2021年5月25日

暗号通貨は何のリスクヘッジか? その2

前回の続きです。

元ツイの「リスク」がボラティリティーの意味で使われていたのに対し、@Mr_Monacoinさんのリプでの「リスク」はカウンターパーティーリスク(≒信用リスク)やインフレリスクを指しているようです。

金本位制の廃止以降、法定通貨最大のリスクはインフレリスクだと思います。なにしろ、実物資産の裏付けもなしに、発行主体の判断だけで勝手に供給を増やすことができるのですから。逆に勝手に供給を減らすこともできるはずなんですが、どの国の発行主体も滅多にそんなことはしません。右肩上がりのグラフを見れば一目瞭然です。

マネタリーベース - Wikipediaより。

ボラティリティーではなくインフレリスクの方に着目すれば、「(供給を勝手に増やすことができない)暗号通貨は法定通貨のリスクヘッジになる」は完全に正しい考え方だと思います。現実に、USDやJPYがコロナショック後の金融緩和でインフレを加速するにつれて、インフレ率が低いBTCやETHとの交換レートはみるみる上昇してきました。理論通りの値動きで、インフレヘッジの役割をきっちり果たしています。

次にカウンターパーティーリスク(≒信用リスク)に着目すると、株式に対しても暗号通貨の優位性が出てきます。

株式を保有する場合、株式を証券口座に置きっぱなしにすることがほとんどです。現物は証券会社ではなく信託銀行に分別保管されていたりしますが、いずれにせよ、自分以外の誰かに自分の資産を預けているわけで、その誰かを信用する必要があります。たとえ金融機関の中の人に悪者がいなかったとしても、政府が意味不明な規制を始めて資産が自由に動かせなくなる、みたいなリスクも負います。たとえば金融資産税を徴収するために証券口座を凍結する、といった規制がある日突然始まらないとも限りません。

暗号通貨を保有する場合は、取引所ではなく自分のウォレットに保管するのが原則です。単純ホールドではなくDeFiで運用する場合でも、non-custodialなプロトコルなら資産を預かる人は存在しません。オープンソースのコードで書かれた通りに動くスマートコントラクトに資産がロックされるだけです。誰も信用する必要の無い世界がそこにあります。

旧来の資産運用では避けることが困難だった信用リスクを、暗号通貨ならいとも簡単にヘッジできます。これが「暗号通貨の本質はトラストレス」の意味するところです。

参考ツイート:

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2021年5月24日

暗号通貨は何のリスクヘッジか? その1

ツイッターより。

この文脈での「リスク」は価格変動リスク(ボラティリティー)のことを指していると思われます。

①ボラティリティーは明らかに、株式<暗号通貨です。そういう意味で「株のリスクヘッジにはならない」は基本的に正しくて、株式から暗号通貨へ乗り換えると「リスク増」になるのも、昨年から現在にかけて私が身をもって体験中の事象です。

②でゴールドを「リスク管理の観点から」最優秀としているのは不可解です。ゴールドのボラって決して低くはないように見えますよ…(下のチャート参照)。株+ゴールドで構成されるPFだとコロナショックで激しく暴落したはずです。ボラを低く抑える目的なら国債や法定通貨の右に出る者はいません。

③テザーは法定通貨にペッグするステーブルコインで、暗号通貨の一種です。その名の通り、多く持てば持つほどPFが安定する効果があります。したがって、暗号通貨も「種類によっては株のリスクヘッジになる」と言えます。

今やPFのボラを下げる手段が他にも沢山ある中で、あえてゴールドを選ぶメリットが私にはわかりません。

では、ステーブルコイン以外だとPFのボラが上がってしまうのに、あえて暗号通貨を持つ意味はどこにあるのか?

→ボラティリティーではない別の「リスク」をヘッジすることにあります。

(つづく)

参考ツイート:

2021年5月14日

FTXでIEOに応募してみるテスト

FTXより。

THE MERCURIAL FINANCE IEO AND MER ARE NOT BEING OFFERED IN THE UNITED STATES OR TO ANY U.S. PERSONS. IF YOU ARE LOCATED IN, INCORPORATED OR OTHERWISE ESTABLISHED IN, OR A RESIDENT OF THE UNITED STA...
help.ftx.com

FTXでトークンの新規公開(IEO:Initial Exchange Offering)に初めて応募してみました。株式で言うところのIPOに相当するものだと思われます。私はIPOにも応募した経験が無いので少し不安でしたが、終わってみれば簡単そのものでした。



値幅上限の0.125ドルx4,000MER+5FTT、合計800ドルほどで入札できました。

応募要件はいくつかあって、中でもハードル高めなのがFTTのStakeでした。FTTはFTXのトークンで、1枚60ドル前後の値を付けています。これを150枚Stakeしてやっと応募チケットが1枚手に入ります。まずこれだけで9,000ドルほどの資金が必要です。今回のIEOが終わればUnstakeして売ってもよいのですが、当然その間に値下がりするリスクはあります。

2枚目のチケットを入手するには1,000FTT、3枚目は10,000FTTと爆増していくので、新参のIEO初心者には手が出ませんでした。あからさまに金持ちを優遇する仕組み、嫌いじゃないんですけどね。

150FTTをStakeすると、Maker手数料がマイナスになったり(つまり取引すると手数料が貰える)、ERC20トークンの出金手数料が無料になるなどのメリットも発生するので、私はこのまま持っておくつもりです。

シンガポール時間の5月13日22時に締め切られ、40分ほどで早くも結果が出ました。


ハズレ。

当選した方おめでとうございます! 初値が何倍に跳ね上がるのか見ものです。

参考ツイート:

参考記事:
今回は海外取引所のFTXで5月13日に行われるMercurial Finance(MER)のIEOの参加方法について紹介します。
koji-toku.com

関連記事:
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2021年5月6日

DeFiでJPYCを貸し借りできる時代に

ツイッターより。

画期的ですね。

JPYCが誕生してから僅か3か月余り。銀行や人間を介することなく、自動化された分散型金融システムを介して日本円のステーブルコインを貸し借りできる時代に入りました。

DeFiのレンディングと言えばCompoundやAAVEが有名ですが、そこで貸し借りできるのは予めリストされた通貨のみで、今のところJPYCは対象外です。

impermax.financeは最近、ガバナンス・トークンIMXのエアドロップの件でその存在を知りました。配られた400IMXの時価は400USD程度なのでショボいんですけど、このようなレンディングプールを誰でも作れるのは、Compoundなどには無かった特長です。


Borrowingの方は、先に担保資産をUniswapのLPトークンでDepositしなければならないので、Uniswapの流動性提供をやったことがない人にはハードルが高いと思われます。

LendingだけならJPYCを持っていればすぐにできますが、私は持っていないので試すことはできません。JPYを払ってJPYCを発行してもらえば入手できますけど、あいにくJPYは手持ちがほとんど無いもので…。藤巻健史氏も同趣旨のツイートしていましたが、うっかりしていると日々の支払いにも支障をきたしそうになります。

金利は需給によって変動しますが、現在はLending1.14%、Borrowing4.23%と表示されています。いつでも出し入れできる流動性がある割に、法定通貨のJPYとは比べ物にならないほど高金利と言えるのではないでしょうか。

ただし良いことばかりではなく、新興のDeFiなのでCompoundほどの安全運用実績は全くありません。スマートコントラクトのバグを突かれて資産を失うリスクが高めであることには注意が必要です。

あと、Ethereumの相変わらず高いトランザクション手数料(ガス代)がネックになります。少額で試してみるわけにはいきません。最低でも100万JPYCを半年ほどレンディングしないと、利息よりもガス代の方が高くなりそうです。

参考ツイート:

参考記事:

ゴールデンウィークが終わります、これからまた大型出勤か〜 あっ本日とうとうユニスワップV3の日ですね
hide.ac

関連記事:

日本円ステーブルコイン「JPYC(JPYCoin)」がリリース・販売開始|前払式支払手段扱いのステーブルコイン 日本暗号資産市場株式会社のプレスリリース(2021年1月27日 11時00分)日本円ステーブルコイン[JPYC(JPYCoin)]がリリース・販売開始|前払式支払手段扱...
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ツイッターより。 ノーリスクとは言わないけど $USDC にするだけでこんなに高金利のレンディング先があるわけだし、取引所へ入金→ステーブルコインを運用っていうムーブメントがきてもいいような。 pic.twitter.com/I1KGTbp8YD — DEG(デグ) (@DE...
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2021年5月2日

暗号通貨のユースケース

ツイッターより。

これは面白い&便利な体験でしたね。

実際にどの暗号通貨を送金したのか気になります。写真に写っているロゴを見る限りドルのステーブルコインはUSDTだけ?それでも十分ですが、DAIを受け取って貰えるなら更に嬉しいですね。

スコピエは北マケドニア共和国の首都。通貨はマケドニア・デナール(MKD)。対USDの為替レートを見ると比較的安定してます。2003年と現在のレートが同じです。

中小国のローカル通貨にありがちな通貨安の傾向が見られません。両替所ビジネスが進んでいるのは、自国通貨の信用が低いからではなさそうです。

時代が一歩進んだのは確かです。両替所で現金同士の両替しかできなかった時代よりも選択肢が増えました。現金の入手に暗号通貨が使える、これだけでも一つの立派なユースケースではありますが、まだまだ序の口だと思います。

現金を経由せずに店舗で商品と暗号通貨を直接交換できるようになる、これが最終的なゴールではないかと。そこに到達する前に、まず暗号通貨ウォレットとリンクしたデビットカードが普及するフェーズが来る可能性もあります。もしかしたら日本人が蚊帳の外なだけで、世界的には既にそのフェーズに入っているかも…。

ゴールに到達するには、速度やスケーラビリティなどの課題を乗り越えなくてはなりません。一朝一夕に解決できることではないものの、それほど遠い未来のことでもない気がします。

暗号通貨の技術動向から目が離せません。

参考ツイート: