前回の続きです。
なんで議論が進まないのか → 年金という仕組みを根本からしっかり伝えていない
年金って何なの?って事が国民に分かられてないまま時代が進んでいる事が問題
いや、そういう問題ではないと思います。
仕組みをしっかり理解した上で問題点を指摘している人も昔からたくさんいますよ。
後編。
繰り下げ受給した方がいい
これは大きなお世話ってやつで、長生きする自信が無かったり、資産状況次第では繰り上げ受給を選んでも一向に構わないと思います。
貧しい老後
働かずに年金で生きていく
終始このような論調で脅して、何が何でも受給年齢を70歳からにしたいという意図が感じられます。正直気持ち悪いです。
ちなみに、私の親世代の老人たちはきっちり60歳から「働かずに年金で生きて」ますが、「貧しい老後」など無縁の暮らしぶりです。もちろん彼らが仮に100歳まで生きても大丈夫です。60歳から受給した上に長生きリスクもカバーされています。しかも、現在の現役世代が負担している年金保険料より遥かに軽い負担で。
それがいつの間にか、彼らの何倍も重い負担に苦しみながら、彼らと同じように60歳から年金を受給しようとすると、「貧しい老後」が待っているぞ!100歳まで生きたらどうするつもりだ!などと脅される時代になってしまったのは何故なのか、よく考えたほうがいいでしょう。
その答は、人口増加を前提に設計された制度が少子高齢化、人口減少によって破綻したからです。何十年も前からずーっと指摘されているのに何一つ解決されず、今後解決される見込みも無い年金問題の本質はそこなんです。それ以外は割とどうでもよいことです。
この動画見て「勉強になった」「わかりやすい」とかコメントしてる若者らしき人たちが大量にいますが、こんな大本営発表のコピペみたいな内容で一体何を勉強したつもりになっているのかと、本気で心配になります。数十年後に彼らがやっと年金受給世代になったとき、もう一度この動画を見せたらどうコメントするのか是非見てみたいところですが、おそらく私はもう生きていないのが残念でなりません。
もちろん中田氏本人に真実を隠す意図は無くて、彼自身も色々と錯覚しているだけだと信じたいですね。たぶん最初に御用学者が書いた本でも掴んでしまったんだと思います。私が購読している個人ブログにもそのような本のレビューが書かれているのをよく見かけますが、とにかくロクな内容じゃありません。
本当のコストを隠してお得な制度に見せかけるための「半分は国や会社が負担するから」論法、賦課方式を擁護するための「積立方式ではインフレに対応できない」論法、世代間格差を有耶無耶にするための「保険なのだから損得で論じてはいけない」論法などの詭弁に満ちています。余りにも巧妙なので、読者が初見で錯覚に陥るのもやむを得ないでしょう。各種迷彩論法のパターンさえ一度見抜いてしまえば、どうってことないんですけどね。
こんな動画だけ見てわかったつもりにならず、たとえば鈴木亘先生の本や橘玲氏のツイートなども読んで視野を広げてみると、全く別の真実が見えてくるはずです。
参考ツイート:
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