2017年4月18日

名目賃金アップでインフレになると労働者は豊かになる? 貨幣錯覚について学べる教材

ツイッターを眺めていると、あるツイートが目に入ってきました。名目賃金と物価の両方がほぼ同じ倍率で上昇した世界の方が、(労働者にとって)かなりマシだと言っているようです。

いえ、そんなはずはありません。実質賃金は上がっていないので、控えめに言っても労働者の豊かさは変わりません。名目賃金上昇に伴う税コスト等の増加まで考慮すると、労働者は今より貧しくなります。既にcubさんやmotoさんが指摘されている通りですね。


元ツイートがリツイート回数1800超の人気を博している事実は、人々が「貨幣錯覚」から逃れることの難しさを物語っています。長い不況時代を過ごし、マスメディア等を通じて「デフレは悪」と刷り込まれてきた日本人には尚更その傾向が強いのかもしれません。
ja.wikipedia.org
人々が実質値ではなく名目値に基いて物事を判断してしまうこと。 本来、貨幣価値の変化を考慮した購買力によって判断しなければならない時に、金額を通じて判断を行なってしまうこと。


こんなツイートも500回以上リツイートされています。
その購買力がどう変化しているかを見ることなく、額面だけを見て800>430だから得だと判断する、これがまさに貨幣錯覚そのものです。

それぞれ手元に残ったお金であと何個ビッグマックを買えるか計算すればわかります。
前者:1.16個
後者:1.14個
手元に残るお金の購買力は増えていません。「どう見ても」と言いつつ見ているのは名目の数字のみで、実質で見ることを全くしていません。

貨幣錯覚は経済に疎い一部の人だけが陥る罠というわけではなく、人類の脳の奥深くに刻み込まれた認知の歪みであり、錯視と同じようなものです。一般人よりもお金の知識に富んでいるはずのFPの方でさえあっさりと貨幣錯覚にやられている例もあるので、この手の話が出てきたときは相当注意深く振る舞う必要がありそうです。

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