名目賃金と物価の両方がほぼ同じ倍率で上昇した世界の方が、(労働者にとって)かなりマシだと言っているようです。「最低賃金800円でビッグマック370円な社会」よりも「最低賃金1500円でビッグマック700円な社会」のほうが相対的にかなりマシなのだ、というのをみんなが理解しない限り良くならないラジね。
— PsycheRadio (@marxindo) 2017年4月15日
いえ、そんなはずはありません。実質賃金は上がっていないので、控えめに言っても労働者の豊かさは変わりません。名目賃金上昇に伴う税コスト等の増加まで考慮すると、労働者は今より貧しくなります。既にcubさんやmotoさんが指摘されている通りですね。
賃金二倍・物価が二倍なら同じじゃんって言っているやつは保険や税金の支払いがどのくらい増えるか知ってんの?名目賃金だけが上げるってことは実質的に貧しくなるってことなのよ。
— cub (@cub_nomad) 2017年4月16日
賃金二倍で物価二倍だと年収が増えるので累進課税で所得税額が増えた上に、社会保険料も半額免除だったのが全額になったりするので、二倍にした方が手取りは実質で減るんじゃないかな?政府は喜ぶ。 https://t.co/ohPaHIjfN2
— moto (@motonm) 2017年4月16日
元ツイートがリツイート回数1800超の人気を博している事実は、人々が「貨幣錯覚」から逃れることの難しさを物語っています。長い不況時代を過ごし、マスメディア等を通じて「デフレは悪」と刷り込まれてきた日本人には尚更その傾向が強いのかもしれません。
人々が実質値ではなく名目値に基いて物事を判断してしまうこと。 本来、貨幣価値の変化を考慮した購買力によって判断しなければならない時に、金額を通じて判断を行なってしまうこと。
こんなツイートも500回以上リツイートされています。
最賃800円でビッグマッグ370円を買うと手元に残るのは430円。
— チラ裏はフォースと共にI?GB (@chirashi_uraura) 2017年4月16日
最賃1500円でビッグマッグ700円を買うと手元に残るのは800円。
どう見ても後者の方がいいです。
ってか、物価と給料両方上がって何が悪いんだ?当たり前のことだろ。 https://t.co/udig7qnsuD
その購買力がどう変化しているかを見ることなく、額面だけを見て800>430だから得だと判断する、これがまさに貨幣錯覚そのものです。
それぞれ手元に残ったお金であと何個ビッグマックを買えるか計算すればわかります。
前者:1.16個
後者:1.14個
手元に残るお金の購買力は増えていません。「どう見ても」と言いつつ見ているのは名目の数字のみで、実質で見ることを全くしていません。
貨幣錯覚は経済に疎い一部の人だけが陥る罠というわけではなく、人類の脳の奥深くに刻み込まれた認知の歪みであり、錯視と同じようなものです。一般人よりもお金の知識に富んでいるはずのFPの方でさえあっさりと貨幣錯覚にやられている例もあるので、この手の話が出てきたときは相当注意深く振る舞う必要がありそうです。
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