農業革命で人々は飢えることからある程度開放された。この意見にたいへん共感を覚えたので、そこで紹介されていた本を読んでみました。
産業革命で人々は労働時間からある程度開放され、余暇の時間を持つことができるようになった。
実は、多くの人はもう働かなくてもよくなった状態にあるのかもしれない。
でも働かないといけないという古い倫理観は残り、実は社会全体の富を増やす労働ではなく、社会全体の富を食いつぶしている負の労働があるのではないか、と思っている。
著者のヴェルナー氏はドイツ人で、デーエムというドラッグストアチェーンの創業者だそうです。
ベーシック・インカム構想というのは生活に最低限必要な所得をすべての個人に無条件で支給することによって「万人の真の自由」と無条件な生存権を保障しようという構想であり、戦後「福祉国家」における社会保障制度が機能不全するなか、「生活を支える新しい社会政策」として注目を集めてきている考え方である。著者が提言するベーシック・インカム制度の概要はこんな感じになります。
・全国民に無条件で月1,500ユーロを支給する。(子供と老人にはやや少なめに)
・年金、生活保護、失業給付、児童手当、奨学金、住宅手当などの社会保障制度は廃止する。
・消費税は最高税率を50%程度まで上げる。
・価値創造の成果に対する課税(所得税、法人税など)は廃止する。
金額の妥当性については検討の必要があるとして、ベーシック・インカムの基本理念が非常に優れていることは間違いないと思います。特に次のような利点は高く評価できます。
ペーシック・インカムの支給に伴って、現行の社会保障給付(保険、手当、扶助)のうちの現金給付部分(年金、生活保護、失業保険など)が廃止される。個人所得税制における所得控除は不要になり税制と社会保障制度の統合が実現する。社会保険料の徴収や記録に関わっていた「役所」や経費は不要となり、福祉給付で不可欠であった選別主義的な資力調査(ミーンズテスト)に用いられる行政経費も不要となる。いくらコストをかけて調査しても解決しきれなかった不正受給の問題も、これで完全に解消します。社会保険庁などの非効率な行政機関も解体できます。これだけシンプルな制度を維持するには小さな政府で十分です。
おまけに税源を消費税に一本化するという案も、実にシンプルで良いと思います。徴税コストが劇的に下がり、税務署の仕事もほとんど無くなるでしょう。こうしても物価が変わらない理由も本書の中で述べられています。
昨日の記事に書いたことと矛盾するように見えるかもしれませんが、現行の複雑怪奇な社会保障制度をベーシック・インカムに一本化するというアイデアには、全面的に賛成したいと思います。たとえそれが昨日の記事に登場したような人たちを救済する結果になってもです。そう思わせるだけの十分な説得力のある本でした。
はじめまして、カールバーグです。
返信削除ベーシック・インカム なるほど、面白そうですね。僕もちょっと考えてみますね。フィナンシャル・フリーダムを無期限で定額給付しようという感じかも。
( Futurist's Blog
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同じような意見を自民党だったか平沼さんだったかにメールしたことがあります。『新班田収受の法』と題して。仮に日本がそのように社会を組み替えたならば世界のお手本になるでしょう。私は伝統的な日本の社会にそのような観念があったように思います。
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