2016年2月27日

付加年金の損益分岐点は2年、とは限らない

以前から、国民年金の付加年金について「2年で元が取れる」という内容のブログを見かけるたびに違和感がありました。最近だとこれとかこれとか。
セミリタイアと付加年金セミリタイアをするために仕事を辞めて副業やアルバイトと考える人は多いと思います。そこで、仕事を辞めると厚生年金から国民年金に切り替わるわけですが、セミリタイアに向け国民年金を免除する方は別ですが、国
semiritaia.net
老後のお金の心配は尽きないと思います。どんなにお金が有っても、それなりに心配かもしれません。そこで、アーリーリタイアしたら国民年金の付加保険料を支払えば、年金を増やすことができます。一ヶ月の付加保険料は、400円です。それに対する付加年金額は年間200円です。つまり、2年間で支払った分を回収できます。45歳でアーリーリタイアして、そのあと15年間付加年金保険料を支払うと保険料は400円×12ヶ月×1...
freefreefree2.blog.fc2.com
今回はこの結論に「ちょっと待った!」をかけるべく記事を書き始め、念のために日本年金機構公式サイトを見てみたところ…
付加保険料を納めた分は、2年間でモトが取れます!
そのものズバリの売り文句が書いてありました。(^_^;)
ブロガーさんのせいじゃありません。失礼しました。

公式サイトにも明記してある通り、付加年金は国民年金本体と違って物価スライド制ではなく定額制です。わかりやすくていい? 確かに、現時点での見込み額しかわからず、将来変動する可能性がある厚生年金や国民年金に比べ、支給額が「200円×付加保険料納付月数」に確定しているので、具体的な金額が簡単に計算できます。不確実性を嫌う人間の脳には大変心地よい設計になっているのでしょう。

しかしですよ、支払いから受け取りまでの年数が長い場合ほど、受け取り金額が確定している事は無視できないリスクになります。たとえば満額支払った場合に受け取れる40年後の年額96,000円の現在価値は、今後40年間のインフレ率によって変動するからです。インフレが進むなら40年後の96,000円の現在価値は96,000円より低くなりますし、逆にデフレなら高くなります。

つまり、「2年間でモトが取れます!」という売り文句はインフレリスクを完全無視して計算した机上の空論であり、受給までの年数が長い40代以下の世代の人にとっては、「そうなる可能性もある」程度の意味しかないと思います。敢えて加入するなら、インフレリスクはすべて加入者が負う事を理解しておく必要があるでしょう。

参考記事:
社労士の方に訊きます、付加年金って詐欺ですよね。国民年金法第43条44条に定める付加年金は、同法第27条(の一から五)の物価スライドが適用されない定額制なので、今の20歳から付加年金かけるとしても65歳時点の物価しだいでカスみたいな金額になりかねませんよね。国民年金法により徴収開始昭和61年4月の国民年金保険料は100円か150円で、たしか付加年金保険料は昭和45年10月から開始した制度で、当時は350円でしたよ...
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2016年2月23日

生涯現役は最弱の人生設計

橘玲公式サイトより。
週刊誌の記事なので長文ですが、既にツイッターで言及した通り、明確に突っ込みたいポイントが記事の最後の方に出てきます。
それに加えて、ここでは日本人の老後を人的資本から考えてみたい。
(中略)
老後問題の本質は、老後が長すぎることにある。だったら、不安をなくすには老後を短くすればいい。
(中略)
医療技術の進歩と健康志向の定着で、これからは100歳でも元気な老人が当たり前になってくる。そう考えれば、「定年後の悠々自適」は破滅への道だ。高齢化社会の最強の人生設計は、生涯現役(生涯共働き)以外にない。じゅうぶんな人的資本があれば、「国家破産」など恐れることはないのだ。
(中略)
すべての日本人が80歳を過ぎても「活躍」しつつづけることが、ゆたかな未来をつくっていくのだ。
橘さん独特の人的資本論は健在のようですが、「資産防衛術」という見出しからは想像もできなかった、まさかの「生涯現役」で記事が締めくくられているのには驚きました。

人的資本を金融資本と同列に扱う彼の持論には、7年前から一貫して違和感を持ち続けています。
関連記事:
昨日の記事 で紹介した『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』では、安定した給与収入を生み出す自分自身という人的資本を、1億円程度の現在価値をもつ「サラリーマン債券」とみなす考え方が出てきます。 確かに面白い考え方だとは思いますが、一晩考えた結果、私はこれは誤りであるとの結論に至りま...
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図書館で予約してから数ヶ月待ちでやっと回ってきました。 「はじめに」から引用。 資産運用は金儲けの手段ではなく、人生における経済的なリスクを管理するためにある。 その通りです。 ネット上でも時々「結果的に儲かればどんな手法で資産運用しても構わない」みたいな乱暴な意見が見られるのは...
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金融資本があてにならないなら人的資本を最大限活用して補完すればいいという理屈は、両者が同質のものだと思える人なら腑に落ちるのかもしれませんが…。

人的資本からリターンを得るためには、殖やしたくても殖やせない時間という有限なリソースを労働に注ぎ込む必要があるのだから、生涯現役という生き方は最強どころかむしろ最弱の人生設計じゃないでしょうか。生涯現役とは対極の、まったく働かずに金融資本だけで一生遊んで暮らす方こそ、人生の可処分時間が最大化された最強の人生設計だと思います。

それと、「老後が長すぎるので短くすればいい」についても違和感あり。
この記事では「老後」を「リタイア後」と同じ意味で使っているようです。生涯現役なら老後はどこかに消えて無くなるという理屈です。

しかし、人がいつリタイアするかと、人がいつ老いるかは別です。老いる前にリタイアする人もいれば、老いてもリタイアしない人もいます。リタイアを遅らせれば現役生活が延びてリタイア生活は短くなりますが、それとは無関係に肉体的・精神的な老いは容赦なく進行し、平等に「老後」を迎えます。生涯現役とは老後も働き続ける人生設計にすぎません。

老体に鞭打って働くことが最強ですか? そこまでして得られるものは何でしょうか。経済的に破綻する確率が限りなくゼロに近付くという安心感ですか? それはゼロリスク症候群という名の病気かもしれませんよ。

人生には経済的リスクだけではなく、時間的リスクもあります。人生の可処分時間が足りなくなるリスクを度外視して、経済的リスクだけをゼロに近付けようとする戦略で本当にいいのでしょうか。
関連記事:
これは「働き方」の本だから無職の私にはもう関係なさそうかな、と想像してましたが、読んでみたら共感できるところがたくさんありました。働き方も含む「生き方」を考えるための本だと思います。 人生の有限感 ジョブズ氏だけでなく起業家には、この「人生は有限だ」という感覚を強くもっている人が...
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前回の記事、 リタイアに型というものがあるならば に次のようなコメントがありました: 人間には寿命があるのですが、その寿命がいつ尽きるのかは誰にも分からないのが問題なのでしょう。 自分はいつ死ぬか分からない。 しかし、資産は確実に減っていく。 寿命が尽きる前に資産が尽きてしまった...
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2016年2月11日

低金利だと老後は貧しくなるのか?

竹本さんのブログより。
(最近の「週刊誌の見出し」も「書籍のタイトル」も、こんな表題の付け方が流行ってますね?。   → マネてみた(^_^;) ) ============================ ゼロ金利にマイナス金利!
tak-tak-world.txt-nifty.com
以下の具体的な数字で、是非、感覚をつかんでください。
『 定年時に、貯金が3000万円ありました。
今後、毎月10万円、すなわち年120万円取り崩します。』
このときに、貯金は何年持つでしょうか?
ふむふむ。
定年退職だけでなく、早期リタイアにも応用できそうな試算ではありますが…。

さて、貯金金利! 3000万円を年120万円ずつ取り崩すと、
3%時代は、約45年間、保ちます! 
0%時代は、約25年間です!    
つまり、(親と自分が、同じような貯金と生活であったなら)
親より20年早く、貯金が底をつくっ!!
20年ですよっ、20年!
ここで言う「貯金金利」とは名目金利ですよね。

貯金金利0%時代はともかく、3%時代のインフレ率も0%だったのでしょうか? もしインフレ率が0%より高いのならば、取り崩す金額が「年120万円ずつ」のまま変わらないというのはおかしくないでしょうか…。

名目金利の差が3%で20年も違いが生じるなんて結果は、名目金利に関わらずインフレ率が常に0%に張り付いているケース、すなわち常に名目金利=実質金利であるという前提がなければ成り立ちません。これは余りにも非現実的な話です。

では実際はどうだったか。内閣府のサイトに過去60年の名目金利と実質金利のグラフがあります。
cz0303.gif

このグラフを見ると、過去の高金利時代では名目金利と実質金利がほぼ一致している時期のほうが例外と言えるんじゃないでしょうか。というかむしろ逆に、高金利時代ほど実質金利は下方に乖離している傾向が見て取れます。

実質金利は、1974年あたりの例外を除けば、名目金利の高低に関わらず常に0%近辺を行ったり来たりしているように見えます。名目金利とインフレ率には高い相関関係があり、高金利はインフレで相殺されるという理論通りの結果になっていると思います。

 こんな計算をするまでもなく、3000万円の貯金があって、6%の利息なら、これだけで180万円なんですよ♪ 年金額がこれくらいっていう人も多いと思います。だから昔はこの利息だけで、孫へのお祝いも食事代も賄えたのです。簡単なリフォームも軽自動車も買えたのです。
>>毎年毎年、利息だけで。。。。

だから低金利の今は、貯金を取り崩さざるを得ない、それも、上手く取り崩さなくっちゃ、豊かな老後がやってこない!
これ、よくある錯覚ですよね。
元本の額面が減っていなくてもその購買力は目減りしています。
人間の脳には、利息や配当などのインカムゲインを元本とは別の特別な収入だと思い込む奇妙な癖(メンタルアカウンティング)があることが知られています。この錯覚を意識して修正できるように訓練しておかないと、思わぬ罠にハマるおそれがあります。
関連記事:
Kotaroさんのブログより。 貯金を取り崩す生活は不安か soutai40.com 確かに、金利の一部だけを消費して生活できたら、元本は減らない。でも元本はいつ使うの?とわたしは思ってしまう。死んだ時に元本を丸々使わずに残ってしまう。こちらのほうがもったいないし残念だと思う。イ...
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2016年2月8日

リタイア生活に趣味は必要か?

ゆとり隊長さんのツイートより。
私もこのタイトルを見た時、ゆとり隊長さんと同じ感想を持ちました。

元記事はこちら。
自分は無趣味です 最初は仕事しなくていいことを喜んでいたのですが、 1年くらいで飽きました
semiritaia.hatenablog.com
自分は無趣味です
最初は仕事しなくていいことを喜んでいたのですが、
1年くらいで飽きました
私も自己紹介するときに趣味は○○です!と言えるようなものは何も無く、無趣味な人に分類されると思っています。
しかし仕事をしない生活は8年たっても飽きません。

リタイアの予定がある人には、
長い時間を過ごすのに最適な趣味を見つけることをオススメします
そうでないと無為に過ごしてしまい、私のように悩み続けることになります
ここまで読んで思ったのが、「無為に過ごす」ことを苦痛に感じるかどうかは、人によって大きな違いがありそうだなという事。

以前にも書いてますが、私は何もしない(ように見える)時間を過ごすことがとても好きなんですよ。関連記事:
その1 の続きです。 p.024 「生きてるからには仕事をしないともったいない」とか「何もしないのは人生を無駄に過ごしている」とか言う人が世間には多いけど、それは一種の宗教みたいなもので、なんかちょっと違うな―、と思う。仕事をするのも大事なことだけど、仕事をするために人生があるの...
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ところが、私とは正反対に、そういう時間の過ごし方をとても苦痛に感じるタイプの人も少なくないようです。例:ホリエモン。
人生の有限感 - Chikirinの日記 で紹介されていたのがきっかけで読んでみた本です。 堀江氏は小学1年生のときに「死の恐怖」をはっきりと自覚し、恐怖のあまり時折発作に見舞われたと言うのです。私がそれを意識し始めたのは既に人生を数十年も過ごした後でしたから、そんな若さで!と驚...
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これはもう、感性の違い、性格の違いと言うしかないと思います。

結論として言いたいのは、リタイアに向く向かないを判断するのに、趣味の有無はあまり関係が無さそうだという事です。無いよりは有ったほうがマシかもねって程度じゃないかと。

それより、暇な時間をどれだけ心地よく過ごせるかを気にしたほうがいいと思います。リタイアする前に全く何も予定を入れない数日?数週間を過ごす実験をしてみて、どういう感情が生まれるかじっくり観察するとかね。

なんとなく暇だなあ退屈だなあと感じる程度なら、たぶん大丈夫でしょう。あまりにも退屈になってくると、自然に何かを始めるかもしれません。義務感に駆り立てられてやるのではなく、ほかにやることも無いのでなんとなくやってます、みたいな時間の潰し方ができるようになればしめたものです。

そうではなく、湧き上がる感情が焦燥感に近いものになってきて、何か有意義なことをやらねば!と自分に義務を課し始めるようだと、リタイアに向かない危険な兆候が出ていると思います。

2016年2月3日

アンケートモニターを断捨離

お手軽にポイントが稼げるアンケートモニターですが、需給のバランスが崩れて以前ほどは稼げなくなってきました。

たとえばマクロミルの場合、アンケートが配信されてから「終了しました」に変わるまでの時間が異常に短い傾向が出てきました。半日持てば良い方で、2~3時間、下手をすると1時間未満で終了する案件もあります。アンケートの必要回答数と、配信される会員数のバランスが適正でないことは明らかです。

そうなると、ある程度のポイントを稼ぐためには一日中PCの前に張り付く必要があります(私はスマホを持っていないので外出先での回答はできません)。それだけ必死になっても1回の回答で稼げるのは数円?数十円程度。回答者の供給過剰によりデフレが激しくなっています。

マクロミルのマイページには過去の累計ポイント数や回答数が表示されるので、そこから時給を推計してみたところ、多めに見積もっても千円程度にしかなりませんでした。残り少ない人生の時間をこんな安い単価でお金に換えている場合ではないと、今更ながら気付いた次第です。

会員登録している4つのアンケートモニターの退会に向けて、まずは貯まったポイントの交換手続きを進めることにします。

参考記事:

2016年2月1日

Feedlyボタン設置

フィードリーダーをGoogle ReaderからFeedlyに乗り換えたのは、いつのことだったか…。
Google Readerのサービスが7月1日をもって廃止されました。 使い慣れたサービスだったのでギリギリまで使い続けてましたが、廃止直前にFeedlyへの移行を済ませました。2クリックであっけなく完了。 さようならGoogle Reader。今までありがとう! Feedlyの...
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2年半前でしたね。
もっと前から使っているような気がするぐらい、今ではすっかりFeedlyに馴染んでしまいました。

まさか今だにフィードリーダー使わずに、巡回先を一個ずつ訪問して更新の有無を目視で確認してる人、いませんよね…。それは途轍もない時間の無駄遣いなので、今すぐFeedly使い始めましょう。Googleアカウントにログインした状態なら、サインアップは瞬時に完了します。

今更ながら、当ブログにも左サイドバーに大きな [Follow on feedly] ボタンを設置してみました。「フォロー」なんて書いてますが、フィードを受信したいブログを自分のフィードリーダーに追加するだけのことで、ツイッターのフォローとは全くの別物です。追加された側に通知は来ないし読者のアカウントは特定できませんのでご安心を。

参考記事:
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iinamotto.com