2014年9月21日

『学校では教えてくれないお金の授業』 山崎 元 (著) その3



その2の続きです。

 課税もそうですが、一般にお金は先に払うよりも後で払うほうが得です。
払う金額が同じであれば、という条件付きですがその通りで、これは前回触れた「現金主義は損」の理由の一つになります。

 生命保険について心掛けるべき原則は、一点の曇りもなく明らかです。つまり、できるだけ加入しないこと、本当に必要な保険にだけ泣く泣く加入するということです。
完全に同意します。
生命保険のような金融商品が毎月分配型投信をも遥かに上回る高コストであることは、様々な本やブログで既に語り尽くされています。必要性をシビアに検討することなく安易に保険に加入してしまう愚を避けること。これも若い人たちにとって特に価値のあるアドバイスになると思います。

◎インカム・ゲインとキャピタル・ゲインを分けて考えない
(中略)
インカム・ゲインとキャピタル・ゲインは、両方を「合わせて」、総合的に評価するのが投資の基本であり、両者を別々に計算して、損だ、得だと判断することは、明らかに不適当です。
(中略)
一般に、キャピタル・ゲインよりもインカム・ゲインの方を重視する傾向がありますが、それこそ、行動ファイナンスで言うところの「メンタル・アカウンティング」に他なりません
当ブログでも過去に何度も触れている通り、インカムゲインを過大評価するのは人間の脳に宿る奇妙な癖の一つですね。他にも多くの癖がある中で、このインカムゲイン偏重の癖は、お金の運用について特に大きな負の影響を与えるものだと思います。

この癖を上手に利用して儲ける商品の代表格が毎月分配型投信です。
誰が勧めたわけでもないのにネット証券各社で高コストな毎月分配型投信が売れ筋商品になっているという事実は、人がこの癖に気付いて意識的に投資判断を修正することの難しさを物語っています。
はっきりいって、このタイプの投資信託を買うくらいなら、普通預金にお金を入れて、これを定期的に引き出す方が、損が少なく、遥かに健全です。
その通りです。
え? リタイアして無収入な人は貯金を取り崩すのに抵抗を感じないのかって?
確かに私の直感は、ゆっくり確実に減っていく貯金を見て不安に感じろ!というメッセージを発しているような気がしないでもないです。しかしそれもまた脳の奇妙な癖なので気にすることはありません。感情よりも理性に従って淡々と、本来必要のないインカムゲインと引き換えに余分なコストやリスクを負担する愚は避けるべきでしょう。

(つづく)

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