2018年1月30日

暗号通貨は投資家としてはスルー、消費者としては期待

東洋経済オンラインより。
おカネに関することで昨年、大いに話題になったのが仮想通貨のビットコインです。何しろ昨年1年間で価格が20倍以上になったのですから、あちこちで話題にならないはずがありません。1月26日に取引所のコインチェッ…
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Coincheck事件のようなことが起こった直後は、ネット上の言論も暗号通貨へのネガティブキャンペーン一色に染まりがちなところ、この記事は珍しく冷静で中立的なのが良いですね。著者の大江英樹さん、人生観や労働観には全く共感しませんが、少し見直しました。

日本では現金に対する信仰が強いわけですが、実は現金だって「バーチャルマネー」なのです。金と交換するという機能がなくなった時から現金の価値というのは約束事で成り立っているわけですから、その本質は仮想通貨と何ら変わるものではありません。ただ、システムが異なるだけです。
まさにその通り。
暗号通貨を「仮想通貨」と呼ぶことに違和感を覚えるのは、この理由からです。法定不換紙幣も「仮想」なんだからその呼び方では区別にならないわけで。

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ツイッターを眺めているとこんなツイートが目に入ってきました。 それと、もう一度言いますが、あなたの言ってる「お金」はいったい誰が作り、誰がその信用を担保しますか? https://t.co/Dlb1OmUzDo — 住友陽文 (@akisumitomo) 2017年7月22日 「...
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ひょっとしたらこの仮想通貨というシステムは将来、決済手段としては大きな役割を果たすようになるかもしれません。交換手段という観点から考えると、さまざまな取引がグローバル化していく中では、きわめて高い利便性を持っていますから、今後仮想通貨は発展していく可能性があると私は思っています。
これもその通りで、私も暗号通貨がグローバルな決済手段として普及することを期待する一人です。暗号通貨だけでなくブロックチェーンも、インターネットという世紀の大発明によってもたらされた豊かさと同じように、今後長い年月をかけて人々を豊かにしていくのは間違いないだろうと思っています。

「現状のビットコインを値上がり期待で買うという行為」は、投資でも何でもありません。
同意。投機ですね。
これは従来の法定通貨同士のFXが投資ではないのと同じことです。暗号通貨だから投機だ、という事ではありません。暗号でも法定でも通貨の交換はゼロサムなのです。

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仮想通貨が日常の消費活動で広く使用されるようになるまでには、まだまだ技術的な改良も必要であり、時間がかかりそうです。2014年に起きた「マウントゴックス事件」や今回のコインチェックのように、まだまだシステム自体に未整備な部分があると思われるからです。
これも同意。

Mt.GOX事件やCoincheck事件が知らしめたのは、自分の資産を取引所という他人に預けるのは、その他人の「信用リスク」を取る行為だという事です。これは本来当たり前のことなんですが、従来の証券会社や銀行が高いコストをかけて信用リスクを低減する仕組みを作っているお陰で、普段は彼らの信用リスクを意識する機会が極めて少なくなっているだけなんですね。

じゃあ暗号通貨の取引所も同様に高いコストをかけてそうすればいいのでは? というのが従来の発想で、顧客がそれを求めるなら自然にそうなっていくはずです。間違っても規制によってこれを実現しようとしてはいけません。参考ツイート:


もう一つは暗号通貨ならではの発想で、そもそも他人に資産を預けなければいいのでは? というもの。

取引所に預けないでどうやって取引するのかと思われるかもしれませんが、暗号通貨同士なら自律分散取引所(DEX)を使えば可能です。既にいくつか稼働しているようです。今はまだ流動性が低すぎて実用レベルには程遠いようですが、今回のような事件をきっかけに注目が集まり利用者が増えていけば、やがて流動性の問題も解決していくことでしょう。

参考ツイート:









2018年1月25日

ユーチューバーを叩く人々

ユーチューバーのオファーにホテルオーナーが激怒したニュースが話題になっています。

ツイッターの反応を見るとユーチューバーを叩いて悦に入る人が多く、吐き気がしました。酷いのになると犯罪行為扱いしたり乞食呼ばわりしたり…。

そもそも当事者の意思が一致するかしないかの問題にすぎないものを、「あなたはどう思いますか…?」と第三者にコメントを求めるニュース記事が変だなと思います。

たまたま今回はユーチューバーのオファーが相手の合意を得られなかったものの、世界中に同様のオファーは星の数ほどあって、合意に達したケースでは実際にタダで泊めてもらっているユーチューバーやブロガーもいるはずです。日常的すぎてニュースにならないだけで。

第三者が何をどうコメントしようが、当事者同士で合意するなり断るなり、好きなようにやってくださいとしか言えません。

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2018年1月20日

自由主義(リバタリアニズム)への誤解がひどすぎる件

ツイッターより。

「これ」とは何かというと…。
え? これは酷い。
できるだけ強制を排除して一人ひとりの自由意志を尊重するのが自由主義(リバタリアニズム)ですよ。

「軍閥、盗賊、要するにヤクザみたいな連中が群雄割拠して支配する」のは、強制以外の何ものでもありません。自由主義の対極に位置する世界です。

誰かが自由を謳歌すると他の誰かが「抑圧される」んであれば、ここで「自由」と呼んでいるものは、自由主義者(リバタリアン)が尊重する消極的自由とは別の概念であることは確定です。積極的自由?リベラリズム?なのか何なのか知りませんけど、リバタリアニズムとは関係ありません。

参考ツイート:


もういっこ。

これも酷い。
その「闘争」とやらを回避するためにあるのが自由主義ですよ。

政治権力を通じた強制こそが醜悪な権力闘争を生んでいるのであって、強制を嫌う自由主義が闘争を生むことは原理的にありません。

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選挙で意志は示された、というような言辞に惑わされないこと。選挙はパッケージ単位で選ぶ抱き合わせ商法だ。袋の中に不良品が入っているの知っていても他のものを取るために仕方なく買うのだ。その上で個別の不良品に文句をいうのは当然の権利だ。これは選挙とは関係ないことだと知って欲しい。 — ...
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参考記事:

2018年1月15日

他人を巻き込んでいるのはどっち?

異邦人 (@Beriozka1917)さんのツイートより。
「保険会社に保険料を払っている人に保険給付をしなくても良い」という例え話で言いたかったことは、「国に税金を払っている人に生活保護を給付しなくても良い」ですかね。そういう主張なら確かにおかしいと言えますし、この文脈で「自分が(給付を)拒否するのは勝手だけど他人を巻き込むな」はその通りだと思います。

ところが、「生活保護制度を~」と書いてある通り、受給者レベルの問題ではなく、税負担を強制する公営生活保護制度そのものが問題だと言っているとしたらどうでしょうか。自由主義者の主張は大体こっちです。

自分には生活保護(年金、健康保険に置き換えても同じ)を受給する権利は要らないからその費用を負担しない、という意思を持っている人に対しても、問答無用で負担を強制することが問題なのです。「給付を拒否するのは勝手だけど」と言っていた連中が、今度は同じ口で「負担を拒否するのは勝手ではない」と言って平気で他人を縛り付けます。そしてそれこそが「他人を巻き込む」行為であることに無自覚であるとしたら、輪をかけて恐ろしいと思います。

参考ツイート:


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望月優大さんのブログより。 自己責任を求める成功者たちにつけるクスリ - HIROKIM BLOG / 望月優大の日記 本田圭佑氏のツイートが話題になっていた。若い世代の自殺に関するニュースを取り上げて「他人のせいにするな!政治のせいにするな!!」と吼えている。ああ、このツイート...
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自己責任というキーワードは何かと話題になりやすいようで、retire2kさんのブログにこんな意見がありました。 40代貯金2000万でセミリタイア : 今週の週刊東洋経済「あなたを待ち受ける貧困の罠」 : 「自己責任」というのは、自らリスクを取って行動を起こした時に、 そのリスク...
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2018年1月10日

『専業主婦は2億円損をする』 橘玲(著)



無料だったので読んでみましたが、読まずに批判している人たちを黙らせるような内容ではありません。読めば批判がより具体的になるだけだと思います。

いつからか「生涯現役」を呪文のように唱える人になってしまった感のある橘玲氏ですが、本書はその呪文を女性向けに焼き直しただけの内容です。あとがきに書いてあるように、日本の若い女性の3割が専業主婦志向である現実が「ぜったいおかしい」と考える(この発想自体が全体主義的だと私は思いますが)編集者のオファーに乗っただけの企画で、ベースとなる文章は別の女性ライターが書き起こしたというのですから、つまらないのも当然でしょう。女性著者が専業主婦をディスるとただの僻みに思われて都合が悪いと考えた出版社が、橘氏の名義を借りただけのようにも見えます。
関連ツイート。


橘玲公式ブログの紹介記事より。
専業主婦は20代後半、あるいは30代前半でこの人的資本を放棄してしまいます。大卒女性の平均的な生涯収入は2億円ですから、彼女たちは(そして妻に専業主婦を望む夫たちも)2億円をドブに捨てていることになります。

やはりここですね、引っかかるのは。
専業主婦だけでなく早期リタイアの場合も、人的資本を放棄すると今後得られるはずの労働収入を「ドブに捨てる」ことになると表現していますが、違いますよね。彼らはその金銭と引き換えに、労働に消費されるはずだった多大な時間を獲得しています。言い換えれば、人的資本で時間を購入していることになります。ドブには捨てていません。

要するに、人的資本から得られる金銭と時間はトレードオフの関係にあり、時間を失うことなく金銭のみを獲得することはできません。人的資本のみが持つこの特性を完全スルーしている点が、橘玲氏が唱える人的資本論の致命的欠陥だと思います。

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昨日の記事 で紹介した『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』では、安定した給与収入を生み出す自分自身という人的資本を、1億円程度の現在価値をもつ「サラリーマン債券」とみなす考え方が出てきます。 確かに面白い考え方だとは思いますが、一晩考えた結果、私はこれは誤りであるとの結論に至りま...
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2018年1月5日

もし資本主義が「崩壊」するとリタイア生活はどうなる?

内山さんのブログより。

この記事で引用されている榊原英資氏の本の内容は、私には理解するのが困難でした。16世紀のヨーロッパで経済成長が長期停滞した原因は農業の生産性が頭打ちになってしまったことだと述べる一方で、今後AIなどの技術革新で生産性が上がることについては、既存の世界を効率化するだけなので経済成長にはつながらない、って矛盾してません?

たとえ「経済のパイ」が大きくならなくても、既存の世界を効率化して生産性が上がると物価が下がって実質では豊かになるのが資本主義だと思うのですが…。経済のパイが右肩上がりに増え続けないと立ち行かなくなるのは資本主義ではなくて、その分け前をぶん取ることで成り立っている社会主義的な制度の方ではないでしょうか。

次の引用部分について。
その場合、タイミング売買など行わず、株式は保有し続けた方が結果として大きな利益をもたらすという、今までは多くの経済学者たちに支持されてきた論理はもはや通用しません。株を保有し続けても、評価額が大きく上下するだけで、実質的にはさっぱり増えていかなくなってしまうわけです。
持ち続けてもさっぱり増えていかないような株式市場において、持ち続けるのをやめてタイミング売買戦略に切り替えたとしてもリターンの期待値は上がりません。むしろ売買手数料の分だけ下がります。

もちろん、タイミング売買のリターンは市場平均を挟んで上にも下にも分散しますから、平均に勝つ投資家が存在することは否定しません。しかし、株価が右肩上がりのときにタイミング売買で市場平均に勝つ方法を知らなかった(故にバイ&ホールドを採用した)一人の個人投資家が、株価が低迷すると急にトレーダーの才能を開花させ継続的に市場平均をアウトパフォームするようになる、などという都合の良い事は起こりません。よって、株価がどうなろうと素直にそれまでの方針を継続するのが賢明だと思います。

世の中のほとんどの人は、「資本主義が崩壊なんてするわけがない」と決めつけているのかもしれない。
でも僕は、「この世に不変のものなんてあるわけがない」という思想をもっているので、「資本主義が不滅だなんて、逆にありえない」と考えている。

決めつけていると言うよりは、そうなったらどうしようもないと割り切っていると言いましょうか、私の場合。

その前に、そもそも資本主義の「崩壊」とは、具体的にどうなることなのでしょうか?

今後一切の経済成長が止まる(実質経済成長率が0%に張り付く)だけなら、それを「崩壊」と呼ぶのは大げさすぎやしませんか。ゼロ成長下でも株式会社が利益を生み出すことに変わりは無く、それに見合った株価を形成することでしょう。成長が止まった会社の株価は上昇しなくなるだけで、無価値になるわけではありません。たとえ株式投資の実質リターンが未来永劫0%、あるいは幾分マイナスになったとしても、資産の購買力が今後の人生の総コストを上回っている限り、リタイア生活は維持できます。

「崩壊」と言うからには、たとえば世界中に共産主義革命の嵐が吹き荒れ、資本主義の必須条件である私有財産権が国家によって剥奪された世界になるみたいな、ゲームのルールが根本から覆される出来事を想像していたのですが…。

そうなってしまったら最後、株式会社は廃止、国有化され、保有している株式ETFも無価値になることでしょう。従って、資産の購買力がそれなりに維持されることを前提としたリタイア生活も終わることになります。そうなる可能性もゼロではないだろうと言われると返す言葉が見つかりません。

そのようなリスクまで含めてヘッジしようとすると、それこそ橘玲氏が最近やたら強調している「生涯現役」以外に有効な手段は無いんじゃないですかね。彼が言うところの人的資本をドブに捨てる(という表現には違和感がありますけど)のが早期リタイアなのですから、その分だけ経済的リスクが高くなるのは仕方がないと思います。

従って、私は資本主義が「崩壊」するリスクには一切備えておりません。少なくとも私が死ぬまで(高々50年)の間に資本主義が崩壊することはない、という未来予想に賭けるギャンブルであることは自覚しています。

関連記事:
p.242 あなたのお金を狙っているのは、振り込め詐欺の犯罪者だけではない。 (中略) 大手銀行や証券会社、保険会社が大々的に宣伝している金融商品にも情弱(情報弱者)をターゲットにしたものはいくらでもある。 その通りです。 金融機関はなぜ多額のコストを払ってその商品を宣伝するので...
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