2011年12月17日

『Bライフ―10万円で家を建てて生活する』 高村 友也 (著)



Bライフ研究所が書籍化されたものらしいのですが、このサイトはあまり読んでいなかった私にとっては、非常に新鮮な内容でした。

著者の毎月の生活費は2万円程度。Bライフ研究所 ≫ お財布に内訳が書かれています。
年に25万円も稼げば、最低限生きていける。
生活コストを下げるといっても、ホームレスにでもならない限り日本ではせいぜい年100万円程度が限界だろうというのは、根拠のない思い込みだったことを思い知らされます。
豊かな国・時代であえて低い生活水準を保つことで、周囲との間に局所的な貨幣価値の格差を生み出すのが、Bライフの旨みとも言える。賃貸暮らしの人が「一日働いてたった8000円か……」と嘆いている一方、Bライフでは「一日8000円ももらっちゃっていいの?」ということになる。
素晴らしい発想力ですね。
実際に彼の生活を真似するかどうかは別として、いざとなればここまで生活コストを落とす余地があることを知るだけで、心に余裕が生まれる人も多いと思います。

たくさん金を稼いでなるべく栄養のあるものを食べれば何かいいことがあるという盲信を捨てさえすれば、あとは個人の自由、食べるもよし、控えるもよし。
(中略)
月10000円の食費があれば生命史上稀に見る高水準の食事が摂れるし、安物のカセットコンロ一つあれば死なないどころか大抵のものは作れる。
食費は普通の住居に住んでいても変わらないところなので、なんでそんなに安くできるのかさっぱりわからないという人には一読の価値ありだと思います。

畑は、何の知識もない筆者にとっては、コーラと同じ嗜好品、楽しみのための贅沢品である。楽しみのための贅沢品が肥大化して、義務としてのしかかってきて、愛しいミニマムライフが壊されるようなことになっては、元も子もない。
同感です。
それに、高度に分業が進んだ現代では、自給自足的な生活に近付けば近付くほど生産性が下がりますからね。ああいう生活は趣味の領域だと割り切るのが良さそうです。

寝たいときに寝て、起きたいときに起きる。この「自由な睡眠」が可能な時点で、上質な睡眠はほとんど保証されているようなものだ。(中略)
規則正しい生活が肉体的健康や精神的健康に良いというのはでたらめで、せいぜいいえるのは、規則正しい社会生活には、規則正しい家庭生活が必要である、この程度だろう。むしろ、目的がなんにせよ、朝目覚まし時計の不快音で起こされることほどその日一日の体調と気分を台無しにすることはない。(中略)
短眠がいいとかたっぷり寝たほうがいいとか、朝型がどうとか夜型がどうとか、そうしたご高説を全て吹き飛ばすだけの破壊力を、自由な睡眠は持っている。いつどれだけ寝るべきかは、体が一番よく知っているわけで、それに従えばいいだけである。
まったく同感です。
同じことが食事にも言えますね。
食欲の有無に関係なく、決まった時間に1日3食ずつ、規則正しく食べる必要がどこにあるんだろうかと、常々疑問に思っています。

超低コストのBライフは早期リタイアとの相性が抜群に良い、というのも面白い点です。
たとえば月20000円のBライフを30歳から65歳まで続けるとして、世間ではワーキングプアと呼ばれるであろう年収96万円の仕事をしているだけで、なんと39歳でリタイア可能になるようです。(p.163の表a)

屋根と壁さえあれば暖かく寝られるのに、日本では現代技術の粋を集めた超高級家屋しか売っておらず、それらを買うための借金によって最悪の場合おちおち寝ていられなくなる。この本末転倒とでも言うべき事態が出発点だった。
不必要に高性能で高価なものしかなく、消費者に選択の自由がないというのは、家だけでなく日本社会に共通の問題ですね。
ちきりんさんのこの記事に書いてあることを思い出しました。
“格安生活圏”背景解説 - Chikirinの日記
この国ではすべてが不必要にオーバースペックになっているために、無用に最低生活コストが高くなっている。それが多くの低収入者層を苦しめているし、社会福祉費の増大にもつながっている、と。

先日来どこかのブログで話題になっていた「日本は高機能で高価格の家電ばかり」というのと同じで、オーバースペックというのはこの国の大きな特徴です。


日本は低所得者に優しい税金・社会保障制度なので、ありがたく利用させていただく。
その通りです。
逆に言えば、高所得者が虐げられる国でもあります。しかもそれが当然だと思っている国民が多すぎるように思います。(参考記事:「小さな政府」を語ろう : 当たり前の話 金持ちこそが我々を豊かにする

では、その自由であなたは何を生み出したのか、芸術か、発明か、科学技術か、と問われるかもしれないが、「……のための自由」なんて語義矛盾も甚だしい。何も生み出す必要などない。ただ生きて、意識があって、自由に考えることができればそれでいい。自由は何かのための道具ではなく、おそらく誰もが知っている単純な欲求である。誰が決めたか知らないが理不尽にハードルの高い、普通の人として存在するための思考様式の最低条件から解放されて、足枷無く物事を考えたい、精神的に身軽でいたいという気持ちである。
そうそう、これです。この気持ちです。何かやりたいことがあるわけでもないのに自由な時間が欲しくなるのは。
この一節の文章に出会えただけでも本書を読んだ価値がありました。

2011年12月16日

『あなたが投資のプロからカモにされる理由』 小林 幹男 (著)



著者自身が「投資のプロ」であり、
もちろん、これも「小林幹男」という人間のポジショントークなので、これをどう受け取るかはあなた次第である。
と正直に述べている通り、いかにも「投資のプロ」的なバイアスのかかったポジショントーク満載で、個人投資家として共感できることが少ない本でした。

p.64
不況時代に唯一勝てる投資とは「カラ売り」をおいてほかにないのだ。
序盤でこんな強烈パンチを繰り出されたら、著者を信用できなくなります。一気に読む気がなくなり、残りは斜め読みでした。

唯一共感できたのが官製不況の話。
日本経済はこれからどんどん悪化していく。
「二番底」などと呼ばれているが、そんな甘っちょろい話ではない。なぜなら、この不況は市況や外的要因はまったく関係のない構造的な欠陥、「官」による法の不備によって引き起こされたものだからだ。
具体的には、2006年の貸金業法と2007年の建築基準法の改悪を指しています。この国お得意の規制強化なので、法の不備と言うよりも法の過剰と言ったほうがいいかもしれません。

官が規制でがんじがらめにして民の活力を奪う構造は健在で、むしろ強化されています。こんなんで景気回復もなにもないだろうと思います。

2011年11月30日

『やりくり上手な賢い夫婦、お金が残らない残念な夫婦 ~なぜ、夫婦で年収800万でもお金が足りなくなるのか?』 中桐 啓貴 (著)  その3



昨日の記事の続きです。

第6章 あこがれの早期リタイアをリアルに思い描く
1 経済的自由を手に入れる
(中略)
残りの人生、お金の心配が一切ない状態で暮らせる体制が整ったという意味です。より専門的に言えば、仕事をしなくても保有資産からの収入が支出を継続的に上回り、資産が膨張していく状態のことです。
これが本書における早期リタイア可能な状態の定義のようですが、無駄にハードルが高いと感じます。

資産の膨張が必要なのは人生の前半だけで、後半は資産が減少に転じるように計画するのが合理的です。関連記事:
前回の記事 とよく似たことが書かれている記事がありました。 誠 Biz.ID:結果を出して定時に帰る時短仕事術:人生の前半では時間を売り、後半では時間を買う : 年を重ねてアルバイトをやったり、就職して会社に入ると、少しずつ自分が管理できるお金が増えていきます。結婚や家を買う、子...
yumin4.blogspot.jp


仕事を辞めても資産が膨張し続けるのなら資産の貯めすぎです。

仮にまだ資産を増やす段階にいるとしても、「継続的に」資産が増える必要はありません。リスク資産の価値は増えたり減ったりを繰り返すものです。人はこのような価格変動を必要以上に避けようとしてインカムゲイン偏重の罠にハマる習性があります。

著者も資産からの「収入」と表現している時点で、インカムゲイン偏重の罠にハマっているような印象を受けましたが、次のような事例を肯定的に紹介しているのを見て、それが確信に変わりました。
「ちょっと前に、グローバル・ソブリンというファンドを300万円分買ったのよ。銀行の女の子から電話がかかってきて、普通預金に置いていても利息もつかないので、分配金が毎月40円出る投資信託を買いませんかって言うもんだから。」
他の3人は投資にはまったく詳しくないものの、分配金という言葉に興味津々です。
「じゃあ300万円だけと思って買ってみたら、それから毎月1万5000円が分配金として振り込まれてくるのよ。平日のゴルフ2回分は賄えるし、本当に助かるわ」
よりによってグロソブとは…。
この事例の人は完璧な反面教師です。このような投資行動の問題点をきちんと解説してくれるのが本物のFPだと思うのですが。

参考記事: なかなか聞けないお金への思い:やりくり上手な賢い夫婦、お金が残らない残念な夫婦 ~なぜ、夫婦で年収800万でもお金が足りなくなるのか?:本読みの記録:So-netブログ

2011年11月29日

『やりくり上手な賢い夫婦、お金が残らない残念な夫婦 ~なぜ、夫婦で年収800万でもお金が足りなくなるのか?』 中桐 啓貴 (著)  その2



昨日の記事の続きです。

2 不動産投資で一番大切なこと
(中略)
インカムゲインを重視し、極端なキャピタルゲインは望まないことが賢い不動産投資の秘訣です。
まあこれは当たり前というか、土地はともかく建物は時間の経過と共に減価していきますから、キャピタルゲインよりもむしろキャピタルロスが発生するものとして利回りを計算すべきですね。

投資対象が何であれ、
リターン=インカムゲイン+キャピタルゲイン-コスト
という式は共通であり、右辺の3つの要素すべてがリターンを左右します。
どれか1つを重視するのではなく、トータルで考えるという視点が重要だと思います。

3 不動産投資の2つのリスク
(中略)
不動産投資のリスクは主に「空室リスク」、「金利上昇リスク」の2つです。
何の前置きもなしに「金利上昇リスク」が出てきましたが、「ローンで」不動産投資をするという前提になっているようです。しかも変動金利で!
リスク分散の観点から、非常に問題のある投資行動だと思います。

不動産投資には他にも、流動性リスク、災害リスク、家賃滞納リスクなどの重要なリスクがありますが、本書では見事に抜け落ちています。

先ほどの事例のように、物件からの収入がローン支払いを上回っている状態は、投資をするにはいい環境だと思います。
???
いい環境もなにも、その状態が当たり前なんであって、収入がすべてローン支払いに消えてしまう状態ならリターンはマイナスになるじゃないですか…。

こんなことを書くのは一体どんなFPなんだ?と思って調べてみたら、この著者の本を読んだのは二冊目だと気付きました。2年前に読んだのがこの本。
「隠れたお金持ちの法則」と呼ぶのはどうも大げさな気がするので、(長期)投資家としての心構えとでも理解しましょうか。次の10か条を挙げています。 「100万円落ちていますよ」と人から言われても決して拾おうとしない 分散投資によってリスクを想定内にしておくことで、夜はゆっくり眠る ど...
yumin4.blogspot.com
こちらはかなりまともな本だったと思うのですが、今回のはまるで別人のようにツッコミどころの多い内容になっているのが残念です。

(つづく?)

2011年11月28日

『やりくり上手な賢い夫婦、お金が残らない残念な夫婦 ~なぜ、夫婦で年収800万でもお金が足りなくなるのか?』 中桐 啓貴 (著)  その1



タイトルは節約術の本にも見えますが、中身は違っていました。アマゾンの辛口レビューに共感します。

FPである著者は、
一概に経済合理性だけを追求したアドバイスをすることが、いかに無意味かを痛感しました。
とのことです。
例えば、たばこを吸う人にとっては、(中略)
禁煙したら30年間で1340万円貯まる事実などは、次の日本の首相が誰になるかと同じようにどうでもいいことなのです。我慢して貯める1340万円よりも、たばこに高い価値を置いているからこそ吸っているのであって、それを他人がムダだと決めつけることはできません。
たしかに一理あります。価値観の相対性ですね。
ですが、経済合理的なアドバイスが無意味、の例になっていないような気もします。この例のように「喫煙という習慣の効用がそのコストを上回っているから禁煙しない」と判断するならば、それはそれなりに経済合理的な判断と言えるのではないかと。

まあ実際には、喫煙の本当のコストなど知らないまま、目先の快楽のために惰性で悪習を続ける喫煙者がほとんどでしょう。そのような人にコストを知らしめた上で、それでも効用のほうが上回るのかどうかを経済合理的に考えさせることは、十分に意味のあることだと思います。

価値観に基づくファイナンシャル・プランニングをみなさんに実行していただきたい理由は3つ。
1. ゴールを設定していない人生は無意味であるから
2. 価値観を大切にすることによって、自由になれるから
3. プランニングをすれば、必ずゴールに到達できるから
価値観に基づくのは大いに結構なことですけど、これらの理由はこじつけっぽくて違和感があります。特に1と3は違うと思います。

p.64~
1 新築マンションは買うな
というセクションがありますが、中身は「ローンで」買うなということしか書いていないようです。見出しが言葉足らずで誤解を招きます。

不動産というのは株式のように市場がありませんので、相対取引が主になります。
すると、ぜったい儲かるような物件は水面下で取引されるので、広告等で表に出てきている物件は基本的に儲からないと考えていいかもしれません。
その通りだと思います。市場メカニズムが働かない相対取引はできるだけ避けたいところです。
ここまでわかっていながら、
第4章 不動産投資でいろいろな夢への扉を開く
にページを割いており、不動産投資に肯定的な内容になっているのが不思議に感じました。

1 心ときめく不労所得
(中略)
一番わかりやすい不労所得は何かというと、利子ですね。といっても、現在は超低金利の時代。不労所得には違いないですが、1000万円銀行に預けておいても1年間につく利息が1万円
このように名目金利だけに着目し、利息に「不労所得」というラベルを貼って何か特別な収入のように扱ってしまうのは、よくある間違いだと思います。

たとえば、超高金利の時代が到来して1000万円の銀行預金が100万円の利息を生むとしたらどうでしょうか? 税引き後80万円の不労所得だと言って喜んでしまう単純な人は、大事な何かを忘れています。

銀行預金の金利が10%のとき、たとえばインフレ率が9%だったら?
1000万円の銀行預金は1年後に1080万円になっているはずです(ここで1000万円の元本と80万円の利息に分けて考えることは無意味です)。しかしその購買力は1年前の物価に換算して990万円ほどしかありません。実質的には不労所得どころか不労損失が発生していることになります。

因みに、この例で実質金利がプラスなのに購買力がマイナスになるのは、インカムゲインにかかる税金のせいです。利息や配当、分配金などのインカムゲインが多いことをありがたがってはいけない理由がおわかりいただけるかと思います。

(つづく)

2011年11月16日

さらばシティバンク

シティバンクオンラインのUI変更
シティバンクの口座は海外旅行前のTC調達に利用してきましたが、ドル建てデビットカードを入手した今となっては存在価値が希薄になっています。最近は円高の影響で口座維持手数料がかからない20万円相当の外貨を維持するのに苦労していますし、今後は解約も視野に入れて検討していきます。
検討開始から3年も引っ張りましたが、ついにシティバンクの口座を解約しました。円高の影響で残高が20万円ぎりぎりの水準に落ちてきて、毎月残高をチェックするのも面倒だし精神衛生上よろしくないと判断しました。

解約の際、米ドルの残高はTCに替えようかとも思いましたが、なんと今は発行手数料無料じゃないんですね。いつの間に改悪されたのやら…。
もし海外旅行に出かけるとしても、FirstradeのデビットカードがあればTCは不要なので、結局円に戻しました。為替手数料やら為替差損やらでけっこうなロスが出てしまいました(いちいち計算はしていませんけど)。
こんなことになるのなら3年前にさっさと解約しておけばよかったです。

現在のシティバンクは、
・金利が異常に低い(米ドル1年定期0.07%)
・海外送金手数料も安くない(3500円)
・TC発行手数料有料
・最低残高を割ると口座維持手数料がかかる
・国内の振込手数料でさえ有料
まったく魅力のない銀行だと思います。

外資系銀行には黒船的な役割を期待していただけに残念です。

2011年11月10日

『貧乏人の逆襲!―タダで生きる方法』 松本 哉 (著)



寝太郎さんのブログで偶然見つけたので読んでみた本です。
アフィリエイト 2011年9月分|10万円で家を建てて生活する寝太郎のブログ

アマゾンのレビューを見ると★5つがやたらと多いようですが、過大評価だと思います。

ウィキペディアにも書いてありますが、著者が非常にユニークな人物であることは本書の冒頭を読むだけでわかります。
松本哉 - Wikipedia
松本 哉(まつもと はじめ、1974年10月17日- )は日本の「左翼」活動家[1]、古物商である。東京都杉並区高円寺でリサイクルショップ「素人の乱」を経営[2]しながら、任意団体「貧乏人大反乱集団」の主宰者[3]として活動を行っている。


実際に「タダで生きる」のは無理だとしても、いかに安く生きるかを追求していくと、こんな方法もあるのかという気付きをもたらす点では面白い本でした。

勝てない競争に参加するよりも、もっと自由に、好き勝手に生きればいいじゃないかという方向性についても同意します。

しかしながら、本書で紹介されているノウハウの中には、明らかに一線を超えてしまっているものがあり、すべてを台無しにしている印象です。

たとえば、食い逃げをする、他人の服を窃取する、キセルをするのは、相手の意思に反して金品を収奪する行為です。相手がどんなに金持ちであっても、このような行為は正当化できません。

そのような行為を正当化してしまうのは、金持ちや大企業を敵視する貧乏人特有の歪んだ感情(ルサンチマン)が原因と思われます。
ルサンチマン - Wikipedia
ルサンチマン(仏: ressentiment)とは、主に強者に対しての、弱い者の憤りや怨恨、憎悪、非難の感情をいう。


端的に表現すれば、「貧乏人は弱者だから、強者である金持ちからは金を毟り取ってもかまわない」という思想が根底にあり、本書に出てくる彼の行動のすべてがそれに基づいているように見えてしまいます。

自由に生きることを願う人が、自分が敵とみなした相手の自由は認めないなんて、これほど矛盾した考え方はないと思います。

2011年10月2日

『新・片づけ術「断捨離」』 やました ひでこ (著)



なかなかモノが捨てられない性格を何とかしなければと思って読んでみた本です。

そしてもっと突き詰めていくと、断捨離で「所有」という発想自体をことごとく打ち破っていきたいな、とさえ思うのです。これはちょっと過激な話に聞こえるかもしれませんが、何かのために備える必要はないんじゃないか、と。いつかそのうちというのは、それが訪れたそのときでいいわけだしと思うと、取っておこうという概念はなくなるんですよね。
いつか使うんじゃないかと思ってとりあえず取っておく、という考え方で暮らしていると、いつの間にか家中がそういうモノだらけになってたりします。(反省)

確かに、これだけモノが溢れかえっている豊かな時代なら、そういうモノは必要なときに必要な分だけ買うか借りるかすれば済む話で、何かのために備えるとすれば、所有すべきなのはお金(金融資産)だけで十分でしょう。金融資産は所有するための場所やコストがほとんどかからない例外的な存在ですから。

いかに私たちは、不安のためにお金を使って、不安のためにモノを取っておくか。これはいいとか悪いとかという問題ではなくて、人間というのはそういうものなんだなあ、と理解しておくと「では自分がどうしたいか」がクリアになってくると思います。生き方の問題ですね。
人間とはそういうもの、とは言え、やはり不安に駆り立てられただけの行動は慎むべきですね。今まで合理的なお金との付き合い方については色々学んできましたが、同じような考え方がモノとの付き合い方にも応用できそうだなと、今さらながら気付きました。

私は、究極的には、すべてのモノは神様と地球からの借り物だと思っています。
(中略)
所有とは結局、思い込みです。
この考え方は、小飼弾氏の『弾言』にも書いてありました。寿命が来たらすべて終わりですからね。
このように考えると、モノへの執着が空虚で無意味なことのように思えてきます。

2011年9月6日

「働かざるもの食うべからず」という考え方が日本を滅ぼす

先日の記事で、「働かざるもの食うべからず」という思想の弊害について触れましたが、同じようなことが書かれたブログを見つけました。

円高のいま、すべきこと。/日本を滅ぼす「働かざる者食うべからず」という強迫観念 - デマこいてんじゃねえ!より:
現在のように介入に失敗して円高ドル安が進んでしまうと、当然、買い集めたドルの価値も下がり、為替差損が発生する。元手となる円を国債で調達している以上、この損失は将来の国民の負担となる。

今を守るために未来を売り払う――この国は何度おなじことを繰り返せば気が済むのだろう。

自分の産業のことしか見えていないおっさんたちの声に耳を貸すべきではない。
まったく同感です。
政府に何かを要求しては、そのコストを払わずに「ツケ」で済まそうとするのは、日本国民の悪い癖ですね。これからは逆に、政府は何もしなくていいから、浪費をやめて借金を返済しろと言わなければなりません。

日本人は「働かざるもの食うべからず」という言葉を固く信じている。仕事をしていない人に直接お金を渡すことに抵抗があるのだね。だからすでに食っていけない産業であっても、価格統制等で無理やり食えることにしてしまう。「なにもせずにカネだけ受け取ってください」とは言えず、「(本当はやらないほうがいいのだけど)とりあえず働いてください、生産物を買い上げますから」と言ってしまう。もとは世界屈指の技術・生産性をもっていた産業が、政府にスポイルされて、いつの間にか穴を掘って埋めるような産業になってしまう。

日本の製造業を農業の二の舞にしてはならない。

「働かざるもの食うべからず」という考え方が日本を滅ぼす。わりとマジで。
いやほんと、この考え方は圧倒的大多数の日本人の脳に深く刷り込まれているようで、税金が生活保護に使われるのには猛反対でも、雇用創出・維持に使われるのならはるかにマシだと思ってしまう人がほとんどではないでしょうか。私もわりと最近までは、何となくそう思っていました。

確かに、両者のコストが同じならその考え方でも特に害はないと思います。
しかし実際には、働かない人に直接お金を渡すよりも、働いていない人を働かせるほうが、はるかに高くついたりするんですね。たとえば一人の0歳児を抱えた母親を働かせて100万円稼がせるために、保育所だけで600万円の公費が費やされているという話は、『社会保障の「不都合な真実」』 鈴木 亘 (著)で紹介した通りです。こういうのを無駄遣いと言わずして何と言うのでしょう。

旧来の固定観念に縛られたまま、莫大な税金が無駄遣いされていることにまったく気付いていない大多数の日本人。「日本を滅ぼす」という表現も決して大げさではないと思います。

この記事の後半はインドネシア投信の話に。
先日、メガバンクの個人営業担当の人と飲んだ。顧客はみんなお金持ちばかりだ。私のような貧乏人と商売することなんてないんだろうなー、と思っていたのだけど、なぜかインドネシア株の投資信託を熱烈に勧められた。
こ、これは…。
相当なボッタクリ臭の漂う金融商品です。販売手数料3.15%、信託報酬1.8%ぐらいじゃないですか?
メガバンクの営業というキーワードからして怪しいので、気をつけてくださいね。

2011年8月28日

『人生論』 堀江 貴文 (著)



人生の有限感 - Chikirinの日記で紹介されていたのがきっかけで読んでみた本です。

堀江氏は小学1年生のときに「死の恐怖」をはっきりと自覚し、恐怖のあまり時折発作に見舞われたと言うのです。私がそれを意識し始めたのは既に人生を数十年も過ごした後でしたから、そんな若さで!と驚くと同時に、やはり只者ではない人というのは、幼少の頃から既に一風変わったところがあるものだなと思いました。
死に怯えないためには、常に忙しくして、考えなければいい。
これまた驚きの対処法です。
そうまでして逃れたいほどの強い恐怖って、凡人の私にはちょっと想像できません。
私は、楽とは思考が停止した状態であって、つまらないと思う。退屈なだけだ。それに、退屈な時間は「死」と向き合ってしまうので嫌である。世の中には、何も考えないでボーッとした時間を持てる人もいるようだが、私にはできない。ぼんやりすると、死を頭の中に招き入れてしまうからだ。
私は逆に忙しいほうが嫌な人なので、このような感覚には共感できませんが、彼のこれまでの生き様を見ていると、なるほど辻褄が合うなと思いました。

保釈後、人々を刺激するような発言をすることをやめようか、とも少し考えた。しかし、やはり考えてみて、「私はそういう刺激的なことを言わなければならない役割なのではないか」と思う。
素晴らしい決意だと思います。素直に拍手を送りたいですね。

ところで、マスメディアが刷り込みたい彼のイメージと、本人の著書やネット上のメディアの情報から構成できる彼の人物像との間には、けっこう乖離があるように見えます。これを利用して、「ホリエモンのことをどう思うか?」という質問にどう答えるかによって、その人のメディア・リテラシーのレベルをある程度見分けられる、リトマス試験紙として最適な人ではないかと思っています。

今でも私は、最低でも8時間は寝たいと思っている。
そうですね、私も基本的に毎日8時間寝ています。
7時間までなら何とか減らせますが、それ以上減らすのはちょっと無理ですね。現役時代どんなに忙しいときでも、睡眠時間を削るという発想はありませんでした。

日本人は「行列マニア」である。並んでいる間、貴重な時間というものを浪費しているのに、それを浪費と思わない。でも、私は絶対に行列になど並びたくない。
人と同じことをするのは、一番損をすることなのだ。人と違うことをするからこそ、超過利潤が生まれるのであって、同じことをしていたら一番高いものを買わされるだけである。
同感です。
忙しい堀江氏と違って暇人の私でさえ、人と同じことをしたばっかりに時間や自由を失うのは非常に不快です。もうこれは経済的な損得の問題ではなく、持って生まれた感性の違いなのかもしれません。

私は「小さな政府」であるべきだと思うし、いっそのこと政府などなくなってもいいのではないかとすら思う。官はものすごくコンパクトにすべきである。
という主張に基づいてベーシックインカムの導入を提唱しています。賛成です。
関連記事:
少し前に ホリエモンのブログに面白い記事 がありました。 農業革命で人々は飢えることからある程度開放された。 産業革命で人々は労働時間からある程度開放され、余暇の時間を持つことができるようになった。 実は、多くの人はもう働かなくてもよくなった状態にあるのかもしれない。 でも働かな...
yumin4.blogspot.jp


すでに、今は働くのが尊いという時代ではない。必ずしも働くことが尊いと言わずとも、生きていける時代になったのだから、無理に働くことは惰性でしかない。
その通りですね。
無理に働いて自分の時間を失うだけなら個人の勝手ですが、社会全体の富を食いつぶす負の労働をしている場合もあります。(関連記事: 『社会保障の「不都合な真実」』 鈴木 亘 (著)

なぜ人々が無理にでも働くかというと、今の社会制度が「働かざるもの食うべからず」という前時代的な思想に基づいて設計されているからです。負の労働をする人に罰を与え、何もしないでいる人にインセンティブを与えるように、制度の設計を根本的に変えていく必要があると思います。

2011年8月22日

『減税論―「増税やむなし」のデタラメ』 河村 たかし (著)



わしはずっと総理大臣になってこの国を変えたいと思って政治に携わってきた。名古屋で革命を起こし、次は日本の革命につなげようという思いは、いまでも変わっていない。そうなったときの初めの政策は消費税率の1%引き下げだ。
日本に限らず、世界中でいま、時代の変わり目が来ている。日本は「庶民の手による民主主義の時代」へ向けて動き出した、とわしは思う。減税を突破口にし、そこから規制撤廃、地方行財政改革を進め、強い地域をつくる。国から独立し、本当の意味ではこれまで存在しなかった日本の「民主主義」を、名古屋から、減税政策から、実現させたいとわしは本気で考えている。増税やむなしという大本営発表を流し続ける議員、役人、マスコミに騙されちゃいかん。増税と言っとるのは、今のしくみの中で税金や既得権益にどっぷりつかった勝ち組の人々なのだ。この人たちがいくらもっともらしい理屈をこねても、庶民・納税者の暮らしを苦しめる増税で国民が幸せになれるはずがない。
もっと日本をよくするための戦いは、いま始まったばかりなのだ。
素晴らしい理念を持った政治家だと思います。名古屋市民が羨ましい。
小さな政府路線を支持する有権者にとって、減税日本は注目に値する政党です。今まで総理大臣なんて誰がなっても日本は変わらないと思っていましたが、もし減税日本が政権政党となって河村氏が総理大臣になる日が来るのなら、本当に革命が起こるのではないかという期待が膨らみます。

本書で残念なのは、第1章:
国債は「借金」ではなく「財産」である
なんだかよく分からないタイトルですが、要は、最近声の大きい「財政危機なのだから増税は不可避」という主張を否定したいがために、
日本は貯蓄過剰であって財政危機ではない。
などという妙な理論を展開している点です。

たしかに国債は債権者から見れば「財産」でも、国からみればやっぱり「借金」以外の何ものでもなく、その借金がこれだけ膨れ上がっていればやっぱり日本国政府が「財政危機」であることは間違いないでしょう。この前提を素直に認めたとしても、べつに増税不可避論を肯定することにはならないわけで。

ここはシンプルかつ堂々と、
「日本は財政危機だが、増税ではなく歳出削減によって危機を回避できる」
という、ごく当たり前のことを主張するだけで十分だったのではないでしょうか。

いきなり第1章で長々と意味不明な理論を展開されたので、私は危うくトンデモ本だと勘違いして途中で投げ出すところでした。諦めずに最後まで読んで本当に良かったです。

参考記事: 『減税論』河村たかし: hard workers portfolio

2011年8月20日

『35歳からのお金のリアル』 人生戦略会議 (著)  その2



『35歳からのお金のリアル』 人生戦略会議 (著)  その1の続きです。

第5章「健康と年金」では、長生きをした場合に少しでも得をするために、受け取る年金額を増やす方法を色々紹介しています。
たとえば、国民年金には、定額の年金保険料に「付加年金」を加えて納めることで、65歳からもらう年金を少しばかり増やせるという制度があります。
(中略)
単純計算でみれば、65歳から年金を受給する場合、67歳になるまでの2年間生きれば、元が取れます。
要するに、自分が67歳よりも長生きすることに総額12万円を賭ける(今のところは有利な)ギャンブルと言えます。

ただ、このような制度に敢えて加入するのは、長生きする自信のある健康自慢の人たちばかりでしょうから、ほとんどの人が67歳以上生きて「元を取る」ことになり、やがて収支が合わなくなるのは目に見えています。たまたま現在の人口ピラミッドに都合の良い賦課方式だからこそ、損益分岐点が若くても何とかなっているだけで、30年後には80歳以上生きないと元が取れない制度になっていてもおかしくないと思います。

さらに国民年金基金についても紹介していますが、これも任意加入の制度である以上、付加年金と同様に、原理的には「元を取る」ためのハードルが強制加入の年金制度よりも高くなってしまうこと、途中解約ができないこと、さらには、
最大のデメリットで、もしかしたら損失につながるかもしれないのは、「物価スライド形式でない」ということです。
これは致命的です。
30年後に毎年360万円もらえると言われても、その購買力がどの程度なのかは、今後30年間のインフレ率によって大きく変動しますからね。
要するに、国民年金基金はインフレリスク丸抱えの金融商品なのです。

最後には民間保険会社の「個人年金保険」まで紹介して4階建てに挑戦、などと書いているのは、さすがにやりすぎでしょう。そこまで不利な金融商品に手を出さないと老後の年金不安が拭えない人は、あらゆる不安ビジネスの餌食になりかねないと思いますよ。

「なーんだ、結局マジメに払うのがもっとも得なのか」
じつは、そうなのです。公的な制度というものは、正直ものがバカをみないように設計されているのです。
日本年金機構(旧社会保険庁)のプロモーションビデオを見ているようで、思わず笑ってしまいました。

正直者がバカをみる設計になっている公的制度は、世の中にいくらでもあり、むしろ競争のない「公的」制度だからこそ、そういうおかしな設計になりやすいと言えます。賦課方式による世代間格差、第3号被保険者のフリーライドを許す公的年金制度なんて、その最たるものでしょう。

頭の良い人たちが設計したからといって、フェアな制度になるわけでもなく、国の定めた制度なんて、時の権力者たちによっていつどのように改悪されてもおかしくありません。ここまで国を信頼できる無邪気さは、いったいどこから出てくるのだろうと思いました。

参考記事: お金学 35歳からのお金のリアル(人生戦略会議編)

2011年8月19日

『35歳からのお金のリアル』 人生戦略会議 (著)  その1



著者の人生戦略会議とは、20代~40代の男女11名からなる匿名集団のようです。
前作の『35歳からのリアル』の方は、まだ読んでいません。

最後のページにとても良いことが書いてあります。
私たちはお金を稼ぐために生きているのではありません。生きるためにお金を稼ぐのです。お金はあくまでも生きるための手段。目的と手段を取り違えてはいけません。

どうか、お金に踊らされない人生を。
賛成です。

ただ、各論を見ていくと腑に落ちない点もけっこうあります。
貯金とは「収入-支出」の副産物なのですが、「給与をもらい、必要な分を支出して、残ったお金を貯めていこう」という意識では、絶対にお金は貯まりません。
天引きとか積立てなどの「仕組み」に従わないと貯まらない人の方が多いのだろうとは思いますが、「絶対に」貯まらないなんてことはありません。私はまさに、ここに書いてある通りの意識で現役時代を過ごしましたが、ちゃんとお金が貯まりました。

要は、「必要な分を支出」する段階で、たまたま持っているお金が多いか少ないかによって、必要なものの範囲が広くなったり狭くなったりして一貫性がないのが、貯まらない人の特徴ではないかと。関連記事:
けっこうな人気本のようですが、 資産がマイナスかもしくはゼロに近い状況にあり、このままではいけないと感じている「お金の問題児」である(かもしれない)あなたといっしょになって家計を立て直し、貯金をするための実践的なアドバイスをお伝えしたいのです。 と書かれているように、「お金の...
yumin4.blogspot.jp


お金という点からみて、健康な人は、不健康な人より得をします。早死は損をし、長生きは得です。
主な理由は以下の3つ。
□健康な人は、不健康な人に比べて、医療費がかからない
□心身ともに健康であれば、老後、働いて収入を得ることができる
□健康な人は、不健康な人よりも長生きでき、年金を多くもらえる
まあその通りなんですけど、2番目の理由って「得」なんだろうかという疑問が…。
老後でなくても働きたくないのに、心身共に衰える老後に働くなんて想像したくないです。

介護状態になってからの期間を差し引いた寿命を「健康寿命」といいますが、長生きして得をするためには、この「健康寿命」を伸ばすことが重要になってくるわけです。
日本人の健康寿命は男性72.3歳、女性77.7歳だそうです。
男性が60歳まで仕事をしていたら、健康な余生を送れるのは平均12年しかありません。とんでもなく短く感じるのは私だけでしょうか。

老後は遊んで暮らしたい?
それはそれで、ぜいたくな人生です。しかし、遊ぶにしても、ある程度の健康が必要です。また、おそらく飽きます。かなりニートな強者でも、健康な身体をもちながら、それでいて6万5000時間、27年分相当もの時間を遊び倒すのはむずかしいのです。
まず、老後であろうとなかろうと、そもそも遊んで暮らすのがなぜ贅沢なんだろうかという疑問がひとつ。むしろ、老後に残されたわずかな時間をお金に替えてしまうことのほうが、贅沢な生き方のように思えます。

さらに、たった27年の時間を「持て余す」のではないかという、一種の恐れにも似た感覚も、私にとっては理解しがたいものがあります。(
関連記事:
日本一のニートを目指すphaさんのブログに秀逸な記事がありました。 無職の才能 - phaのニート日記 より: 街に出て飲み会とかするのが好きな人はあんまり無職に向いていない。飲み食いは結構お金がかかる。買い物が好きな人も向いてない。ギャンブルに走ってしまう人も駄目。一方、インタ...
yumin4.blogspot.jp


(つづく)

2011年8月4日

31歳からのヤングリタイア生活

また一つ、早期リタイア系ブログが開設されました。

守銭太郎さんの
blog開設: 31歳からのヤングリタイア生活
31歳でヤングリタイアして、現在33歳。
リタイア生活2年目だが、
まだ人生に迷子中だ。

新規開設ではなく旧ブログ、ヤングリタイア後の生活からの引越しのようですね。

旧ブログのヤングリタイア後の生活 ≫ 私がヤングリタイアした方法をざっと拝見したところ、個人事業で失敗を経験しながらも最終的には起業家として成功されたようです。その7以降の記事がまだ準備中なので、成功の核心部分は不明ですが。

サラリーマンだと31歳でのリタイア達成はちょっと難しいかもしれませんが、起業という大きめのリスクを取ることによって、これぐらいの若さでリタイアすることも可能なのですね。まだまだ珍しい事例であり、今までにない希少な情報が出てくる可能性があるのではないでしょうか。

同じ早期リタイア組ブロガーとして注目していきたいと思います。

2011年7月27日

『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』 山崎 元 (著), 水瀬ケンイチ (著)



いろいろな投資系ブログで話題になっていたので読んでみた本です。図書館でも人気になっていて、すっかり周回遅れになってしまいましたが。

著者お二人の紹介記事はこちら。
山崎元氏と私の共著、「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」が本日から正式に発売になります。ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド (朝日新書)山崎 元 水瀬ケンイチ 朝日新聞出版 2010-12-10売り上げランキング : 81Amazonで詳しく見る楽天ブックスで詳しく見る by G-Tools内容をご紹介します。目次は以下のとおり。序章  人はどのようにしてインデックス投資家になるか     ~水瀬ケンイチの投...
randomwalker.blog19.fc2.com

詳しくは、「理論編」で述べたが、「市場が効率的だから、インデックス運用がいい」のではない。「市場が効率的であってもなくても、インデックス運用は有利」なのだ。
そうなんですよね。
その理由は本書p.38「インデックス運用が負けない理由」に詳しく書いてありますが、一言でまとめるなら、世の中のアクティブ運用全体のリターンも(市場平均-コスト)になるからです。

因みに、市場が効率的でないと成立しないのは、「市場価格は常に適正なのだから売買のタイミングを気にする必要はない」という命題の方だと思います。
私もわりと最近まで両者を混同していたような気がします。

アクティブファンドの手数料について。
はっきり言って「暴利」です。(中略)
そもそも、信託報酬が1.5%という段階で、運用商品として「論外」でしょう。検討する必要がない、と断言します。
同感です。
しかも、国内のアクティブファンドに至っては、手数料が下がるどころか昔より高くなっているようです。それでも買う人がいるから商売が成り立っているのでしょうけど。

新聞、雑誌などのマネー関係の特集記事では、「分からないことがあれば、金融機関の担当者にしっかり訊いて解決しましょう」「自分の納得が行くまで、金融機関の窓口で相談してみましょう」といった内容が結論になっている場合がしばしばありますが、これは鴨が漁師の家を訪ねるくらいの間抜けで危険な行為です。
特にお金を持っている年配の方ほど、そういった旧メディアの記事を鵜呑みにしそうで危なっかしいんですよね。その根底には、自分で苦労して情報を集めなくても、専門家(新聞記者や金融機関)に任せておけば正しい情報だけを教えてくれるだろうという、ある種の依存的なメンタリティが共通してあるように思います。

資金の使途別にそれに適した運用方法や運用商品があるというのは、運用商品を売る側がふりまいている、マーケティングのためのフィクション(作り話)です。医療保険、学資保険、個人年金、といったお金の使途を謳った商品の大半は検討する価値さえない代物です(特に、医療保険が不利でしょう)。
肝に銘じておきましょう。

水瀬 山崎さんの言葉で、「運用という作業は、基本的に持っていることであり、売り買いではない」というのがありましたが、実際私もインデックス投資を8年続けてみて、まさにそのとおりだと思います。
山崎 売り買いすることが、投資であり運用だという思い込みを持っている人は多いですね。(後略)
ほんとその通りですね。インデックス運用云々よりも、このポイントこそが「ほったらかし投資術」の肝かもしれません。

株を「やる」という表現が広く浸透しているのも、こういった誤解の表れだと思います。「株やってるんですか?」と聞かれるたびに、「やってるんじゃなくて持ってるだけです」と正直に答えても、「?」顔をする人がほとんどです。

参考記事:
インデックス投資の分野では誰もが認めるNo1ブロガーの水瀬ケンイチさんと、あの山崎元さんの共著「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」が昨日発売になりました。おめでとうございます!
www.lay-up.net
共著者の水瀬さんに本を頂きましたので、早速読ませていただきました! 基本的な構成は、山崎元さんの投資理論、個人投資家:水瀬さんから見た投資、そしてインデックスファンドのファンドマネジャーとの対
kaeru.orio.jp
山崎元氏、水瀬ケンイチ氏共著である『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』を読みました。水瀬さん、本をいただきありがとうございます。さて、読んでみての感想です。(知っている人が書いた&いただいた本だと甘口評価をしたくなりますが、そうはできな
www.tsurao.com
週末に『ほったらかし投資術-インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)を読みました。 著者は経済評論家の山崎元さんと、梅屋敷商店街ランダムウォーカーというブログを書いている、インデックスブロガーの水瀬ケンイチさんのお二人。 コンパクトな新書サイズながら、インデックス投資に関する...
blog.goo.ne.jp
以前の記事「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」を予約 からしばらく経過しましたが先週末あたりで読み終えました読み終えてしばらく経過していましたが改めて読み返してみるとつくづく良く内容が練られたバランスの良い仕上がりに気付きます今回は読んだ感想ですほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド (朝日新書)posted with amazlet at 10.12.21山崎 元 水瀬ケンイチ 朝日新聞出版 売り上げランキング:...
toyop.net
こんにちは。インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。今、話題の本「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」を読了しました。ズバリ、この本には【ふたつの河】が流れています。ひとつは水瀬さんパート。こちらは初心者向けのガイダンス → 実践といった流れです。もう一方の山崎さんパートは、すでにインデックス運用を実践している人に理論的な裏付けを与えてくれる骨太なテキスト、といった印象です。本...
tohshi.blog61.fc2.com
「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」(山崎元さん、水瀬ケンイチさん共著)を読みました。水瀬ケンイチさんは、ご存じの通りブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を書かれている方です。(本ブログ左サイドバーにもリンク有)今回は、本は図書館で借りることが多い私が、(事前情報から)価値があると踏んでめずらしく購入しました。以下に読み終えた感想を書きます。...
longinv.blog103.fc2.com
アルファブロガーの水瀬ケンイチ氏と経済評論家の
norafp.seesaa.net