2017年4月11日

『ひとりぼっちを笑うな』 蛭子能収(著)



悪い意味で期待を裏切られた本でした。

タイトルだけ見れば、蛭子さんも私と同じく孤独をこよなく愛する人なんだろうと想像してしまいますが、「おわりに」の直前にはこんなことが書いてあります。
p.225
『ひとりぼっちを笑うな』──この本には、そんなタイトルをつけてみました。でも、僕が一番言いたいのは、ひとりぼっちを笑わないことではないかもしれない。
(中略)
それは、ひとりぼっちでいることをけっして笑うことなく、そんな自分を微笑みながらいつでも受け止めてくれる人を見つけること。
あれ? 蛭子さんの孤独観ってぜんぜんフツーじゃん、というオチでした。実際、彼は人生のほとんどを家族と共に過ごしてきたわけで、物理的にも精神的にも全然「ひとりぼっち」ではないのです。そんな人が無理に孤独について語るとこうなってしまうのだな、という違和感を覚えるところが多い本でした。

50代で奥さんを亡くしたときにネガティブな意味の孤独感が極まった経験が書かれているあたりからも、彼が孤独好きの人間でないのは明らかですし、その後速攻で再婚に走ったりするのも、典型的な寂しがり屋さんの行動パターンと思われます。

p.177
基本的にひとりでいることが好きですけど、ひとりぼっちが好きなわけじゃないんです。
というのも、正直わけがわかりません。「ひとりでいること」と「ひとりぼっち」は何が違うのでしょうか。関連ツイート:

p.213
●人生の目標は死なないこと
なんて書いてあるのにも驚きました。
どうやっても達成不可能な目標と思われますが…。不老不死の技術革新にでも期待しているのでしょうか。

あと、漫画家という職業柄、67歳の時点でも頭の中にリタイアという概念は無さそうです。ギャンブルに相当つぎ込んでいるようですし、稼ぎが少なければ少ないなりの生活にすればいい、みたいな記述もあることから、収入と支出が比例するタイプの人かもしれません。

他にもツッコミどころは沢山ありましたが、これから細かくツッコんでいく記事を書くかどうかは考え中です。

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yumin4.blogspot.jp

参考記事:
去年の2月15日に、「蛭子さんを見習って自由に生きよう!」という記事を書いた。「ひとりぼっちを笑うな」がベストセラーになっているというニュースを受けたものだ。その時、読みたいと思って図書館に登録したのだが、あれから早1年。やっと順番が回ってきた。
worldsend.blog.jp




2 件のコメント:

  1. これはめったにないろくでもない記事ですね~
    人間だからこういうことはあるのだとは思います。しかしとんでもないいちゃもん。論理の一貫性を守ろうとするとこういうことも起こるのだなと。

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  2. 「人生の目標は死なないこと」を不老不死を目指していると解釈することにビックリ。
    いや、そういうことがいいたんじゃないでしょう・・・。

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