個人投資家の視点から投資信託やETFを使った国際分散投資についての考察と実践方法を研究するブログです。
公的年金制度について議論すると、すぐに「現役世代は損をしている」といった発言が飛び出し、なかには「自分で運用して老後に備えるから、これまで徴収した保険料を返して公的年金制度を廃止しろ」といった頭の悪い暴論まで口にする人がいます。こういった議論は、ほとんどが年金制度を“損得勘定”で考えているからのですが、これが大きな勘違いなのです。そういう誤解を解きほぐす意味で、山崎俊輔さんが素晴らしい論考を書いていました。公的年金制度を損得勘定で批評することが「頭の悪い」ことだとは思いませんし、現行制度の下では「現役世代は損をしている」のも事実ですから、これが「大きな勘違い」という指摘も的外れだと思います。
リンク先の山崎俊輔氏の論考ですが、既視感が強い内容だと思ったら、4年前にも日経によく似た内容の記事を書いていた方でした。前回同様、今回の連載記事も全力で公的年金制度を持ち上げる内容であり、まるで厚労省制作のプロモーションビデオを見ているような、たいへん気持ちの悪い読後感を覚えました。関連記事:
NightWalkerさんのブログにこんな記事がありました。 「年金は払い損」と考えるのは間違い: NightWalker's Investment Blog 日経の元記事を読んでみたらなんとも言えない違和感が…。 ■年金は働けないとき所得を補う社会保障であり金融商品ではない 年...
そもそも公的年金は、健康保険や介護保険と同じく社会保険の一種ですから、あくまで「保険」です。保険である以上、最初から損得勘定で論じてはいけないのです。保険でも損得勘定で論じることは一向に構わないでしょう。むしろ、保険だけは損得勘定で論じないという考え方は不合理です。
同じ金融商品でも投資信託のコストなら0.01%の差にもあれほど敏感なのに、保険というカテゴリーになった瞬間にいきなり「損得で論じてはいけない」というレベルまで落ちてしまう、この激しい落差はどこから生まれるのでしょうか。これではまるで、超高コストの生命保険を売りに来る保険会社のセールスパーソンの話術と同じじゃないですか。
極論すれば、保険は損に決まっているからです。損に決まっているのだとしても、その損の程度を無視してよいことにはなりません。公的年金の世代間格差については、世代によって期待リターンが大幅に違う事が問題なのであり、それがマイナス1%なのかマイナス50%なのかによって全く違う評価になるのは当然です。大雑把に「損」という側面だけを見て一括りにする論法こそ、「暴論」と呼ぶに相応しいでしょう。
参考記事:
公的年金をしっかりと払い続けていれば、資金の心配なく、悠々自適な老後を送ることができる。公的年金制度が開始された頃、多くの人はそう信じて毎月の保険料を納め、老後に備え始めました。事実、現在75歳以上の
(つづく?)
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