2017年5月27日

「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」を決めるのはあなた自身

東洋経済オンラインの記事より。
ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほです。この連載では、おカネの問題と人生の問題について、…
toyokeizai.net
「おカネ」というものを、合理的に、シンプルに、心地よい方法で取り扱うことができると、人は、より自由に、幸せに生きていけるのではないでしょうか。
同意。

人生に、おカネはいったいいくら必要なのでしょうか(「今、すぐに知りたい!」という方は、この記事の最終ページで、空欄の数字を入力してみてください。
シンプルに考えるならば、年間支出額に自分の余命をかけるだけで計算できるはずですが、最終ページのフォームを見たところ、年間支出額を入力する欄がどこにも見当たらないんですよね。「現役時に使える生活費」や「老後の生活費」という欄がなんと出力側にあるだけです。

実はこのフォーム、「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」を計算してくれる仕様にはなっていません。現在の手取り年収や将来の年金収入見込み、現役年数と老後年数などの入力パラメーターを元に「生涯収入」の方を先に推計し、その金額から毎年支出してもいい金額を逆算する仕様になっています。

確かに生涯収入の範囲内に収まるように毎年の支出を計画していくことは間違ってはいません。しかし、この記事のタイトルには大きな違和感があります。「いくら必要なのか」はどこにも示されておらず、「いくら使ってもいいのか」が示されているだけだからです。結局、「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」を決めることができるのは、他人が考案した計算式などではなく、あなた自身しかいないということだと思います。

早期リタイア志向の人間からすると、生涯収入ではなくまず生涯支出の方を先に推計して、その金額を稼ぎ切るためにあと何年現役でいればいいかという方向で計画していく方が色々とスッキリします。

2017年5月23日

資産を減らさず「少し増やす」方法?

週刊現代の記事より。
足踏みしていた日経平均がまた上がり始めた。欧州の地政学的リスクが去り、この相場はしばらく続きそうだ。資産を1割増やそう、というのは欲張りすぎ。少しだけなら確実に増やせる方法がある。
gendai.ismedia.jp
うーむ、これは酷い。

ここまで酷いと逆に反面教師としての利用価値が高そうですが、ツイッターの反応を見る限りでは否定的なコメントはまだ非常に少なく、悪影響の方が遥かに大きいみたいですね。トホホ…。

「普通預金がいちばん損!」などと煽ってますが、この記事で紹介しているようなリスク資産と銀行預金はそれぞれ取っているリスクの種類が異なるため、単純に損得を比較することはできません。損得を語るなら同じ種類の商品同士でコストやリターン/リスク比などを比較する以外にないと思います。

せっかく色々とボケてくれているので一応ツッコミを入れていくとしますか。

日経平均株価はついに2万円を突破する勢い。今後、「増やし方」を知っている人と知らない人では、どんどん差が開いてゆく。まさに「いま動かないで、いつ動く?」という絶好のチャンスが到来している。
株を買う理由の中でも「株価が上昇しているから」というのは最悪の部類に入ると思います。「いま動かないで、いつ動く?」なんて煽り文句に騙されず、こんなになるまで動かなかったのに今になって動く理由がどこにあるのか、じっくり考えたほうがいいでしょう。

投資に詳しい知人に聞いたところ、日本株のみで運用する投資信託で、パフォーマンスがいいと評判のひふみプラスと、米国株に連動する投資信託netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドをすすめられ、計1000万円の資金で昨年末に買いました。
本当に投資に詳しくて投資家の利益を第一に考えられる知人さんならば、こんな投信は絶対に勧めませんよ。前者の運用管理費用(信託報酬)は1.0584%、後者は2.052%です。平均1.5%とすると年間15万円ものコストを払っていることを自覚しているのでしょうか? さらに販売手数料も30万円ほど払っているはずです。

半年足らずで含み益が100万円だと喜んでいるようですが、手数料が安い投信を選んでいればそれが130万円だったかもしれないのに…。

老後資金確保のために、2倍、3倍の大勝ちでなくてもいいから、元本割れのリスクは回避し、何とか少しでも増やせないものか――。

絆アセットマネジメント社長の小沼正則氏は、近年そうした相談が急増しているとしたうえで、こうアドバイスする。
「元本割れのリスクは回避」するなら、銀行預金や個人向け国債以外の選択肢は無いのでは? 投資にフリーランチはなく、元本割れのリスクを取らないのであれば実質リターンは期待できない、という鉄則を淡々と伝えるのが正しいアドバイスというものでしょう。ところがどっこい、

例えば、インド株に連動するイーストスプリング・インド株式オープンなどが有望です。
販売手数料3.78%、運用管理費用1.92516%。こんな投信が「有望」とは…。

不動産関連で注目されている変わり種の投資法が、みんなで大家さんだ。

これは、一口100万円から全国各地の店舗やオフィスビルなどの「共同大家」になり、その賃貸利益から5~7%程度の分配金を得るというもの。'07年の開始以来「一度も想定利回りを下回ったことがない」という超安定運用が売り文句である。

自分でマンションやアパートのオーナーにならずとも、不動産投資の「おいしいとこ取り」ができ、さらにリスクも小さいという密かな有望株だ。
そんなうまい話はない、これに尽きます。
本当にうまい話があるなら、いちいち個人投資家を募らなくても、運用先がなくて困っている銀行などの機関投資家が既に投資しているはずだからです。そして市場原理によって裁定が働き、うまみは消失してリスクに見合った期待リターンに落ち着きます。

「みんなで大家さん」の場合、リターンを過大に見せているか、リスクを過小に見せているかのどちらか(または両方)だと思われます。

投資に興味はあるけれど、虎の子の老後資産は傷つけたくない――そんな読者は、今回紹介した「減らさず、少し増やす」堅実な投資法を参考にしてほしい。
「減らさず」と言いつつ資産が減るリスクがあるもんばっかり紹介してるやないかい!(裏手で小突く)

ほとんど漫才のネタのような記事だと思いました。

2017年5月16日

クローズアップ現代+「先行き不安病を斬る! わが家のマネー防衛」



先月放送された番組です。あの山崎元氏が登場すると聞いて見てみました。

VTRに登場する一般人がツッコミどころ満載なのは毎度お馴染みのNHKクオリティー。しかしスタジオに戻り、「間違った投資が多すぎる!」というテロップ付きで登場する山崎元さんのコメントはどれもこれも秀逸でした。短い発言時間の中でよく要所を押さえてます。

彼のような投資家サイドに立つ評論家がもっとメディアに露出するようになれば、日本の投資家の未来も明るいと思います。

2017年5月9日

暇と退屈は別物

漂泊民さんのブログより。
僕は常にヒマ人であり、またそうあろうとしている。 忙しければ余計なことは考えない。しかし、僕はヒマ人であることで「余計なこと」を考え続けようと思っている。 初出 2016/11/1 僕がヒマ人的生き方をするようになってから随分と経つ。 自分がヒマ人だなんて全く自慢できるこ
hyohakumin.hatenablog.com
僕がこのブログで、あるいは会う人たちにヒマ人だと言うと(ついでにビンボーだとも言っているがこちらはスルーされる)中には「退屈ではないか」と問われることがある。

そういう人たちのご期待に沿えず、僕は全く退屈はしていない。
分かります。

本を読んだり、ネットを徘徊したり、散歩したり、喫茶店に行ったり、古本屋に行ったり、ラジオを聴いたり・・・とやることは沢山ある。あっ、それとこのブログを書いたり、ブログのネタを考えたりすることも大切な時間である。

そうこうしているうちにあっという間に1日は終わる。退屈どころか時間が足りないくらいだ。
ほんと、退屈する時間なんてどこ探しても見つからないんですよね。
「退屈ではないか」という問いを発するような人とは永久に分かり合えないのだと思います。それでいいんです。感性の違う人と分かり合う必要はありません。お互いに関わりを避けて共存すればいいだけです。

思い返してみると、僕が退屈さを感じたのはたくさん働いていた頃で自由な時間が意に反して奪われていたときだった。

ヒマ人的生き方を続けているかぎり、僕は退屈だと感じることはない。
全く同感です。
義務として淡々と処理するだけの会社の仕事こそ「退屈」と呼ぶに相応しいものだったことを思い出します。会社員を続けることがあまりにも退屈だったから、さっさと早期リタイアして退屈しない生活を手に入れたわけです。

念のためにウィキペディアを見てみましょう。
暇 - Wikipedia
暇(ひま、いとま)は、余った時間。することがない状態。
暇とは客観的な状態のことなので感情は関係ありません。「することがない」をネガティブに捉える人もいるのでしょうが、私のように積極的に暇になろうとするタイプの人は「やるべき義務がない自由な時間」とポジティブに捉えているわけです。

退屈 - Wikipedia
退屈(たいくつ)は、なすべきことがなくて時間をもてあましその状況に嫌気がさしている様、もしくは実行中の事柄について関心を失い飽きている様、及びその感情である。
退屈とは主観的な感情ですから、暇な状態でも「嫌気がさしている」のでなければ退屈とは言えません。

後段の「実行中の事柄について関心を失い飽きている様」というのがまさに会社員時代の私です。毎日仕事に忙殺されていても、なんてつまらないことに時間を消費しているのだろうと思っているならそれは「退屈」なんです。

漂泊民さんの記事は、「暇」になると自動的に「退屈」が付いてくるものだと思い込んでいる人に、両者が全くの別物であると気付かせてくれる良記事だと思います。

関連記事:
アマゾンに「同世代に何ももたらさない唯我独尊人生論。」というタイトルの★1レビューがあるように、充実した老後人生の参考にしようと本書を手にした人にとっては知りたくもなかった、妙にネガティブで身も蓋もない現実を突き付けられたと感じる内容かもしれません。 この先わたしたちはどうすれば...
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ゆとり隊長さんのツイートより。 僕も無趣味に分類されるタイプだと思うけど、時間はいくらあっても足りないよ(´・ω・`)汗 無趣味な人はリタイアに向かないことを自分自身で証明してしまった - 週休5日のセミリタイア生活 https://t.co/qhb0Oizj39 — ゆとり隊長...
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2017年5月3日

『自分の時間を取り戻そう』 ちきりん(著)



p.52-53
なにをやるにしても自分の貴重な資源を最大限に有効活用できる生産性の高い方法を見極め、可能な限り高い成果を得る、そういう方法を身につけないと、やりたいコトをすべてをやれる人生は手に入りません。
大事なことは日々生産性を意識し、仕事や生活の生産性を高める方法をトライアンドエラーで身につけていくことです。
たしかにこれは重要な視点です。生産性は高い方が低いよりも豊かな人生を送ることができるのは間違いないでしょう。

ただ、その結果として「やりたいコトをすべてやれる人生」が手に入るかと言うと、それはどうかなと。時間もお金も有限である以上は、その人の「やりたいコト」がその範囲内に収まっているかどうかで決まることだと思います。「やりたいコト」の量が身の丈に合っていない人は、どんなに生産性を上げたところで、それらをすべて手に入れることは叶わないでしょう。

p.53
序章に出てきた4人は、みんな目の前の生活に追いまくられています。こんな状態を続けていてはお話になりません。彼らはまず、自分の問題の源が「生産性が低いこと」だと理解する必要があります。
「生産性が低いこと」も問題の一因ですが、そもそも背負っている仕事(家事や育児も含む)の量が多すぎることも主因の一つです。つまり(仕事量/生産性)のレートが高すぎるのです。目の前の生活に追いまくられないためには、分母の生産性を高める方向だけでなく、分子の仕事量を減らす方向でも改善は可能です。むしろ後者の方が個人の能力に依存せず、誰でも簡単に実行できるのではないでしょうか。

以前読んだ『ゆるく考えよう』に書いてあったのは、人生は早めに諦めようとか、目標は低く持ちましょうとか、明らかに「意識低い系」な内容が中心だったのですが、本書では一転して「意識高い系」な内容が中心になっていて、そこが少し残念ではあります。

ブログネタ的には面白いポイントがいくつかあるので、追って記事にするかもしれません。

関連記事:
著者本人の紹介記事はこちら。 「ゆるく考えよう」  - Chikirinの日記 本書の一番最後に出てくるちきりんさんの考え方のまとめ。 ちきりんの考え方の根底には、このふたつの原則があります。 1. 自由に生きる、ということ。誰かと比べられるのでも、社会に評価されるためでもなく、...
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これは「働き方」の本だから無職の私にはもう関係なさそうかな、と想像してましたが、読んでみたら共感できるところがたくさんありました。働き方も含む「生き方」を考えるための本だと思います。 人生の有限感 ジョブズ氏だけでなく起業家には、この「人生は有限だ」という感覚を強くもっている人が...
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2017年5月1日

「大病したらどうするの?」ってこっちが聞きたいかも

cubさんのツイートより。
早期リタイアのような経済的リスクを多めに取る生き方を選択する人に対して、「大病したらどうするの?」という質問(煽り文句?)は定番中の定番ですね。「~したらどうするの?」シリーズで打線組んだら堂々の4番打者。

私の答: 「べつにどうもしません。」

「座して死を待つ」という意味ではなくて、払える範囲の医療費は払って余命を伸ばそうとするとは思います。もちろんそのときの年齢やQoLによっては治療をしない選択もあり得ますが。

ではリタイアせずに現役を続けている人が大病した場合、リタイアしなくて良かったと思える何かがあるんでしょうか? 経済的余裕ですか? 確かにそれはあるでしょうが、つぎ込める医療費の差が生死を分けるほどのリスクになりますかね。金が足りないから死ぬのではなくて、病気を治すすべがないから死ぬことの方がずっと多いと思います。

もし大病の中でも最悪のケースである突然死や、癌で余命1年とかになってしまった場合は、逆になぜもっと早くリタイアしなかったのかと悔やむことにはならないのでしょうか? 経済的リスクばかりを限りなくゼロに近づけようとして、もう若くもないのに惰性で仕事を続けている人の方こそ、「大病したらどうするの?」という質問に答えてみたらどうかなと思います。

早死にするリスクなんて承知の上だから「べつにどうもしません。」が彼らの答なんでしょうかね。それならば、相手がとんでもないリスクを取っているように見えるのはお互い様ということになりそうですが…。

関連記事:
cubさんのブログより。 無職への道 40代で一区切り : 健康寿命はあなたが思っているよりずっと短いですよ 大体、男性で70代前半 簡易生命表から自分の寿命を考えよう 最近は老後破綻やら下流老人などぶっそうな話がゴロゴロ出てきていますが そんなに老後が不安ですかね ...
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