2018年9月30日

増税推進派のロジックは理解できない

城繫幸さんのブログより。
安倍ちゃんがだらだら消費税引き上げ先送りするもんだから社会保険料の引き上げが止まらず、
まるで「予定通り増税していれば社会保険料の値上げが止まっていた」みたいな言い方ですけど、そんな保障がどこにあります? サラリーマンを扇動するのに都合の良い推測に過ぎないのでは。

いまや組合員の払った保険料の実に4割が高齢者医療にカツ上げされている状況だ。
それを言うなら消費税を含むあらゆる税金だってカツアゲだし、その多くが社会保障費(受給者のほとんどが高齢者)に消えているのは同じです。現役世代から高齢世代への所得移転が発生する構造は、カツアゲの名目が社会保険料だろうが税金だろうが変わりません。

小作農並みの負担にされたくなかったら高齢者の自己負担分を増やしつつ合わせて消費税も引き上げるしかない。
いやいや、「~しかない」ってことはないでしょう。
現在の保険料収入だけでやりくりできるように自己負担率を(たとえば7割~9割に)上げる手もあります。

もちろん、ベストなのは国民皆保険制度を廃止して健康保険を民営化することです。サラリーマンが天引きされる健康保険料もゼロになりますから、任意で民間の保険に加入すればいいんです。

はっきりいって責任ある地位についている人たちの中で「消費税は10%でオッケー」って考えている人はいない。20%前後の引き上げはもう時間の問題だ。
このような増税無間地獄へと落ちていくのだったら、なおさら早いうちに増税を断固拒否して、持続可能性のない制度へ餌を与え続けるのをやめないと、って思いますけどね。そもそも保険料収入だけではコストの半分しか賄えない名ばかりの「保険」制度を、莫大な税金をつぎ込んで延命していること自体が狂っていることに気付いてほしいです。もっと税金を注ぎ込めと言って他人に負担を強いるのは、非常に罪深い行為だと思います。

参考ツイート:
関連ツイート:
関連記事:
以前から不思議に思っていることの一つが、自らドケチを名乗るmushoku2006さんが消費税増税を支持していること。ドケチにあるまじき行為。(笑) 資産課税のような後出しジャンケンが許されないことについては意見が一致するんですけどね。 過去の行為についての税金は勘弁して欲しい 2...
yumin4.blogspot.com

2018年9月25日

日本のブラック正社員は世界最強だなと思った話

ツイッターを眺めていたらこんな記事が紹介されていました。
こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マンです。 以前、Mr.ボンドという人物を紹介しました。 簡単に特徴をまとめると この記事では、 退職後の彼の動向について 彼のサラリーマンとしての労働観 についてご紹介します...
kobito-kabu.com
読んでみるとこれがなかなか衝(笑)撃的でした。

Mr.ボンドの実態はこうです。

高いのは書類スペックだけ
一番簡単な仕事をたっぷり時間をかけて(いるように見せて)する
勤務時間中はひたすら相場に向き合う
会社の時間・お金で勉強
試用期間中を除いては、彼は本当に無能の極みに見えます。
本当に無能な人だったら試用期間中にボロが出ますし、こんなに要領よく立ち回れるわけないですよね。いわゆる「有能な怠け者」ってやつではないかと。指揮官に向くタイプと言われています。労働法が与える特権を剥奪して適切なインセンティブを与えれば役に立つかもしれません。

ただ、勤務時間中に相場に向き合う行為は労務提供義務違反なので、債務不履行に当たりますね。会社がその気になれば損害賠償請求が可能です。

市場の価格形成を適正化する、崇高な仕事だそうです。無職だなんてとんでもない。
これはその通り。
彼のような短期トレーダーが頻繁にトレードを繰り返してくれるおかげで市場の流動性が保たれ、我々長期投資家も適正価格で金融商品を売買できるのです。ありがたいことです。

彼いわく、労働者サイドの唯一の勝ち筋は
会社(資本家)を搾取すること
です。奴隷としての階級をあげることではありません。
自分が雇いたくないと思う人材でいたからこそ、自分はリタイアにこぎつけられたと言っていました。徹底してますねぇ。
これは違いますね。
数ある金銭の稼ぎ方の中にはそういう(嫌がる他人から合法的に奪う)方法もあるというだけで、それが「唯一」だなんてとんでもない。

多くのまともな労働者は雇用主と合意の上で労働力を金銭に替えているので、お互いにWin-Winの関係です。資本家と労働者の利害は必ず対立するものだという前提がおかしいと思います。参考ツイート:

いや、海外なら彼は速攻でクビなので無理でしょう。ブラック社員が会社を搾取し放題なのは、正社員の特権が強固に保護されている日本特有の現象だと思います。

日本ではなぜかブラック企業の問題ばかりが取り沙汰されますが、被雇用者の側からはいつでも自由に雇用契約の解約ができるのに、いったい何が問題なんだろうと思います。間違ってブラック企業に就職してしまった場合は、すぐに辞めれば済みます。

対照的に、ブラック社員を間違って正規雇用してしまった場合は大変なことになります。解雇も減給も規制で厳しく制限されているので、最悪40年以上もの長きにわたって搾取され放題になってしまいます。日本の会社経営者や株主の立場からすると、彼のようなブラック正社員を掴んでしまうほど恐ろしいことはありません。

参考ツイート:

関連ツイート:

2018年9月20日

無職は後ろめたい?

ししもんさんのブログより。
今日最初の香ばしい苦味が口の中に広がる。平日の朝。郊外のカフェで空いている席を確保するのは造作もないことだ。こうしてカフェに行きさえすれば、1杯のコーヒーが注文から僅か数分で出てくる。雨の日も風の日も。これって地味にすごいことだ。この1杯の
shishimong.com
平日の朝。郊外のカフェで空いている席を確保するのは造作もないことだ。こうしてカフェに行きさえすれば、1杯のコーヒーが注文から僅か数分で出てくる。雨の日も風の日も。これって地味にすごいことだ。

この1杯のコーヒーが僕の前の出てくるのに、いったいどれだけの人々が関わっているのだろう。

南米や太平洋諸国でコーヒー豆を栽培した人。果肉を取り除き洗って乾燥させた人。国際物流を通して生豆をこのカフェまで運んだ人。焙煎した人。

何も考えなければ洒落たカップに注いで僕の前に出してくれたバリスタさんしか意識しない。だけどエスプレッソメーカーを作ったエンジニアやこのカフェを建てた大工さんまで含めたら、それこそ万の単位の人間がこの1杯のコーヒーのために仕事をしたことになる。

雨の日にも300円という価格でコーヒーが飲めるのは、世界中で沢山の人たちが協力して生産性を高めた結果だ。僕は毎朝カフェに行く度に人間社会ってすごいなって思う。
同感です。

世界中の人間各々が誰に強制されるわけでもなく、自らの意思で自らの利益のために仕事をした結果として自然に生産性が高まり、みんながハッピーになっていくのは素晴らしいですね。自由市場を通じた高度な分業と交換の為せる技だと思います。

無職が恥だが癖になる。

この「恥」の感情は、この世界を構成する協力の網の目に参加していない後ろめたさだ。僕は労働の網の目に参加していないにも関わらず、その成果物はちゃっかり毎日享受している。これでいいのか。本当にずっとこれでいいのか。
もちろん、ずっとこれでいいんです。

確かに無職は生産するための労働には参加していませんが、私は「恥」とか「後ろめたさ」のような感情を持ったことは一度も無いですね。成果物を毎日享受しているのもその通りですけど、べつに一方的に施しを受けたり、誰かに労働を強制した覚えもないですからね。カフェでコーヒー飲むときも、双方合意の上で取引をしているという意識しかありません。

さらに言えば、そもそも無職の私が支払っている金銭はどこから生み出されたものかというと、会社員時代の労働すなわち私企業を通じた生産活動です。現在の私の金融資産は主に、過去に稼いだ給料の余剰が蓄積されることによって形成されました。早期リタイアしていると言うと誤解されがちなのですが、資産運用で大儲けしたからではありません。つまり、会社員時代には自分が消費したよりも遥かに多くのものを生産したからこそ、無職の今は何も生産せずに消費するだけの生活が成り立っていることになります。

生涯現役を貫く人を除けば、リタイア後は誰もが消費するだけの生活へ移行します。その時期が早いか遅いかの違いがあるだけです。生産活動に参加しない生活にいちいち後ろめたさを感じてしまっていたら、人生の後半や終盤はひどく生きづらいだろうなと思います。

2018年9月15日

縛られない自由な生活は超つまらない?

ツイッターより。
競技に喩えることも含めてわりとよく見かける意見だなと思いますが、いつも違和感があります。

結論から言うと、これに尽きます。

まず、人々の生活や人生はサッカーと違って競技ではないので、「これと一緒」ってことは無さそう。全チームに共通の合理的なルールがない競技が面白くないのは当たり前だと思います。競技だからこそ必要なルールと、個々の人々によって異なる生活の自由度って何か関係ありますかね?

フリーランスは自分で自分を縛らないと
フリーランスに限らず無職もですが、自縛したほうが面白いと思う人はそうすればいいでしょう。でもこれ、たとえ一瞬でも「縛られない自由な生活」を手に入れたからこそ言えるセリフではないかと思うんですよ。ほとんどの人は自縛することを選ぶ前に、他縛されていて身動きが取れないわけで。

自縛なら自分で縛り方や縛る強さを調整したり、きついなと思ったらいつでも自分で縄をほどくことができます。自縛って自由の一形態なんです。それに対して他縛は不自由そのものですから、他縛されてきついなと思っている人は、自縛好きな人たちが発する「縛られない自由な生活は超つまらない」みたいな、一見自由をdisるような言葉を額面通りに受け取ってはいけないと思います。

関連記事:
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きりんさんのブログより。 早期リタイア後のロールモデルについての結論 - きりんの自由研究 図書館にて、蔵書の検索を司書さんにお願いしている間、雑誌コーナーをうろうろしていた。そうすると月刊ビッグトゥモロウという雑誌が「セミリタイアの実際に迫る!」といった特集を表紙で大きく見出し...
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p.198  ある程度の貯金があってこそ、隠居も屈託なく楽しめるってもんです。 基本的には明日死んでもいいように生きるけど、死ななかったときのためにもしっかり蓄えておきたいところ。 「ある程度の貯金」とは、半年分の生活費のようです。(p.197より) 私の場合のそれは半...
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2018年9月10日

人生のコストパフォーマンスとは

webzさんのブログより。
取引先に人生のコストパフォーマンスを最大限にすることに絞って生きてきたと思われるオジサンがいるのだが、正直メンドクサイ。雑談ですら最もコストパフォーマンスが良い結論は何かと言うことしか喋らない。ビジネスマン単体としては優秀なのかも知れないが、社内や取引先にはすぐに嫌われてしまうので誰からも協力を得られない。
本人にしてみれば合理的な回答をしているつもりで、悪気がないのがまた困る。特に趣味の分野なんて...
web-g.org
私も雑談とか結論がない話は好きではないので、このおじさんの気持ちはわかりますね~。

そういう本人は休日に何をしているかと言うと用も無いのに休日出勤し、会社のインフラを利用してネットで無料動画を見まくっている。家だと電気代と通信費がかかるので会社に出てくるそうな。試しに映画の話も振ったところ、予算を多く使ったハリウッドの大作映画を観るのがコストパフォーマンスが良いそうで、そればかり観てる。飲みに行くと必ず飲み放題、食べ放題を選択し、制限時間内でいかに消費できたかばかり考えている。
このような行動様式を見ると、この人にとってはコストもパフォーマンスも、目に見える金額だけがすべてなんでしょうね。

でも、本来コストパフォーマンスってそんな単純な概念では無いと思うんですよ。実際には休日に会社へ移動するための時間や手間もコストに含まれますし、大金をかけて制作したハリウッド映画のパフォーマンスが高い(面白い)とは限らなかったり。食べ放題、飲み放題の方がコスパが高いというのもよくある思い込みです。

ネット界隈を観てると最近の若者はコストパフォーマンスを重視するとの話をよく見る。もちろん、そんな若者全てがそういう人になるなんて思ってない。だけど、人生をコストパフォーマンス重視のみに振るのはこのオジサンになる可能性があることを知って欲しい。
正確には、「コストパフォーマンスの概念を勘違いすると」このオジサンになる可能性があるということだと思います。

コスパ重視に極振りするとこうなるという単純な話ではなくて、極振りしている人どうしであっても人生は人それぞれ多様なものになると思います。それぞれコストとして何が重いか、パフォーマンスとして何を重視するかという重み付けが異なるからです。

早期リタイアというライフスタイルだって、コスパの評価は真っ二つに分かれます。たとえば私なら「今後40年の自由時間を得るためにX千万円の収入を失う」ことをコスパが高い買い物だと感じますが、まったく逆の感想を持つ人も少なくないでしょう。

それぞれの価値観に応じたコスパ重視の人生、大いに結構なことだと思いますよ。

2018年9月5日

日本の病院にできる長蛇の列は社会主義の象徴

ツイッターでよく燃えている現代ビジネスの記事より。
週刊現代8月11日号の連載「それがどうした」で、伊集院静氏はこう綴っている。 〈小 - Yahoo!ニュース(現代ビジネス)
headlines.yahoo.co.jp
予約しても1~2時間待たされることはザラにある。

やっと診察室に辿り着いたと思ったら、わずか2~3分で診察は終了。会計でまた長時間待たされる……。そんな状況に多くの患者はイライラしている。

だが、少しでも文句を言おうものなら「モンスター患者」扱いを受け、まともな診療すら受けられない。およそ世間一般の常識とはかけ離れた価値観が支配する空間――それが病院なのだ。
そう、世間一般のビジネスが資本主義の常識で動いているのに対して、病院を支配しているのは社会主義の常識ですからね。それはもう異次元空間に迷い込んだように感じるのが当たり前ではないかと。

そういう当然の因果関係を正しく理解していないから、個々の病院や医師、看護師らを責めるような記事を書いてしまうのでしょう。病院側も患者と同じく、国民皆保険制度に巻き込まれてしまった被害者だとは考えられないんですかね。サービスの質を高めてもっと高い代金を得ようと思っても、政府の規制によってそれができないのですから。

ツイッターの反応を見ると99%は伊集院氏への批判コメントですが、批判の内容を見ると上記のような視点のものは非常に少なく、的外れなものがほとんどです。特に「気軽に医者にかかれるのは国民皆保険制度のお陰なのにお前という奴は~」的な論調のものも多くてうんざりします。いやいや、その制度こそが問題の原因そのものですから。

ファミレスの子連れクレーマーは賛否両論だったのに対し、おっさんクレーマーだと全く賛同が得られないというのも興味深い現象です。しかもこの人の場合は院長を呼びつけて詰問したわけでもなく、病院での嫌な体験をあとから記事にしただけなので、そもそもクレーマーですらないんですけどね…。

参考記事:
パンの料金は様々だ。同じメロンパンでも、材料が違う、製法が違う、作ってから売るまでの時間が違う、場所代が違う、買いに来る客層が違う…といった背景を反映して、50円のメロンパンがある一方で500円のメロンパンもある。当たり前だが店ごとに値段が違う。ところが、社会保障制度では、「何のサービスを提供したか」という形式的な観点で料金が決まる。...
blog.goo.ne.jp


関連記事:
netgeekさんの記事より。 【炎上】堀江貴文が保育士資格廃止・自由競争化を提案して賛否両論が巻き荒れる結果に 保育士の数が圧倒的に足りておらず、需要に対して供給が追いついていない問題について、ホリエモンこと堀江貴文氏が斬… netgeek.biz 保育士の数が圧倒的に足りて...
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「保育園落ちた日本死ね!!!」に思うこと の続きです。今回は経済学の切り口から。 こういう「弱者が困窮している」系のストーリーを見たときに出てくる典型的な反応として、「政府が何とかしろ」というのがあります。しかし、保育園問題に関して言えば、自由主義経済下で市場原理に委ねていれ...
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p.188  介護事業所に支払われる介護報酬が約3%引き下げになるそうで、ただでさえ介護者たちは労働に見合わない薄給で働いているのに、さらに給料が減らされる可能性がある、という内容でした。 あのー、介護って実際はほんとに重労働なんですけど、介護に対する社会の評価ってそんな...
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