九条さんのブログより。
元JPモルガンの敏腕トレーダーである藤巻氏の最新著書を読みました。日本の財政が厳しい状態にあり、破綻は不可避。で、どのように破綻するかというと、ハイパーインフレが起き、日銀が倒産して、新日銀が誕生するというシナリオではないか?...
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ドルの持ち方としては、「ドルMMFかドル預金をお勧めします」としています。この2つの違いは税金で、下記のように選べばいいということです。課税所得330万円以上で、所得税10%+住民税10%となって20%に達するので、所得が圧縮できる人以外は源泉分離課税が有利です。
これ一般論としては正しいのですけど、ハイパーインフレに備えるという目的がある場合は、ドル預金を選択する理由は無いように思います。なぜなら、ハイパーインフレになると、ごく少額のドル預金でも円に戻したとたんに「課税所得330万円」など軽く突破することになるからです。
たとえば年間生活費が110万円(1万ドル)の人がいるとします。円安インフレに備えて円預金をドル預金に替えました。年率9900パーセントのハイパーインフレがやってきて、年間生活費が1.1億円に跳ね上がりました。1ドル=11,000円の超円安になったものの、生活費は1万ドルのまま変わりません。やれやれ資産防衛に成功したと胸を撫で下ろすのは早計です。生活費を賄おうとして、その1万ドルを円に戻すと1億円を超える為替差益が発生したことになります。
現実には円の価値が暴落しただけで実質的に「差益」など得ていないのに、無慈悲にも額面通りに課税されるのがインフレ税の特徴です。総合課税なので税率は20%を遥かに上回り、住民税と合わせて5千万円ほど納税することになるでしょう。今まで通りの生活レベルを維持したいなら、2万ドルを円に戻して1億円超の税金を払わなければなりません。
これがドルMMFなら2178万円の源泉分離課税で済みます。無傷というわけにはいきませんが、ドル預金よりはだいぶマシな結果になります。リスクや期待リターンがほぼ同じ金融商品同士でも、税制が違うだけでこれだけの差が発生します。ハイパーインフレ対策としてわざわざ「ドル預金」を選ぶ合理性は無いと言えそうです。
同じ理由で、暗号通貨も実はハイパーインフレ対策には向いていないと思われます。
藤巻氏はこの本やツイッターで「避難先はドルと仮想通貨」と叫び続けていますが、ドル預金と仮想通貨がダメとなると残るはドルMMFのみになります。
藤巻氏は消極的ですが、私は株式も捨てがたいと思います。もちろん有事の際には特に日本株は暴落必至でしょうが、世界中の株式にきっちり分散しておけば、やがて通貨の暴落に反比例して円換算の株価は暴騰し、資産の購買力の激減は防げるはずです。
株式ならハイパーでない普通のインフレに対しても有効なので、有事の際だけでなく平常時でも淡々と持ち続けるだけでよく、ハイパーインフレが来る時期を予想したりする必要もありません。慌てず騒がず、どっしり構えていられます。もしハイパーインフレが起こらなかったら起こらなかったで特に損失があるわけでもないし。
参考ツイート:
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