めたりしない。その代わり、市場価格や投票制度などを使って集団のメンバー個人の意見を集約し、集団全体としてみんなの意見を明らかにするよう試みる。逆説的な感じもするが、集団が賢い判断をするためには、個々人ができるだけ独自に考えて、行動することが不可欠である。
和を重んじる日本社会では特に、実際に上記のような条件が満たされる場面はほとんどない気がします。私の会社員時代にも、会議で上司に異議を唱えれば嫌な顔をされ、自由にものが言える雰囲気とは程遠かったことを思い出します。

市場による価格形成のメカニズムは、市場参加者の多様性と独立性のおかげで適正価格が保障されていると言えます。たとえば、株価の暴落を防ぐ目的で空売りを規制したりすると、多様性という条件が失われて適正な株価から大きく乖離することがあります。身近なところではライブドア株の狂乱相場などは、まさに空売り規制によって作り出された市場の歪みだったわけです。

2008年8月12日

国民年金免除の損得

早期リタイア後の懸案事項の一つは国民年金です。

ほとんどの場合、失業者、低所得者として免除申請すれば全額免除になるはずです。私の場合も既に全額免除2年目に入りました。

年金の損得勘定は死亡年齢によって変わってくるので混乱しがちで、免除を受けると将来の支給額が減額されて損をする、という類の漠然とした誤解が世の中に広まっているフシがあります。

しかし、国民年金の免除制度は最大限に利用して、可能な限り保険料の支払いを回避するのが合理的な選択だと考えます。というのは、国庫負担分を除いた国民年金のコストパフォーマンスがよろしくないからです。(現在の年金制度の存続自体が危ういという問題もありますが、ここでは敢えて無視します)

具体的な金額をこのページで試算してみました。

たとえば、20歳~40歳までの20年間、保険料総額3,458,400円を支払い、残りの20年間を全額免除の場合、528,066円の支給額となります。

40年間満額の保険料である総額6,916,800円を支払った場合、792,100円の支給額となります。

つまり毎月14,410円*240ヶ月(総額3,458,400円)の積立てのリターンが、年額264,034円の年金ということになります。これが国庫負担分を除いた国民年金の純粋なコストパフォーマンスです。この投資を回収するには、65歳から13.1年、つまり78歳まで生存する必要があります。男性の平均寿命とほぼ同じでしょうか。ということは平均的には損も得もしない、すなわち期待リターンはほぼゼロと言えます。

女性の場合は平均的に85歳まで生存するとして、20年間のリターン総額は5,280,680円となりますが、それでも年率換算で2.1%程度のリターンです。

以上の試算から、免除の資格がありながら申請しなかったり、せっかく免除になったものを追納したりするよりは、同じ金額を債券やETF等で運用するほうが合理的であるとの結論に至りました。

2008年8月10日

原付2種の旅

セカンドバイクのアドレスV125で四国地方をツーリングしてきました。

3つある本四連絡道路の中で、唯一原付で走行可能な「しまなみ海道」の7つの立派な橋を渡るのが、今回の旅のメインテーマです。車や大きなバイクで自動車専用道路を渡ってしまうと数千円レベルの出費となりますが、自転車・原付の通行料金は橋ごとに10円~200円の料金設定なので全部で510円しかかかりません。

渡るほうからすればコストパフォーマンス抜群なのですが、投資効率の著しく低い近視眼的な道路行政の典型を見た気がします。莫大な建設コストと維持コストは未来永劫回収されることなく、国民が負担することになるでしょう。

総走行距離: 1,276km
ガソリン消費量: 27.15L
平均燃費: 47.0km/L

この燃費ですからガソリン価格まだまだ上がっても大丈夫です。暑くて邪魔な四輪車が少しでも道路から減ってくれればありがたい(笑)。

旅先でネットにアクセスすることを想定して、先日購入したUSBメモリを持参したのですが、結局使う機会はありませんでした。のんびり旅をするときぐらいネットのことは忘れたほうがいいかもしれませんね。

yamagoe讃岐うどんの有名店「山越」のかけうどん

elevatorバイクごとエレベーターに乗って馬島へ降下中

tatara大三島側の展望台から多々羅大橋を望む