2016年7月26日

40年前のワリコーから学ぶインフレリスク

とよぴ~さんのブログより。
このツイートは、自分が生まれた頃の金融広告なのですが、2016年現在のマイナス金利の時代と40年前の高金利時代とではこうも違うんだなぁ~という感じです。※債権× 債券○「ちょっとこれ見て!」と夫が差し出した『アサヒグラフ』の裏面広告。おお、債権貯蓄、利率年7.388%!1976(昭和51)年。子ども育てられるわな‥‥。 pic.twitter.com/EizZae8ORH? sawako chimoto (@sawawasawa) 2016年7月19日...
toyop.net
アラフォーの自分にとって生まれた頃の金利は、リスク資産への投資をしなくても定期預金や保険商品の予定利率でも十分に高金利でしたし、現在の金利水準から見たら『羨ましい』の一言ですが、投資環境という面で見たら現在は40年前と比較して見違えるほどの進歩を感じます。
1976年に年利7.388%だったことが話題になっているワリコーですが、本当に「羨ましい」金融商品だったかどうかは名目金利だけではわかりません。

当時のインフレ率を調べてみたところ、1976年は9.4%だったようです。
参考記事:
www.office-onoduka.com

したがって、ワリコーの実質利回りはマイナス2.012%だったことになります。名目利回りに対して課税されることを考慮すればさらに酷い数字になります。平成に入ってからのデフレ時代の普通預金の方が、実質利回りは遥かに高いのが現実です。

さらに直前の3年間(1973?1975年)のインフレ率が11.7%、23.2%、11.7%という高率で推移してきている点にも注目です。そんなインフレ全盛の時代に、わずか7%やそこらの固定金利の金融商品に手を出そうという人は、かなりの(インフレ)リスクテイカーに見えます。たとえ本人にその自覚が無かったとしても。

こういう時代であっても、いや、こういう高インフレ時代だからこそ、資産を株式で持つことの重要性は高かったんじゃないですかね。

関連記事:
竹本さんのブログより。 ゼロ金利!親より貧しい老後生活になった理由を、簡単なグラフで説明しよう - tak-tak-world (最近の「週刊誌の見出し」も「書籍のタイトル」も、こんな表題の付け方が流行ってますね?。   → マネてみた(^_^;) ) ============...
yumin4.blogspot.jp
この記事にも書いたように、無リスク資産の名目金利がどんなに高くても結局インフレで相殺されてしまい、実質金利が0%を大きく上回ることはありません。(蛇足ながら、1974年のように0%を大きく下回ることは稀にあります)

しかも実質金利の高低は、名目金利の高低との相関が無いようです。したがって、より高い実質リターンを求めるなら、名目金利の高低に関わらずリスク資産への投資は必要になるでしょうし、より低い実質リターンでも構わないという人は、名目金利の高低に関わらずリスク資産への投資は必要無いでしょう。「無リスク資産の名目金利が高ければ高いほど、リスク資産へ投資する必要は無くなっていく」というような相関関係は存在しないと思います。

2016年7月20日

ストレスフリーの生活

とれいCさんのツイートより。
この記事で取り上げられている「様々な生き方」の中に、私みたいな早期リタイアした人は含まれていませんでした。もっと認知してほしいとは思わないものの、少し複雑な気持ちになりました。

仕事が最大のストレス源だという人は少なくないと思うので、そういう人は早期リタイアすることによってストレスフリーの生活に向かって大きく前進することが期待できます。私の例だと、無職生活へ移行してから、ストレスを感じることはほぼ皆無になりました。あるかないかを問うならば、ストレスフリーの生活はある、が正解になるでしょう。

ただし、とれいCさんが指摘するように、ストレスの有無は環境面だけでなく性格に依存するところも大きいので、仕事から解放されたからと言って必ずしもストレスフリーになるとは限らないという点には注意が必要です。金銭面では、蓄えた資産の価値が下がったり、リスク資産で運用しなくても貯金が毎年少しずつ減っていくことにストレスを感じる人もいるでしょう。人付き合いの面では、会社という居場所が無くなって孤独感に苛まれる人もいるでしょう。そこは本人の性格次第なので、適性があるかどうかの見極めは必要だと思います。

関連記事:
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リンク&トラックバック御礼。 資産が目減りする恐怖 - 一日不作一日不食 より: 理性としては問題ないとは思っていますが、実際リタイア生活を始めて、資産が目減りするのを目の当たりにしたらどうなるかわかりません。遊民さんの「高等遊民の備忘録」で、「2013年末の資産残高推移」という...
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2016年7月15日

民意を殺す政治、殺さない市場




分かります。
民主政治において多数決ベースで決まっていく物事というのは非常に大雑把で、民意の取りこぼしが大量に発生します。

私も先日似たような事をツイートしました。

少数派の需要を満たそうとする政治家は多数決で負けて落選する仕組みなので、需要があっても供給されることはありません。供給されるためには、その需要が多数派である必要があります。つまり、政治によって自分の需要を満たそうとする場合、他人に意見を変えさせてでもその需要を多数派にもっていかなければなりません。

自分は自分、他人は他人という考え方ではダメなので、無理矢理にでも他人を巻き込んで味方につけようと必死にならざるを得ません。この本質が、政治活動というものの醜さの根源だと思います。

まさに「勝てば官軍」の世界であり、多数派になりさえすれば政治を通じて様々な利益を受けられるのに、少数派には利益がないばかりか、多数派が欲しがるものを与えるための余分な税金まで奪われる始末。踏んだり蹴ったりとはこのことです。これほど強制的で不公平な仕組みが世の中にあるでしょうか。

対照的に、市場は何も強制しません。当事者同士の任意の取引があるだけです。そもそも市場で多数派になることに意味は無いので、他人を巻き込む必要がありません。政治よりも市場の方が自由で公平な仕組みであることは明らかです。

本来ならば、どうしても市場では解決できない事柄に限って、政治の出番があるはずなのです。それが今の日本ではどうでしょうか。何でもかんでも政治的対立に持ち込んで、選挙で敗者の屍の上に乗って勝利宣言すれば万事解決だ!みたいな、武闘派ばかりが幅をきかせています。ただでさえ政治に依存しすぎなのに、国民はもっと政治に関心を持てと煽りたてる行為は、その傾向に拍車をかけるだけでしょう。方向性としてはむしろ逆です。国民が普段は政治のことなど忘れていられるぐらいに、政治が関わる領域を極限まで縮小すべきなのです。

とは言うものの、縮小するという方向性自体も政治を通じて決定される決まりになっている以上、武闘派の皆さんが改心するまで止めるすべは無いように思います。
アニメ「風の谷のナウシカ」で、怒り狂ったオウムの群れを前に老婆が呟いた
「こうなっては、もうだれも止められないんじゃ」
というセリフを思い出しました。

関連ツイート:



2016年7月8日

資産運用の王道は配当ではなくて…

cubさんのツイートより。
他の資産クラスと比較した株式の優位性については同意。ただ、なぜ「配当」限定なのかなと思った次第です。配当に限定せずに「株式こそ資産運用の王道」と呟いてくれたら全面同意だったのですが…。

で、私のコメント。


同じタイミングで菟道りんたろうさんのブログにこんな記事が。世間は配当ブームなんですかね…。
株式投資のリターンは
キャピタルゲイン+インカムゲインーコスト
のトータルで決まるもので、どの要素も等しく重要です。特に、キャピタルゲインとインカムゲインを区別するのは、(課税のタイミング以外には)合理的な理由は無いと思います。インカムゲインの方が定期的に特別な収入があるような気がして何となく嬉しいとか、あくまでも気分の問題じゃないかと。

インカムゲインである配当だけを特別視して資産運用の中心に据えることが王道だ!と言われると、どうも違和感がありますね。配当利回りとか関係なしに、広く分散された市場ポートフォリオで淡々とパッシブ運用することが、資産運用の王道だと思います。

関連記事:
その2 の続きです。  課税もそうですが、一般にお金は先に払うよりも後で払うほうが得です。 払う金額が同じであれば、という条件付きですがその通りで、これは前回触れた「現金主義は損」の理由の一つになります。  生命保険について心掛けるべき原則は、一点の曇りもなく明らかです。つまり、...
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2016年7月1日

日本政治.comの投票マッチングをやってみたところ、驚きの結果に

nihonseiji.com
こちらです。
20問の質問にサクサク答えていき、最後に特に重要だと思う項目を3つ選択します。

するとこんな結果が出ました。

日本政治.com - http___nihonseiji.com_votematches_1_result.png

ええっ!? 社民党?? さらに次点が共産党??

ありえない…

この結果から見えてくるのは、自由主義、小さな政府を支持する人にマッチする政党が、日本には存在しないということでしょうね。

日本では選挙に行っても、社会主義、大きな政府を目指す(維持する)メニューしか選べないという、目を背けたくなるような現実を再確認できました。

関連記事:
かえるさんのブログ で紹介されていた 政治ポジションテスト が面白そうなのでやってみました。 結果は、「リベラルかつ小さな政府を目指すタイプ」でした。 外交編では「グローバル指向のハト派」でした。 普段当ブログに書いていることからして、予想通りの結果と言えましょう。特に小さな政府...
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