p.242
あなたのお金を狙っているのは、振り込め詐欺の犯罪者だけではない。その通りです。
(中略)
大手銀行や証券会社、保険会社が大々的に宣伝している金融商品にも情弱(情報弱者)をターゲットにしたものはいくらでもある。
金融機関はなぜ多額のコストを払ってその商品を宣伝するのでしょうか。そのコストに見合った高い利益をもたらす美味しい商品だからですね。
まだ中身の良し悪しが見分けられないうちは、「大々的に宣伝している」こと自体が、その商品を買ってはいけないシグナルである、と覚えておくとよいでしょう。
p.243-244
ほとんどのひとは、株価が上がったり下がったりするのに理由があると考えている。因果論はものすごくわかりやすいから、私たちは無意識のうちに原因と結果を結びつけようとする。これもその4で取り上げた認知の歪みの一種ですね。意識的に思考を修正しない限り、「株価の変動には何らかの原因がある」という思い込みから抜け出すことはできません。実際、株価や為替が大きく変動する度にアナリストたちがもっともらしい理由を述べたりしますが、ああいうのを聞きながらフムフムと納得してるようではダメです。
それに対して現代のファイナンス理論は、市場は因果律で動いているのではなく、未来は確率的にしか把握できないと教える。理屈そのものは初等数学程度で理解できるが、難しいのは「株価の変動に理由はない」という事実を受け入れることだ。
リテラシーの高いひとは、「誰も未来を知ることはできない」という真理を前提に資産運用を考える。このときに重要なのは、どんな経済変動にも耐えられるようじゅうぶんに資産を分散しておくことだ。同意。分散投資の重要性は本書で繰り返し述べられている通りです。
「どんな経済変動にも耐えられる」とは言っても限度はありますけどね。さすがに世界的な資本主義の終焉→私有財産没収の可能性まで含めて考えると、どんなに分散を効かせたポートフォリオでも無価値になるリスクは残ります。小惑星直撃で地球滅亡、のような事象と同じように、超低確率だけど発生すれば破滅的なリスクに対しては現実的な対策が存在しないため、リスクを受け入れる以外にできることは何もありません。
(つづく?)