このシリーズを見るのは、「熟年サバイバル~年金減額時代を生きる~」の感想 その1以来になりますが、以前にも増してグダグダ感のある内容でした。些末な論点について、あーでもないこーでもないと言い合っているだけだったような。
前回はオアシスのようだった宇野常寛さんやデーブ・スペクターさんの発言も、今回は今ひとつ切れがなかったように感じました。
最初の数分で紹介された人手不足の事例が介護業界だった時点で早くも失望感が…。そんなの労働人口減少とは関係ない社会主義的産業構造の弊害じゃないですか。医療、介護、保育。すべて莫大な公費が注入され、政府に価格統制され、市場メカニズムが破壊された産業で、需給のバランスが釣り合うわけがありません。政府が経済に介入するとろくなことがないのです。
ところで、そもそも"超人手不足時代" なんて本当に来るの? という疑問もあります。
こんな記事を読んでしまうと特にそう思います。
ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンがGoogleを語る―ヘルス分野は規制が重荷、手を広げすぎた方が実は効率的 - TechCrunch
NHKの番組紹介ページには、2040年に日本の生産年齢人口が800万人足りなくなるとか書いてますが、四半世紀も未来の話です。その頃にはグーグルの自動運転車が道路を走り回っていると思うんですけど…。ロボットやコンピューターに置き換え不能な分野は、今よりずっと少なくなっているのでは?
800万人の生産年齢人口不足なんて、労働生産性が13%上がるだけで解消する程度の数字です。1年あたりわずか0.5%です。グーグルやアマゾンのような素晴らしい企業の力を借りれば、難なく達成可能でしょう。
人々が文化的な生活を送るために必要な労働資源は実はごく少ない。必要を満たすために全員が猛烈に働かなければならないというのは思い込みにすぎない。その通りだと思います。
小飼弾さんも同じようなことを書いてましたね。(『 働かざるもの、飢えるべからず。』 小飼 弾 (著):「どう考えても、日本では半分ぐらいの人は怠けていてもらわないと、職の数というのが足りません。皆が一生懸命というのは、それはそれでけっこうやばいことなんです。」)
もちろんそこには社会的な問題―多くの人々はすることがないと満足できないという問題がある。そのために不必要な活動が膨大に行われ、地球環境が破壊されている。必要ないのに働くのは満足のため、という捉え方がアメリカらしいですね。日本の場合は、「働かざるもの食うべからず」という旧来の固定観念に縛られているのだと思います。関連記事:
先日の記事 で、「働かざるもの食うべからず」という思想の弊害について触れましたが、同じようなことが書かれたブログを見つけました。 円高のいま、すべきこと。/日本を滅ぼす「働かざる者食うべからず」という強迫観念 - デマこいてんじゃねえ! より: 現在のように介入に失敗して円高ドル...
このシリーズは「日本新生」という名前が付いているわりに、今まで見た2本は討論している内容が全然「新生」って感じがしなくて、いつまでたっても変わらない日本社会の閉塞感をたっぷりと味わえる仕上がりになっています。