2023年11月27日

多様性とは

多様性についてこれほど的確に表現している文章を初めて見ました。

多様性=多様な価値観を「分かり合う」「受け入れる」、ではないんです。

他によくある表現として、他者の価値観を「尊重」すべきというのもありますが、尊び重んじるという意味ですから、「分かり合う」よりもさらに的外れです。尊重するか軽蔑するかは多様性と関係ありません。

多様性のある社会に必要なのは、自他の境界線を守り、他人の領域には干渉せずに放っておくという態度だと思います。単純なようで、実行できている人は非常に少ないように見えます。



2023年10月31日

債券を満期までガチホすれば「大丈夫」?

主さんにとって「大丈夫」とは、債券がデフォルトせずに約束通り元利が償還されること(だけ)を指しているようです。

デフォルトリスク以外にも一つ、懸念すべきリスクがあるんですがね…。年率0.49%を超えるインフレになったら実質リターンはマイナスになる、という事に気付いている人がリプ欄には見当たりませんでした。

日本のインフレ率の推移 - 世界経済のネタ帳 より。





現に2022年のインフレ率は2.5%、2023年は3%を超える見込みですから、現在進行形で実質リターンがダダ下がり中です。全く「大丈夫」とは言えません。5年固定金利の債券というインフレリスク丸被りの金融商品なんて、そう軽々しく買うものではないなと思いました。

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2023年9月15日

国民年金を追納する価値はあるか?

公営社会保障制度でこのような選択の機会が与えられるのは稀なことです。社会主義大国日本に残された僅かな自由ですから、自分の頭でよーく考えて決めればよいと思います。

他人に聞けば、追納するという意見も、追納せずに投資に回すという意見も出てきます。なんなら、その99万円を今の楽しみに消費する人だっているでしょう。人それぞれです。注意したいのは、今の時点ではどの選択が正解かはわからないことです。

主さんのような若い人が40年後に受給する予定の年金について、「X歳まで生きれば元が取れる」「厚生年金と違って国民年金はオトクな制度」などと断定する人が跡を絶ちませんが、なんでそんなことが今わかるのかなと思います。保険料の値上げ、受給開始年齢の引き上げ、インフレ率、マクロ経済スライドなど、不確定要素がてんこ盛りなのに…。40年どころか10年後の未来でさえ、年金制度がどうなっているか予想するのは困難です。

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2023年9月1日

資産のポータビリティー

確かに、保有資産のポータビリティーについては普段から意識しておいた方が良いかもしれません。

国民の資産を国外へ逃がさないための規制なら既にいろいろありまして、たとえば銀行口座からの海外送金なんて4年前の時点で実質禁止状態でした。→日本の金融鎖国化は着々と進行中

最近だと暗号通貨取引所にも送金規制の魔の手が及んでいます。→暗号通貨の国内取引所がオワコン化している

いよいよ金融版グレートファイヤーウォールの完成間近です。

「日本から逃げるならご勝手に(移動の自由を規制することは憲法上できないから仕方ない)、でも資産を逃がすのは許さないよ(マネロン対策を口実に規制できるからね)」という日本政府の強いメッセージが伝わってきます。

海外でも働けるスキルを持っている人なら、体一つで日本脱出することになってもまだ何とかなるかもしれません。しかし、私のような完全リタイア民の場合は、全財産が日本国内あってポータビリティーが無い状態で逃げると詰むおそれがあります。

資産がポータブルであることの重要性に気付かせてくれた、日本政府の金融鎖国政策には感謝しかありません!(嘘)

「ビットコインなら持って逃げれる」の補足。

  • ビットコイン限定ではなく他の暗号通貨でもよい。価格変動リスクを嫌うならステーブルコインという選択肢もある。
  • 持って逃げるためには必ず non-custodial ウォレットに入れておくこと。取引所などの custodial ウォレットにある暗号通貨は、前述の規制によって送金できないリスクがある。

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2023年8月25日

強制通用力は通貨の価値を保証しない

強制通用力へのよくある誤解。定期的に見かけますね。

この法律が定めているのは債務を履行する際の日銀券の通用力であって、日銀券の価値とは関係ありません。そもそも売り主が日銀券を受け取りたくない場合にはどうなるのか、想像してみると簡単にわかります。

商店に「10,000円」の値札がついた商品があるとします。客が現れ、これ買いますという意思表示をすれば、双方の意思が一致するので売買契約が成立します。この瞬間、買い主には1万円の金銭債務を履行する義務が発生します。1万円札を差し出した場合、正当な債務の履行であると認められ、売り主は受け取り拒否できません。これが強制通用力。

商店に「68USD」の値札がついた商品があるとします。1万円札しか持っていない客が現れ、これ買いますという意思表示をしても、売買契約は成立しません。双方の意思が一致しないからです。68ドルは今の為替レートで1万円と等価だからいいよね?と交渉する余地はあるものの、売り主が合意していないのに売買契約を強制することはできません。売買契約不成立なら債務も発生しないので、強制通用力の出る幕はありません。

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