2008年6月6日

リタイアに「不労所得」は必要か?

世の中には「不労所得でリタイアしよう!」みたいな怪しい話がそこら中に転がっていて、リタイアするためには労働所得の代わりに「不労所得」というものを手に入れることが必須であるかのように思われているかもしれません。

しかし、リタイア後の生活費をすべて不労所得で賄う必要はありません。
資産の取り崩しで賄っても一向に構わないのです。むしろ、その方が有利です。
なぜなら、「不労所得」はその全額が所得税の対象となるのに対して、資産を取り崩した場合その元本部分は所得ではなく、税金がかからないためです。

例えば1億円の元本を次のいずれかの方法で運用するとします。
(1)年率2%の利息を生む定期預金
(2)年率2%価格が上昇する株式(配当は無し)

運用開始から1年後に、生活費として現金160万円を引き出すとします。
(1)の場合、1年間の利息は200万円ですが、全額利子所得となり20%課税されて160万円ちょうどになります。1億円の定期預金が残ります。

(2)の場合、株式の価値は1億200万円になっていますが、税引き後160万円の現金を手にするためには、およそ160万6300円分の株式を売却するだけで済みます。
(∵160万6300円/1.02≒157万4800円が元本部分なので、キャピタルゲインは31500円。その20%である6300円の税金が引かれる。)
したがって、1億39万3700円分の株式が残ります。

このように、両者の税コストの差は歴然です。
税コストが資産運用の大敵であるという真理は、リタイア前もリタイア後も変わりません。
無用な「不労所得」を生む運用方法は避けるのが賢明だと思います。

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