2023年8月25日

強制通用力は通貨の価値を保証しない

強制通用力へのよくある誤解。定期的に見かけますね。

この法律が定めているのは債務を履行する際の日銀券の通用力であって、日銀券の価値とは関係ありません。そもそも売り主が日銀券を受け取りたくない場合にはどうなるのか、想像してみると簡単にわかります。

商店に「10,000円」の値札がついた商品があるとします。客が現れ、これ買いますという意思表示をすれば、双方の意思が一致するので売買契約が成立します。この瞬間、買い主には1万円の金銭債務を履行する義務が発生します。1万円札を差し出した場合、正当な債務の履行であると認められ、売り主は受け取り拒否できません。これが強制通用力。

商店に「68USD」の値札がついた商品があるとします。1万円札しか持っていない客が現れ、これ買いますという意思表示をしても、売買契約は成立しません。双方の意思が一致しないからです。68ドルは今の為替レートで1万円と等価だからいいよね?と交渉する余地はあるものの、売り主が合意していないのに売買契約を強制することはできません。売買契約不成立なら債務も発生しないので、強制通用力の出る幕はありません。

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