2010年1月31日

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その4

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その3の続きです。

今回のテーマは医療、健康保険、介護保険。
 多くの人が誤解しているが、医者の中でも裕福なのは一部の開業医だけで、大半の病院は倒産の危機に喘いでいる。それは、平等で均質な医療の理想郷が実現したことの必然的な結果なのだ。
(中略)
私たちの好きな平等な社会では、「よい病院」に巡り合うのは難しい。
日本では暇な人ほど質の高い医療を受けられる。
暇人の利点がこんなところにも(笑)。
典型的暇人である高齢者が最も恩恵を受けているのは間違いないですね。
 私たちは医師に最善の治療を求めることを当然と考えている。それは高額療養費制度によって医療費の大半が還付されることと無関係ではない。
仮に四千万円の医療費がかかっても、自己負担額はわずか46万円。これは持続不可能な大盤振る舞いであり、近い将来、高額医療費を保険で賄えなくなるのは間違いない。
この制度も意外に知られていないらしく、わざわざ民間の医療保険にも加入してしまう人が少なくないようです。現状これだけの保障が月々わずか数千円からの掛金で得られるのですから、まだ民間の保険会社の出番は無いはずです。
介護保険は必ず破綻する
介護保険は、集めた代金以上に当せん金を支払う持続不可能な宝くじである。
持続不可能性という点では、日本の社会保険制度に共通する賦課方式こそが最大の元凶なんですが、年金や健康保険で既に賦課方式の問題点がはっきりしていたにもかかわらず、後発の介護保険でも性懲りもなく同じ轍を踏んでしまったのですから、制度設計に関わった人たちがどれほど無能かよくわかると思います。
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2010年1月30日

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その3

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その2 の続きです。

今回のテーマは年金。
10 退職までに一億円貯められますか?
世の中には他人の不安をネタに商売している人がたくさんいる。恐怖に怯える人は、そこから逃れるために喜んでカネを払うからだ。
(中略)
年金だけを生活の支えにする人にとって、それを奪われることほど恐ろしいことはない。
そこで、不安産業のセールスマンは言う。
日本人の平均寿命はまだ延びています。医療費だって馬鹿にはなりません。将来のインフレも考えれば、安心して老後を過ごすには、少なくとも一億円の貯蓄が必要です。どうです? ちゃんと準備できていますか?
もちろん、準備などできているはずはない。そこで業者の提案する高利回り商品にすがり、大損したり、有り金をすべて巻き上げられたりするのだ。
(中略)
百万ドル(約一億円)の資産があれば、世界中のどの国でも富豪の仲間入りができる。日本はもうすぐ、ミリオネアでなければ生きていけない国になるらしい。
人々がふたたび年金制度を信頼するまで、この荒唐無稽な法螺話が効力を失うことはないだろう。不安ビジネスの黄金時代はまだまだ続くのだ。
前回の生命保険の話とも重複しますが、自分自身の中に沸き起こってくる不安や恐怖という感情は、しばしば合理的な判断を妨げる厄介な存在であることを、正しく知っておく必要があります。そういう意味では、楽天主義と合理主義って実は相性がいい組み合わせなのかなという気がします。

11 対岸の火事で自分の家に水をかける人たち

サラリーマンの加入する厚生年金の場合、40歳以下の加入者は平均寿命まで生きても払った分を取り戻せない。
厚生年金が割に合わない理由の一つは、所得のない配偶者(専業主婦)の保険料をタダにしているからだ。これでは独身や共働きのサラリーマンは、同僚の奥さんの保険料まで負担することになる。
もう一つの理由は、基礎年金の赤字の補填に厚生年金の保険料が流用されているからだ。国民年金の赤字が拡大すると、厚生年金の比例報酬部分が減額される。未納者・未加入者の負担分をサラリーマンが肩代わりしているのだ。
年金制度の矛盾は厚生年金に集中している。火事はここで起きている。だが住民であるサラリーマンは給料から問答無用で保険料を天引きされているため、避難することすらできない。
(中略)
国民年金の場合、将来の保険料の引上げを考慮しても、支払った額以上の年金が戻ってくる可能性が高い。そのうえ保険料は全額、所得から控除され、受給時にも公的年金控除の適用が受けられる。いずれも民間の保険会社ではあり得ない大盤振る舞いだ。国民年金の保険料を支払うのは、経済的にはかなり合理的な選択なのだ。
対岸の厚生年金で火の手が上がるのを見て、国民年金加入者は続々と逃げ出していく。これはかなり皮肉な光景ではないだろうか。
面白い喩え話でわかりやすいですね。
火中にいる人たち自身がまだ火事に気付かずに爆睡していたり、隣町から自ら火中に飛び込んでいく人がいたりするのも、皮肉な光景と言えるでしょう。
実は私も火事に気付いたのは隣町に転居した後だったりしますが(苦笑)、今後は対岸からじっくり見物したいと思います。こちらの町では家賃の一部または全部を国が払ってくれるので助かります。

2010年1月29日

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その2

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その1 の続きです。

今回のテーマは生命保険。
 生命保険というものは、身も蓋もない言い方をするならば、宝くじの一種である。(略)
さらに、一般の宝くじと同様に、生命保険の場合もほとんどの人は損をする。おまけに経費率が高いので、ギャンブルとしては救いがたいほど魅力がない。だが、抽選に外れたということは自分がまだ生きているということだから、文句を言う客はいない。
 あなたが独身なら、生命保険は不要である。子供がいないか、すでに成人しているなら、保険料の支払いより資産形成を優先すべきだろう。一方、子供がまだ幼く十分な貯蓄がない家庭は、保険の優位性を最大限に活かせる。
(中略)
豊かな社会では、生命保険の必要性は低下していく。だが現実には、ほとんどの人が何らかの保険に入っている。日本では、莫大な額の保険料が無駄に支払われているようだ。
損をすることに意味のある宝くじは、人生の必要な時期に、必要最低限の保険料で加入するのが賢い使い方である。不要になった保険料は、将来のための投資に充てればいい。
 日本人は宝くじと保険が大好きだ。そして喜んで損をしている。やはりこのふたつはよく似ている。
私は上記のような「保険の優位性を最大限に活かせる」状況になったことはありませんが、扶養家族がいる人も含めて、高額の生命保険が必要な状況になるケースは極めて稀だろうと思います。宝くじと同様に胴元がぼったくる仕組みなのですから、買わない理由よりも買う理由を見つける方がはるかに難しいでしょう。

それでも現実に「莫大な額の保険料が無駄に支払われている」のは、宝くじという名の税金を喜んで納める人が後を絶たないのと同じく、非常に稀にしか発生しない事象の確率を過大評価するという人間の不合理なバイアスが原因だと思います。さらに、不安という感情に駆られて「確率盲目」になっているとも考えられます。
関連記事:
9.11のテロ後1年間、恐怖に駆られて移動手段を(より安全な)飛行機から(より危険な)車へシフトした米国人が増え、その結果命を落とした人は1,595人に上ると推定されるとか。つまり、 彼らの愛するものたちを奪ったのは恐怖だった。 のです。 すべての人の脳は一つではなく二つの思考シ...
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また、貯蓄型生命保険による資産運用についても、次のようにバッサリ斬っています。
 どんな凄腕の営業マンでも、損をする商品を売るのは難しい。そこで保険会社は、生命保険に貯蓄性を加味することを考えついた。保険料を払いながらお金が貯まれば「損」が視界から消え、「大きな保障」という長所だけが際立つ。こうして、保険で資産運用するという奇妙な習慣が広まっていった。
宝くじで億万長者を目指す人はいても、それを貯蓄だと誤解する人はいない。当たりくじを引かなければ、宝くじ代金はすべて無駄になってしまう。保険と宝くじは同じ仕組みだから、本来、保険で資産運用などできるはずがない。


生命保険不要論については、次のサイトが辛口ですが秀逸だと思います。
生命保険 - 武田つとむファイナンシャルプランナー事務所 岩手 盛岡駅前 - 楽天ブログ(Blog)

(つづく)

2010年1月28日

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その1



2004年に出版された『雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays』を改題、注釈を追加して、文庫本にしたものです。

橘氏の本を読んだことがない人にまず1冊紹介するならこの本が最適だと思いました。わずか200ページ余りの文庫本の中に、幸福な人生設計に役立つ知識が満載されたお得な1冊です。

目次はこちら。
AIC:海外投資を楽しむ会:知的幸福の技術:目次

あとがきもウェブで読めます。
AIC:海外投資を楽しむ会:知的幸福の技術:あとがき
本書の親本『雨の降る日曜は幸福について考えよう』のあとがきを、ちょうど5年前に書いた。今回、書名を『知的幸福の技術』と変えて文庫化されるにあたって、データが古くなっている箇所や、状況が変わっているところを註で補った。だがその作業は、当初思っていたよりもずっと楽なものだった。
 5年の歳月を経ても、この国の仕組みはほとんど何も変わっていない。私たちはまだ、同じ場所に留まっている。ただ、声高に正義を叫ぶひとが増えただけだ。

(009年8月 「日本を変える政権選択の選挙」の最中に
橘 玲
確かに何も変わってないようです。読んでいて古さを感じることはありませんでした。

共感した部分を抜き出していくとほとんど全文引用になりそうな程、自分は橘氏のファンなのだなあと、あらためて認識しました。その中から肝と思われる部分を厳選して抜粋してみます。
5 正義のために生きていますか?

 世界は、哀しみに満ちている。
 中東では、凄惨な殺し合いが続いている。アフリカでは、何万という人々が飢餓とエイズで死んでいく。「あなたはこの現実から目をそむけるのですか?」と青年は訊ねた。今から10年ほど前のことだ。
 私はその問いに、生真面目に答えた。
 世界じゅうで今も、罪のない命が失われていることは知っている。しかしそれは、私の人生とは関わりのない出来事だ、と。
(中略)
 私も含めほとんどの人は正義のために生きてなどいない。自分と家族の幸福を守るために生きている。
実に潔く、単純明快な答ですね。
自分や家族の幸福が最優先なのは当然だと思うのですが、特に日本では「利己主義=悪」という価値観が幅をきかせているため、橘氏のような考えを明確に述べる人は非常に少ない気がします。
5年前より増えたという「声高に正義を叫ぶひと」に騙されないためにも、この大原則を正しく認識しておく必要があると思います。

長くなりそうなのでテーマごとに記事を分けます。

(つづく)

2010年1月22日

運用期間とリスクの関係 その2

先日の「運用期間とリスクの関係」に、nassiさんからコメントを、equilibristaさんからトラックバックをいただいています。ありがとうございます。

nassiさん:
①長期の運用は、短期の運用に比べて、結果のばらつき=リスクが大きい。
②但し、同じリターンを獲得するために背負わなければならないリスク(つまり、リターン1単位当たりのリスク)は、長期の運用の方が短期の運用より小さい。
なるほど。
あえて「リスク」という用語の定義を持ち出さなくても、運用期間が長いほどリターン/リスク比が向上するという簡単な説明で済んでしまうのだと理解しました。
リターン/リスク比という観点で言えば、このような長期投資の効用は、分散投資の効果
分散投資の効果とは、集中投資よりもリターン/リスク比を最適化できること
とよく似ていることに気付きました。


「長期投資のリスク」にファイナルアンサー - 投資の消費性について
主張1) ある前提*1のもとで、投資のリスクは、運用期間の平方根に比例して増大する。

√V(X1+X2+...+Xn) = √{V(X1)+V(X2)+...+V(Xn)} = √V(X) x √n

主張2) 同じ前提*2のもとで、投資の年率リスクは、運用期間の平方根に反比例して減少する。

√V((X1+X2+...+Xn)/n) = √{V(X1)+V(X2)+...+V(Xn)} / n = √V(X) / √n

まったく矛盾していない。
ふむふむ。
前回「互いに否定しあっているわけではないという気がしてきました」とぼんやり感じていたことが正しかったと確信しました。まさにファイナルアンサーです。


運用期間が長くなるほど、
リターン/リスク比が向上する、
または
投資の年率リスクが減少する。

いずれの表現を使うにせよ、短期投資に対する長期投資の大きな利点であることは間違いないと思います。

2010年1月20日

運用期間とリスクの関係

リスク資産での運用は「運用期間が長いほどリスクは減少する」という性質があると、私は今のところ考えています。
参考記事: 保有期間によるリスクとリターンの変化

しかし次のような正反対の意見も見かけることがあるため、実はちょっと混乱していて自分の考えに確信が持てません。

投資の名著の意外な誤り : 山崎流マネーここに注目 : トレンド : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
マルキールのデータを使って、簡単な計算をやってみよう。(中略)
投資した結果の資産額のバラツキが時間と共に拡大していることは明らかだ。

投資家にとって最終的に問題なのは「資産額(の評価の差)」であり、期間を通じて平均した「年率リターンの上下のぶれ」ではない。「投資期間が長期化するとリスクは縮小する」というよくある話の間違いを指摘するには、「2008年のリターン」などという野暮なデータを持ち出す必要はない。

長期で運用するとリスクは増大する、っていう「リスク」とは何だ? - SHINOBY'S WORLD
リスクが時間と共に増大するというのは、教科書的には正しいことで、資産運用の教科書に出てくるのは、正規分布を前提にすると5年後の資産の変動は1年後のルート5倍に増加するというものです。

それぞれ言わんとすることはわかるのですが、ここで言っている「リスク」とは「全運用期間の累積リスク」のことですから、運用期間が長いほど大きくなるのは当然ですよね? 「リスク」をそのような意味で使うのであれば、そこに異論を挟む人はいないと思われます。この場合、「期間の長さによってどの程度リスクが増大していくか」を見なければ意味が無いような気がします。

一方、Porcoさんの記事では、次のように結論づけています。
Porco Rosso Financial Weblog: 長期運用でリスクは増大しない
「N年後の標準偏差は年率標準偏差に√年数をかける為にリスクが増大するのではないか?」 と考えてしまいがちですが、これは投資と言う観点からは間違っています。

実は中心極限定理からN年後の通期リターンの標準偏差は√年数で割るのが正解なのです。
ともあれ長期運用でリスクは増大しない。通期での年率リスクは減少するので長期運用が正しい。
すくなくとも長期投資でリスクが増大すると言う時のリスクは年率標準偏差の事ではありません。
つまり、「リスク=年率標準偏差」と定義する限り「長期運用でリスクは減少する」は正しいと理解しました。
こちらのグラフでも、運用期間が長くなるにつれて累積リスクの増え方が緩やかになっていることがわかります。もし運用期間に関わらず年率標準偏差が減少しないのであれば、これらの折れ線は直線になるはずです。

こうして見ると、意見の相違(に見えるもの)は前提となる用語の定義の違いから生まれただけで、互いに否定しあっているわけではないという気がしてきました。まだ何かスッキリしませんが。

その他の参考記事:
長期投資、マルキールは間違っているのか? - タニボンの「なんでもアナリスト」
長期投資のリスクとリターン - 車輪を再発見する人のブログ
asahi.com:時間を味方につけて投資効果高める 長期投資の優位性 - オープン投資信託 - ビジネス

2010年1月18日

『決弾 最適解を見つける思考の技術』



御本人の紹介記事はこちら
404 Blog Not Found:紹介 - 「決弾 」、3月23日発売です

私の感想は、前著の『弾言』と比較すると、共感する部分が少なく物足りない印象の本でした。

共感した部分。
最適な決断は、感情がニュートラルな状態、平静な気持ちの時に初めて行えます。(中略)
感情をニュートラルにするためには、「暇」が必要です。
人間の経験値は暇によって高まる
暇を作れない人に、金は作れません。
このような「暇」重視の言葉を読みながら、つい先日ブックマークした
ウェブは今やほとんど普通の「世間」なのだろう - 評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
という記事の中で、「暇人」という言葉を非常にポジティブなイメージでとらえていたことを思い出しました。
私からも一人の暇人として言わせていただくと、暇人で困ることは何もありませんし、忙しくて良いことなど一つもないと思います。

アップルのスティーブ・ジョブズ氏は、毎日鏡に向かって「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」と自問しているそうです。まさに、そういう決断を日々積み重ねるべきでしょう。
本当にそんな自問をしたらやれることが無くなりそうな気もしますが(笑)、自分にとっての物事の優先順位を知るには良い考え方だと思います。

就職に直接役立つ資格などほとんどないのが事実です。
同感です。
手段であるはずの資格取得が目的化しているような人もいて、「資格ビジネス」のカモにされているように見えます。

ブログのネタ切れ、何を書けばいいのかという質問には、
知らなかったことを知った、そのことを書きましょう。
との回答です。参考にさせていただきます。

特別付録の勝間氏との対談では読書の話が出てきて、
僕がこれまでに読んだ本の冊数は、たぶん10万から12万冊くらい
だそうです。1日1冊のペースで300年かかります。驚愕。
何がクソ本かは、人や状況によって異なります。世間の評価と自分の評価が違った時は、自分の感情を優先してください。あなたが正しいのです。ある本に対して、世間の評価ではなく、自分なりの評価ができた時、その本を読了したと言えます。
これは心強い言葉ですね。
今後もクソ本に出会ったら容赦なくそう書きたいと思います。

2010年1月8日

Interactive Brokers証券のその後

不況のせいか、図書館で予約した本がなかなか回ってきません。結局この年末年始は一冊も本を読みませんでした。

ネタが無いので、当ブログで1年前の今頃どんな記事を書いていたか見直していたところ、
既に多くのブログで取り上げられているように、米国Interactive Brokers証券が日本で営業開始するそうです。 米証券大手が日本進出 世界70取引所の商品扱う  米証券大手のインタラクティブ・ブローカーズは近く日本での営業を始める。注文を電子的に自動処理することで比較的...
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ただ、既に米国法人に口座を持っている投資家にとっても朗報かといえば、現時点では何とも言えないと思います。というのは、単に日本の投資家に選択肢が一つ増えるだけならいいのですが、日本法人が活動を始めるにあたって金融庁からいらぬお節介を受けて、日本に住む投資家が海外法人に直接口座を開くという従来の選択肢が封じられるおそれがあるからです。
このニュースが舞い込んでからもう1年になりますが、その後まったく進展ないですね。それどころか、当時の不安が的中というか、むしろ事態が後退しているようです。

Interactive Brokers 日本人の新規口座開設を凍結中 | HYIP de orz
これも約1年前の記事ですが、その後凍結解除になったという話も聞きませんし、現在もそのままではないかと思われます。
まだ日本法人に口座開設もできない段階で早々と海外口座開設を封じられるとは…。金融庁恐るべし。

どうも、海外の金融機関の方から日本という金融鎖国に接近すると、ろくでもない結果を生むだけのようです。こんな規制だらけの国に手間ひまかけてアクセスしてこなくても、従来通り日本人の方からそちらへ出向けば済む話なので、もう余計なことはするなと言いたいです。