2020年10月30日

中田敦彦氏の「働かないで生きていく」動画を見た感想 その3

前回の続きです。


3:32~ 「債券と株式は特徴が真逆なので、相互に補い合う関係になる」

債券を組み入れるとリターンを犠牲にしてリスクを下げるのは事実だとしても、「特徴が真逆」は言い過ぎかと。最も相関係数が低い組み合わせ(日本株式と日本債券)でも-0.185ですから、むしろ無相関に近いのであって、リターンを「相互に補い合う」には程遠いと思います。

参考記事:


6:52~ 「この著者はめちゃくちゃ心配症なんですね」
8:20~ 「現金クッションは年間生活費の5年分です」

債券を4割組み入れているだけでも既に相当リスクを抑えたポートフォリオなのに、それとは別に現金が5年分だそうです。年間生活費が資産総額の4%なのだから、20%も現金持ってることになります。私の場合、現在は債券ゼロ、現金もせいぜい1年分しか持たずに平気で暮らしているので、確かにこの人「めちゃくちゃ心配症」に見えますね。

①投資金、②現金クッション、③年間生活費の3つのバケツを用意して、①の元本には手を付けず、①の利益だけを年始に③に移して生活費にあてるそうですが、このようにお金に色を付けて使い分ける行為は心の会計(メンタル・アカウンティング)の典型であり、合理性に欠けると思います。

10年以上前から何度も書いているように、投資の利益だけで生活費を賄うという縛りはそもそも不要です。利益の有無に関わらず、生活に必要な分だけ資産をその都度売却して賄えばよいだけです。そのための金融資産なのだから躊躇う理由は何もありません。

9:56~ 「さあ、どうですかこのシンプルなお話」

いや、私から見ると全然シンプルな方法ではなかったです。本来はもっとシンプルに考えれば済むはずのことを、心配症が災いしてどんどん複雑化&不合理化してしまった事例に見えます。

(つづく?)

参考ツイート:


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2020年10月25日

中田敦彦氏の「働かないで生きていく」動画を見た感想 その2

前回の続きです。


1:10~ 「インデックス投資ってのが絶対です。ただ、日本のインデックスはやめてください。日本のインデックスはもう一流ではない人も全員入れとく野球チームです。」

こんな論調で、米国の優良企業だけを集めたS&P500インデックスをお勧めしてくる中田氏。いや、その理屈はおかしいのでは。

全部入りインデックスが駄目だと言うなら、日本株に限らず米国株インデックスでもVTIはやめてください、と説明しないと辻褄が合いません。

そもそも、優良企業のみを厳選したインデックスのリターンが、全部入りインデックスのリターンを上回るかどうかは不明です。過去の実績を見ても、たとえばVOOとVTIのどちらのリターンが勝っていたかは年によって違い、結果に規則性など一切読み取れません。

超一流選手だけをかき集めた野球チームでも常勝できず、二流三流選手も含む全部入りチーム相手に勝ったり負けたりを繰り返すのが、株式市場の面白いところです。なぜそうなるかと言うと、「もう一流ではない」と誰もが知っている企業は、その情報を織り込んだ安い株価で買うことができるからですね。

投資の優劣は、ポートフォリオを構成する企業の業績比較で決まるものではなくて、投資した金額に対するリターンの比率で決まります。なので、一流企業よりも安く買える二流三流の企業にも十分活躍する機会があります。そこが投資と野球の決定的な相違点です。

投資の場合は、「もう一流ではない人も全員入れとく野球チーム」で全然構いません。むしろインデックス投資とは全部入りの方が基本で、人間の判断で特定の銘柄を除外するタイプのインデックスの方が特殊だと思っています。

(つづく?)

参考ツイート:

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2020年10月20日

中田敦彦氏の「働かないで生きていく」動画を見た感想 その1

Youtubeより。

13年前から普通に「働かないで生きていく」を実践している私に言わせれば、「何を今更」感の強い内容でした。動画貼っておいて言うのも変ですが、早期リタイアに興味があって私のブログに辿り着いた古参読者の方なら、この動画見て新たな知見が得られる可能性は低いと思います。

彼が読んだ本『FIRE 最強の早期リタイア術』を、「全く新しい生活のしかたを提案してくれている」と紹介するところから始まる前編。

そうかなあ? 少数派だから珍しいと言うならわかりますけど、全然「新し」くはないですよ。今やブログやツイッターで情報発信している早期リタイア民だけでも数え切れないほど存在するという事実が、元々「働かないで生きていく」という発想がない無関心層の視界には入らなかっただけでは。

4%ルールについて本動画では、
「投資額の4%以内で年間生活費をまかなうと元本が30年以上そのままである確率は95%」
と説明しています。

以前のアキラ先輩の動画では、4%ルールの効果は「30年以上資産が尽きることがほぼない」という説明だったので、かなり違いますね。一体どちらが正しいのでしょうか。

「元本がそのまま」である方がより安全なので、本動画の説明が正しい方が嬉しいと思う人は多いでしょうね。

私はそういった縛りを増やす方向のルール設定に興味がないので、正直どっちでもよいのですが、一つだけ疑問に思うのは、リタイア後の資産運用で「30年以上元本がそのまま」みたいな過剰な安全策をとる必要あるの?ってところですね。

私の年齢に当てはめると、40歳でリタイアした当時の資産残高が、70歳の時点でもそのままであることを期待しているわけですよね。せいぜい20年程度の余生のために50年分の資産を持っているのは明らかに過剰だと思います。

人生の残り時間が50年から20年に減ったのなら、資産残高が実質で2/5に減ったとしても何も困りません。何をそんなに恐れて過剰な資産を抱え込もうとするのでしょう。死ぬまで元本を維持しようとする人の気持ちが全くわかりません。しかもその元本維持って往々にして実質ではなく名目だったりするので、尚更です。

(つづく?)

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2020年10月15日

BITMAX1周年記念キャンペーン完走

九条さんのブログで知ったBITMAXのキャンペーンを完走しました。
先日BITMAXは「暗号資産10万円購入で1万円分のLINKプレゼント」をやったばかり。その攻略法と実践は記事にしました。ところが今回、さらにそれがパワーアップ。…
www.kuzyofire.com
こうやって先人の皆さんがノウハウを共有してくれるおかげで、簡単に稼ぐことができます。1BTCの入出金まできっちり完走して純利益37,000円ほどになりました。総作業時間は口座開設から最後の出金までで1時間程度ではないかと思います。

普段このようなキャンペーンに乗ることはほとんど無いのですが、たまたま九条さんの記事を読んで割が良さそうに見えたのと、久々に日本の取引所で暗号通貨をいじる体験がしたかったのが動機です。

初めてBITMAXを使ってみた感想ですが、スマホアプリだけで口座開設から本人確認まで完結するあたり、さすがは後発の取引所だけあるなと思ったのも束の間、BTCの買いと売りを往復するだけでどんどんお金が減っていくという愉快な体験をすると評価は一変します。

そりゃそうですよね。BITMAXは取引所と言うより完全な「販売所」「買取所」なんですから。もちろん手数料(スプレッド)は大盛りに決まっています。おまけにBTCの出金手数料も大盛りでは、褒めるところが一つもありませんよ。

こんな高コストな暗号通貨販売所を、今後も使いたいと思うわけありません。国内にももっとマシな取引所はあるでしょうし、海外にも目を向ければ選択肢はいくらでもありますからね。

そして、これからはDEX(分散型取引所)が主流になっていく時代です。従来のCEX(中央集権型取引所)というビジネスモデルはだんだん廃れていくと予想されます。CEX最大手のBinanceでさえ生き残りをかけて必死に挑戦し続けている中で、厳しすぎる規制のコストが重くのしかかる日本の取引所が利益を出していくのは無理ゲーではないでしょうか。

その無理ゲーを何とかしようとして、大盛りのスプレッドで顧客にコストを転嫁する道を選択したのがBITMAXだと思っています。

参考ツイート:

関連記事:
九条さんのブログより。 Binance、その恐るべき成長 - 投資でセミリタイアする九条日記 2017年の仮想通貨高騰では、どんな仮想通貨に投資していた人も大きく利益を享受しました。一方で、ゴールドラッシュの際に最も儲かったのがスコップを売っていた人であるように、仮想通貨業界で...
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2020年10月10日

Revolut がやっと日本上陸

Impress Watchより。
金融アプリの「Revolut」は8日、日本でのサービスを本格的に提供開始した。
www.watch.impress.co.jp
金融アプリの「Revolut」は8日、日本でのサービスを本格的に提供開始した。
実際には10月8日開始ではなく、もっと早くから始まってました。

それにしても時間がかかりましたね。2年前の発表では2019年第1四半期の予定だったので、1年半ほど遅れたことになります。

口座開設からカードの発行までスマホアプリだけでサクサク進めることができるあたり、さすがはスマートバンクといったところ。従来のネット専業銀行とは一味違います。

ただ、日本の厳しい金融規制に合わせた独自仕様になっているところは残念と言うしかないです。

たとえば、
(1)日本のATMから出金できない
支払いに伴う送金や送金そのものには、以下のような手数料がかかる場合があります。一度に複数の送金や支払いを実行する場合は、最も高い手数料が適用されます。
www.revolut.com
現在Revolutカードによる日本国内のATM引き出しは出来かねますので、ご了承ください。
(2)日本の銀行口座へ出金/送金できない

(3)クレカから入金したお金は使途が制限される
日本のクレジットカードでRevolutアカウントに入金すると、その残高は買い物(カード支出など)にのみ使用でき、国内外のATMから送金や現金の引き出しはできません。...
www.revolut.com
日本のクレジットカードでRevolutアカウントに入金すると、その残高は買い物(カード支出など)にのみ使用でき、国内外のATMから送金や現金の引き出しはできません。
(4)本人確認でマイナンバーのアップロードが必須
など。

このように今のところは、いったん入金してしまったら日本国内では出金できない不可逆な仕様になっています。入金した分はカードで買物して使うか、海外ATMで引き出す以外にありません。果たしてこんな口座がスマート「バンク」つまり銀行と言えるのかどうか…。

既存のPAY系アプリでさえ銀行口座へ出金したり、ものによってはコンビニATMからダイレクトに出金もできるというのに、Revolutはどうしてこうなった!?という感想しか出てきません。

そして極めつけはマイナンバーです。今回の本人確認手続きで、人生で初めてマイナンバーを金融機関へ差し出すことになりました。実に気持ちの悪い体験です。

両替(平日は手数料無料)と海外送金機能については日本独自の制限などはなく、従来の銀行には無いRevolutの大きな利点ではあるんですけど、口座がマイナンバーと紐付いているなら使い道は限られそうです。たとえば、Revolut口座をハブにして海外の銀行口座と資金を出し入れするみたいな使い方は、わざわざ自分から海外口座の情報を日本政府に渡しているようなもので、かなり無謀なアイデアのように思えます。

海外送金機能には期待せず、必要最小限の残高を都度入金しながら、海外通販サイトなどの外貨決済や海外旅行でのショッピング/キャッシングに使うのが良さそうです。もうSony Bank Walletは要らない子になるかもしれません。

参考ツイート:

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