2017年4月25日

早期リタイアを目指してるのに実際には仕事を辞めないって、意味なくない?

ちゅり男さんのブログより。
こんにちは。 自分がブログをやり始めてから、必然的に他の人のブログを拝見する機会が増えました。 株式配当金やGoogle adsenseなどの収入だけで暮らす生き方を目指している方も結構いらっしゃるようですが、私には(チキンなので)怖くてとてもできません。 今日はその理由について考えてみたいと思います。
shinkei807.hatenablog.com
これはずいぶん奇妙なタイトルの記事が目に飛び込んできたぞと思いました。早期リタイアを目標にしてる人に向かって、仕事を辞めないことを勧めるなんて思いっきり矛盾してるような…。

私が根本的にチキン野郎であるという後ろ向きな理由以外に、人的資本という観点から考えると仕事を辞めるのは資産形成においてどう見ても不利な選択だからです。
なるほど。
「資産形成」の観点に絞るなら確かに不利です。
しかしながら、(早期)リタイアというライフスタイルは基本的にその「資産形成」を終えた人が選択するものであって、リタイアした後はもう資産形成の観点から物事を考える必要はなく、人生の残り時間とにらめっこしつつ資産防衛や資産消費のフェーズへと移行していくものだと思っています。関連記事:
前回の記事 とよく似たことが書かれている記事がありました。 誠 Biz.ID:結果を出して定時に帰る時短仕事術:人生の前半では時間を売り、後半では時間を買う : 年を重ねてアルバイトをやったり、就職して会社に入ると、少しずつ自分が管理できるお金が増えていきます。結婚や家を買う、子...
yumin4.blogspot.jp


既に十分な資産形成ができているにもかかわらず、資産形成期に必要だっただけの理由を持ってきていつまでも仕事を辞めないのは、経済的リスクばかりに目が行ってしまって大事な目標を見失ってしまう「悪い例」のような気がしてなりません。

関連記事:
橘玲公式サイトより。 アベノミクスがコケても大丈夫! 臆病者のための「資産防衛術」2016〈週刊文春〉 | 橘玲 公式サイト www.tachibana-akira.com 週刊誌の記事なので長文ですが、既にツイッターで言及した通り、明確に突っ込みたいポイントが記事の最後の方に出...
yumin4.blogspot.jp
昨日の記事 で紹介した『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』では、安定した給与収入を生み出す自分自身という人的資本を、1億円程度の現在価値をもつ「サラリーマン債券」とみなす考え方が出てきます。 確かに面白い考え方だとは思いますが、一晩考えた結果、私はこれは誤りであるとの結論に至りま...
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2017年4月18日

名目賃金アップでインフレになると労働者は豊かになる? 貨幣錯覚について学べる教材

ツイッターを眺めていると、あるツイートが目に入ってきました。名目賃金と物価の両方がほぼ同じ倍率で上昇した世界の方が、(労働者にとって)かなりマシだと言っているようです。

いえ、そんなはずはありません。実質賃金は上がっていないので、控えめに言っても労働者の豊かさは変わりません。名目賃金上昇に伴う税コスト等の増加まで考慮すると、労働者は今より貧しくなります。既にcubさんやmotoさんが指摘されている通りですね。


元ツイートがリツイート回数1800超の人気を博している事実は、人々が「貨幣錯覚」から逃れることの難しさを物語っています。長い不況時代を過ごし、マスメディア等を通じて「デフレは悪」と刷り込まれてきた日本人には尚更その傾向が強いのかもしれません。
ja.wikipedia.org
人々が実質値ではなく名目値に基いて物事を判断してしまうこと。 本来、貨幣価値の変化を考慮した購買力によって判断しなければならない時に、金額を通じて判断を行なってしまうこと。


こんなツイートも500回以上リツイートされています。
その購買力がどう変化しているかを見ることなく、額面だけを見て800>430だから得だと判断する、これがまさに貨幣錯覚そのものです。

それぞれ手元に残ったお金であと何個ビッグマックを買えるか計算すればわかります。
前者:1.16個
後者:1.14個
手元に残るお金の購買力は増えていません。「どう見ても」と言いつつ見ているのは名目の数字のみで、実質で見ることを全くしていません。

貨幣錯覚は経済に疎い一部の人だけが陥る罠というわけではなく、人類の脳の奥深くに刻み込まれた認知の歪みであり、錯視と同じようなものです。一般人よりもお金の知識に富んでいるはずのFPの方でさえあっさりと貨幣錯覚にやられている例もあるので、この手の話が出てきたときは相当注意深く振る舞う必要がありそうです。

関連記事:
竹本さんのブログより。 ゼロ金利!親より貧しい老後生活になった理由を、簡単なグラフで説明しよう - tak-tak-world (最近の「週刊誌の見出し」も「書籍のタイトル」も、こんな表題の付け方が流行ってますね?。   → マネてみた(^_^;) ) ============...
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Kotaroさんのブログより。 貯金を取り崩す生活は不安か soutai40.com 確かに、金利の一部だけを消費して生活できたら、元本は減らない。でも元本はいつ使うの?とわたしは思ってしまう。死んだ時に元本を丸々使わずに残ってしまう。こちらのほうがもったいないし残念だと思う。イ...
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とよぴ?さんのブログより。 1年貯蓄・年7.388%だと…アラフォー世代が生まれた頃は投資を必要としなかったんや このツイートは、自分が生まれた頃の金融広告なのですが、2016年現在のマイナス金利の時代と40年前の高金利時代とではこうも違うんだなぁ~という感じです。※債権× 債券...
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2017年4月15日

「現役」の範囲を自由に拡大して年金制度を守るだけの簡単なお仕事

70歳までを「ほぼ現役世代」とし、この年齢まで働ける社会にすべきだ――。65歳以上 - Yahoo!ニュース(朝日新聞デジタル)
headlines.yahoo.co.jp
このようなニュースがあることを安西英雄さんのブログで知りました。
ツイッターで知ったのですが、 70歳までは「ほぼ現役」とする 提案がされているようです。 headlines.yahoo.co.jp このニュースに対して色んな反応がありますが、 個人的には「定年なんて自分で決めればイイじゃん」 としか思いません。
h1deo.hatenablog.com
このニュースに対して色んな反応がありますが、
個人的には「定年なんて自分で決めればイイじゃん」
としか思いません。
どちらにせよ私は政府や他人が決める定年は無視して
自分が必要な最低限度だけ働きたいと思います。
たいへん共感する考え方です。
何歳まで現役かを政治で決めようとするのは異常です。他にも似たような事例は山ほどありますが、政治が個人の領域にズカズカと土足で踏み込んでくるのはいい加減やめてもらいたいですね。

しかし定年の話しが出ると
「○○歳まで働かなければいけないのか…」
なんて反応がよくありますね。
嫌なら辞めればいいのに何が問題なんでしょう?
ツイッターを観察していると、確かに「○○歳まで働かなければいけないのか…」的な反応が多めですが、これって正確には「○○歳まで年金が貰えない流れになりそうので仕事を辞められないのか…」という意味なんでしょうけどね。つまり、生きていくためには働くか、年金を貰うかの二択しかないと考えている人が多いわけです。早期リタイア志向の人間から見れば信じられないことです。

このようにリタイア後の生活が公的年金制度に依存している人は、それが逃げ水のように遠ざかっていくだけでも人生設計の修正を余儀なくされます。ましてや、破綻でもしようものなら目も当てられません。一度きりの自分の人生、一国の政府に振り回されっぱなしで終わってしまうのは非常にもったいないことだと思います。

最後に元記事から引用。
70歳未満までを現役とすると、2065年に高齢者1人を現役世代1・3人で支えるようになるとの推計が1・8人となるといい、片山氏は「完全な『肩車型社会』にはならずに乗り切れる」と述べた。
無理やり感が半端ないですな。
こんなふうに「現役」の範囲を自由自在に調整していいのだったら、年金制度を維持するなんて誰でもできます。サッカーで言えば勝手にゴールを小さくしておいて「見ろよ。ゴールは死守してるだろ!」とドヤっているようなもの。こんないい加減なルールのゲームからはさっさと降りるのが賢明です。

関連記事:
昨年セミリタイアを達成されたNightWalkerさんのブログにこんな記事がありました。 リタイヤの資金計画はどういう順番で考えるべきか?: NightWalker's Investment Blog : アーリーリタイヤするためには、当たり前ですが、お金が必要です。 その資金計...
yumin4.blogspot.jp

2017年4月11日

『ひとりぼっちを笑うな』 蛭子能収(著)



悪い意味で期待を裏切られた本でした。

タイトルだけ見れば、蛭子さんも私と同じく孤独をこよなく愛する人なんだろうと想像してしまいますが、「おわりに」の直前にはこんなことが書いてあります。
p.225
『ひとりぼっちを笑うな』──この本には、そんなタイトルをつけてみました。でも、僕が一番言いたいのは、ひとりぼっちを笑わないことではないかもしれない。
(中略)
それは、ひとりぼっちでいることをけっして笑うことなく、そんな自分を微笑みながらいつでも受け止めてくれる人を見つけること。
あれ? 蛭子さんの孤独観ってぜんぜんフツーじゃん、というオチでした。実際、彼は人生のほとんどを家族と共に過ごしてきたわけで、物理的にも精神的にも全然「ひとりぼっち」ではないのです。そんな人が無理に孤独について語るとこうなってしまうのだな、という違和感を覚えるところが多い本でした。

50代で奥さんを亡くしたときにネガティブな意味の孤独感が極まった経験が書かれているあたりからも、彼が孤独好きの人間でないのは明らかですし、その後速攻で再婚に走ったりするのも、典型的な寂しがり屋さんの行動パターンと思われます。

p.177
基本的にひとりでいることが好きですけど、ひとりぼっちが好きなわけじゃないんです。
というのも、正直わけがわかりません。「ひとりでいること」と「ひとりぼっち」は何が違うのでしょうか。関連ツイート:

p.213
●人生の目標は死なないこと
なんて書いてあるのにも驚きました。
どうやっても達成不可能な目標と思われますが…。不老不死の技術革新にでも期待しているのでしょうか。

あと、漫画家という職業柄、67歳の時点でも頭の中にリタイアという概念は無さそうです。ギャンブルに相当つぎ込んでいるようですし、稼ぎが少なければ少ないなりの生活にすればいい、みたいな記述もあることから、収入と支出が比例するタイプの人かもしれません。

他にもツッコミどころは沢山ありましたが、これから細かくツッコんでいく記事を書くかどうかは考え中です。

関連記事:
ブログ開設6周年 にコメント下さったretire2kさん、mushoku2006さん、mikeさんありがとうございます。 mikeさんのコメントに次のような質問がありましたので、お答えしたいと思います。 はじめまして。 ブログ楽しく読んでます。 以前はセミリタイアしてて、今は正社...
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参考記事:
去年の2月15日に、「蛭子さんを見習って自由に生きよう!」という記事を書いた。「ひとりぼっちを笑うな」がベストセラーになっているというニュースを受けたものだ。その時、読みたいと思って図書館に登録したのだが、あれから早1年。やっと順番が回ってきた。
worldsend.blog.jp