2021年1月30日

JPY版ステーブルコインJPYCが誕生

日本暗号資産市場株式会社のプレスリリース(2021年1月27日 11時00分)日本円ステーブルコイン[JPYC(JPYCoin)]がリリース・販売開始|前払式支払手段扱いのステーブルコイン
prtimes.jp

USD版のステーブルコインは2015年のUSDTから始まり、USDC、DAIなど多様な選択肢が次々と生まれてきましたが、JPY版で誰でも買えるものはJPYCが初めてとなります。

分類で言うと、同額の法定通貨を預かって発行する「法定通貨担保型」になると思われます。しかし、発行主体がJPYCからJPYへの交換には応じない点は、USD版の法定通貨担保型ステーブルコインと異なります。おそらく、日本の規制を掻い潜るためにはこうせざるを得ないのでしょう。

法定通貨に戻せないならJPYCのまま使えばよかろうと思っても、今のところはアマゾンでの買い物を代行してもらうぐらいしか使い道がありません。どうしてもJPYへ戻したければ、UniswapなどのDEX(分散型取引所)でETHに交換後、ETHを日本の取引所へ送って売却するという手順が必要になります。

JPYCの使い所としては、大半が法定通貨から暗号通貨へのオンランプ(on-ramp)に使われると思います。JPYでJPYCを買い、UniswapでETHやDAIなどに交換後、DeFi(分散型金融)の世界に広がり続ける多種多様なプロトコルで資産運用、という流れです。特に口座開設やKYC(本人確認)が不要な点は、CEX(中央集権型取引所)を経由する従来のオンランプ手段と比べて大きなメリットになりそうです。

因みに、これから初めて暗号通貨に触ってみようという人は、まず従来の取引所で少額のETHを買って自分のウォレットへ出金するところから始めるのが良いと思います。というのは、最初にいきなりJPYCを買って自分のウォレットに着金しても、そのウォレットにETHが入ってないとUniswapを使うことさえできないからです。

JPYC普及の鍵は、まず第一にDEXでの流動性だと思います。Uniswapで流動性提供したアドレスへのインセンティブプログラムが既に発表されているものの、資産を流動性プールに1年も置き続ける見返りとして僅か5%はショボいと言わざるを得ず、流動性プールの残高はそうそう増えていかないだろうと思います。

もう一つ重要なのは、両替や送金時にかかるトランザクション手数料(ガス代)がもっと安くなることです。現在のイーサリアムネットワークは需要の増加に処理能力が追いつかず、手数料がかなり高くなっています。たとえば最近Uniswapで0.1ETHを13579JPYCに両替したトランザクションを覗いてみると、12ドル弱の手数料がかかっていることがわかります。
Ethereum (ETH) detailed transaction info for txhash 0x3abfd29d2cb57657e491763f664913d874c1a751f93ca968eb4ba1c6ed72069a. The transaction status, block confirmation, gas fee, Ether (ETH), and token transfer are shown.
etherscan.io
Transaction Fee: 0.00872025 Ether ($11.71)
この程度の金額の両替ではトランザクション手数料だけで10%近くETHが目減りしてしまいます。DeFiが面白そうだからちょっと少額で触ってみようと思っても、何かやるたびにこんなに手数料が飛んでいくと知ったら幻滅するでしょう。逆に、動かす金額が十分に大きくなれば、現在の手数料でもほとんど気にならなくなります。

最近になってEthereum2.0も始動しましたし、現行のEthereum1.0でもLayer2の技術開発が着々と進んでいるようですので、スケーラビリティーの改善によって手数料の問題が解決する日もそう遠くない気がします。

参考ツイート:

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