面白い記事を見付けました。ベトナムの BitcoinVN というサービスを利用して、ビットコインから現地通貨への両替を実践した話。
個人的に興味があるのはビットコインではなくステーブルコインからの両替なのですが、同様の方法でできるようです。
本題に入る前にまず、比較の対象となる従来の現地通貨調達方法について誤解があるので、実際にはそこまで高コストではないことを指摘しておきます。
海外に行くと困ることの一つに現地通貨の入手があります。めんどくさいので金額が小さい時は空港で円と渡航先の通貨に両替することもありますが、空港でのレートはぼったくりに近いくらい高く、通常5〜10%くらいスプレッドで抜かれます。
私はATM派なので両替所のことはよくわからないですが、そんなに手数料が高いのは日本の空港だけで、ベトナムの空港なら1~2%という説もあります。
他の方法として一般的なのはクレジットカードのキャッシングなどを使ってATMから引き出すこと、もしくはクレジットカードを受け付けている店舗であれば直接Visaなどで払うことですね。大部分の人はこれでそこまで不便を感じてないかもしれないですが、ただクレジットカードを使うにしても結局大体3〜5%くらい手数料を抜かれていたり、他にも海外だとスキミングなどのリスクもあるので正直自分はクレカもあまり使いたくありません。
クレジットカードの海外キャッシングを海外ショッピングの手数料と混同しているようです。あるいは銀行系デビットカードの海外キャッシングと混同しているのかも? ATMに仕掛けられたDCCの罠に引っかからない限りクレカキャッシングに3%も手数料が乗ることはなく、繰り上げ返済で利息を抑えれば僅か0.5%前後で済みます。
参考記事:海外キャッシング比較ランキング│国際キャッシュカード&海外キャッシング比較
さて本題です。
まずこちらのBitcoinVNの取引ページのリンクからライトニング送金で売りたいビットコインの金額を指定します。
とありますが、ここは左側ではなく右側のVNDの方を、1,000未満の端数がでないように指定すべきかと思います。なぜなら、VNDは1,000ドン未満の現金がほとんど流通していないため、この例の場合は188ドンが切り捨てられてしまうからです。
たとえば右側に999万VNDを指定します。売る暗号通貨はステーブルコインのデファクトスタンダード、USDTを選択。チェーンは手数料の高いEthereum以外にも18種類ぐらいありました。正直言って知らないチェーンの方が多いです。実績があってわりと有名なPolygonチェーンの場合、送金手数料は1セント未満のようです。タダ同然ですね。
左側のUSDTの金額が小数点以下6桁の細かい数字になりますが、こちらは現金ではなく暗号通貨だからぴったりの金額を送金可能です。
先に暗号通貨を送金してから、現金受け取りのアポを取る形のようです。
ここから先は右のチャットボックスからBitcoinVNのサポートと連絡を取り、現金を受け取る日時を交渉するのですが、実がここが鬼門の一つです。
まず対応してくれるのは英語ができるサポートの人なので、Bitcoin VNの中の人が働いてる日中の時間ではないと反応してくれません。また、日中でもすぐに返事が来るとも限らないので画面を開いたまま少し気長に待つ必要があります。
たしかに、この待ち時間は精神的に疲れそうです。特に初めて利用する場合や金額が大きい場合は。
両替所の窓口と同じように、現金の受け渡しは同時履行にしてもらいたいところです。
自分が取引をした時の手数料を概算してみると、Bitcoin VN上の換算レート:0.011BTC→ 10551188 VN
CoinGecko上の換算レート: 0.011BTC→ 10837844 VN
ということで、スプレッドによる手数料はだいたい2.7%です。
421USDTを999万VNDに替える場合の手数料も、2.7%と出ました。これでも十分お高いですが、試しに100USDT≒243万VND程度まで金額を下げると、手数料は9%と出ました。低額になればなるほど、手数料高すぎて使う気が起きませんね。ATMキャッシングで十分です。
逆に高額になるとどうなるかというと、取引上限に近い14,000USDTで手数料を計算すると0.8%まで下がります。手数料的には従来の両替方法といい勝負ができるものの、そんな大金をVNDの札束で受け取ってその後どーすんの、ってことになりそうですね。
ちなみに、現金の受け取り場所をハノイやフエに変えると、手数料が2.5倍に跳ね上がるようです。
この両替サービスを体験してみたい人は、サイゴン=ホーチミンシティを目指しましょう。
総括すると、手数料や現金受け渡しのタイミングの面ではまだまだ改善の余地が大きいサービス、という印象を持ちました。クレカキャッシングが使える平時に、敢えて高コストな方法を選択する意味は無さそうです。
ただし、日本政府の支配下にある銀行や取引所を一切介さずに法定通貨と暗号通貨の交換ができるという意味では、有事の際に役立つ可能性があります。日本国内に何億円分の証券や預金を持っていようと、資本移動規制されたら終わりですからね。日本のクレジットカードが海外では通用しなくなるシナリオもあり得なくはないです。いざという時に海外の両替所で現金化する手段も選べるのは、ポータビリティーのある暗号通貨ならではの特長だと思います。
参考ツイート:
「資本規制の可能性」
— 藤巻健史 (@fujimaki_takesi) January 3, 2024
12月27日に、日銀OB…
トルコやジョージアも街を散策したんですが、至る所に暗号資産のATMだらけです。これは日本が非常識なだけと確信しました。
— クリプトテレス®︎⚡️ (@cryptodemon1993) January 31, 2024
あと、モスクで出会ったおじいちゃんとクリプトの話できます。ポートフォリオ見せられました笑
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