2008年6月26日

『日本を降りる若者たち』 を読んで



物価の安い海外で引きこもりのような生活をしている日本人を、筆者は「外こもり」と呼んでいます。中でもタイのバンコクに多く、そこで実際に彼らと話をして、「外こもり」に至った経緯や生活の実態を聞いています。

でも、日本の引きこもりの多くは親に扶養してもらっているのに対して、「外こもり」は経済的に自立しているという違いがあります。1年のうち短期間、集中的に日本で仕事をしてお金を貯め、残りは海外で暮らすというサイクルを繰り返すそうです。そんな彼らが引きこもりと同類みたいに呼ばれるのは違和感があります。「ニート」という言葉が本来の意味を離れてネガティブなイメージを刷り込まれたのと同じ匂いがします。

タイ人の国民性、労働観の話は、日本人と対極的で面白いです。
タイ人という民族は、本当に怠惰な人たちだと思う。
なんとストレートな表現でしょう(笑)
汗を拭きながら営業にまわるっていう仕事のスタイル、タイ人は嫌いますね。かっこ悪いと思ってる。涼しい部屋で楽して儲けることがいちばん美しいんです。それが彼らの労働観。
タイ人のこのような国民性ゆえに、部屋に引きこもったり、ネットカフェに入り浸ったり、何をするでもない怠惰な生活を包容してくれる社会があり、日本にいるよりずっと心地良いという気持ちはよくわかります。高い生活費を払うために長時間働くより、生活費を抑えて自由な時間を多く持つライフスタイルの方を選びたい気持ちも、自分と似ているかもしれません。

逆に、この労働観に共感する日本人はまだまだ少ないでしょうね。共感しないだけならまだマシで、下手をすればこのような価値観を排除しようとするのが日本という社会ではないでしょうか。

自分の中にある旅人の虫が疼く一冊でした。

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