2013年12月31日

2013年末の資産残高推移

昨年のはこちら。
2012年末までの資産残高推移

年末時点の資産残高を集計してみたところ、この1年で+31.5%という結果が出ました。
この数字は残高集計を始めた2005年から(現役時代2年半を含む)9年間で最大の伸び率です。世界的に株高の年だったこともありますが、円安によって大きくプラスの影響を受けました。ちなみに現時点で外貨建て資産が82.5%を占めるポートフォリオを保有しています。

年間支出の方は昨年より微減、ほぼ横ばいという結果になりました。

リタイアした年である2007年からのデータを並べてみましょう。
2007年: +6.8%
2008年: -37.4%
2009年: +17.3%
2010年: -4.7% 年齢+ACR=77
2011年: -13.7% 年齢+ACR=76
2012年: +19.2% 年齢+ACR=89
2013年: +31.5% 年齢+ACR=106

さすがに106歳まで生きるつもりはないので、リタイア当初に平然と言い放った
今後50年以上無収入で生活しても資産が余ることが計算できた
早期リタイアした理由より)
という言葉にもようやく現実味が戻ってきた感じがします。まあこの先、再び2008年のような年が来ればまた冷や汗をかくことになるかもしれませんけど…。

2013年12月29日

『企業が「帝国化」する』 松井博 (著) その2



Kindle版


ではなぜ「帝国」はこんなにもさまざまな国籍の人材を雇い入れるのでしょうか?
その要因としてはこれらの企業が自らを特定の国家に属する組織だと思っていないことが挙げられるでしょう。例えばアップルには、自分たち自身を国家を超えた「超国家的組織」と考えているような節がありました。アメリカという特定の国家に対する帰属意識が驚くほど低いのです。
わかります。
最近、日本企業、アメリカ企業、といった呼び方を古めかしく感じます。現行の法律上仕方がないので国別に登記された法人の集合体という形をとっているものの、グローバル企業の実態は文字通りひとつの「地球企業」と呼ぶにふさわしいものです。

アップルは製品だけでなく、租税回避にさえも創造性を発揮しています。例えばアップルは、税率の高い国(アイルランドなど)の営業スタッフが低税率の国(カリブ海の無税の国)にある会社の代理販売を行っているという形をとることにより、税率が高い国での法人所得税を回避するメカニズムを考えた最初のハイテク企業と言われています。
グローバル企業が様々なテクニックを駆使して税コストを最小化している事実は、皮肉なことにそれを批判的に報道するメディアによって有名になったようですね。最近では、スターバックスがイギリスに、アマゾンが日本に法人税を一銭も払っていない件は、かなり騒がれた印象があります。

たしかに法人税を搾り取れない国家にとって大変おもしろくない事態であることはわかります。でもなぜ、公務員ですらない一般市民が大騒ぎして「税金払え」と叫びながら不買運動までやるのか、私にはわかりません。
一人の消費者としては、企業がどの国にいくら法人税を払っているかなどどうでも良いことです。同じ商品なら1円でも安い店を選ぶだけのこと。企業に税金を余分に払わせたところで商品が安くなるわけじゃなし。

一人の投資家としては、税コストを最小化して利益を最大化する企業の方が優れていることは言うまでもありません。アマゾンやグーグルの株価がとんでもない高値になっているのは、彼らが税コストを最小化する努力をしていることと無関係ではないと思います。世界中の企業の間接的な株主でもあるインデックス投資家として、そのような企業が増えることは大歓迎です。

 これまでお読みいただいたとおり、極めて強力な企業が「帝国」と呼ぶのにふさわしい影響力を持ち、ロビー活動によって影響力を増大させ、消費者を餌付けし、雇用の流出や、仕事の自動化による中間層の没落を引き起こしています。
 本来ならばそういったことが起きないように監視するはずの政府はあまり当てにならない状態です。そうした現状を踏まえ、私達は自分たちで、こういった「帝国たちとの賢い付き合い方」について考えてみる必要があるのではないかと思います。
結論には賛成です。
しかし、「監視するはずの政府」と書いてあるのはいただけません。現状でも既に各国の政府、とくに日本国政府はあらゆる企業活動を監視、規制しすぎであり、お上の顔色を伺わないと何もできない国の一つです。経済活動への政府の介入、干渉は極限まで小さくすべきです。

現在の20代の若者が高齢者になったときに年金が維持されている可能性など、かけらほどもないでしょう。国民健康保険の維持すら厳しくなり、健康保険の民間化が急速に進むのではないかと私は考えています。国家による社会保障がない世界はもう目前です。
現行のような欠陥だらけの社会保障制度なら無い方がマシなので、国営の社会保障制度が破綻して民営化されているのであれば、まだ良い方のシナリオかもしれません。現役世代にとって最も恐ろしいのは、このままチマチマと負担増、給付減の改悪を繰り返しつつ破綻が極限まで先延ばしにされるシナリオの方です。ぶっちゃけ、どうせ我々は逃げ切れないのだから、一刻も早く破綻してくれと願っている人も少なくないと思います。

2013年12月28日

『企業が「帝国化」する』 松井博 (著) その1



Kindle版


2009年4月、私は不況のまっただ中に、社内の政治闘争に疲れ果ててアップルを退職することになりました。アップルを辞めて気が付いたこと、それはアップルのような企業の中枢に勤めるごく一部の人々が消費や生産の仕組みを創り、そうした仕組みの中で、選択の余地もなく消費せざるを得なかったり低賃金であくせくと働かざるを得なかったりする人がたくさんいることでした。
なるほど、確かに資本主義経済下で企業に莫大な利益をもたらす「仕組み」が存在することは否定しません。しかし、その仕組みの中に取り込まれることを選んだのは他ならぬ消費者や労働者自身です。企業は自社の商品やサービスを買うことを誰にも強制していないし、提示された条件であくせくと働くことを誰にも強制していません。なので、「選択の余地もなく~」という表現は違うと思います。

そして格差問題が単なる収入の差などではなく、企業が最大限の利益を追求する中で発生する「副作用」であることを実感し始めたのです。またこうした問題に対して国家がほとんど無力であり、自分たち自身が無関心でいると、生活そのものを根こそぎコントロールされてしまうことが分かってきました。
このような著者の現状認識に基づいて、無力だと言う国家とは対照的に強大な力をもつ企業の「帝国化」という表現が本書のタイトルに選ばれたのでしょう。しかしながら、本書全体に散見される「グローバル企業=悪の帝国」とでも言わんばかりのネガティブな論調には違和感を覚えます。

ところで国家ってそんなに無力ですかね?
(憲法に抵触しない)法律さえ作れば、国民や企業に何でも強制できるのですよ。たとえば私有財産への課税はごくありふれた国家権力の行使ですが、嫌がる国民から無理やりお金を搾り取ることが許されています。

資本主義を支える基本ルール(契約自由の原則など)が維持されている限り、民間企業がどれだけグローバル化、巨大化しようとも、嫌がる国民から強制的にお金を搾り取ることはできません。企業よりも国家の方がはるかに強大な権力を持っていることは今も昔も変わらないと思います。

iTunesは他社のMP3プレーヤーをサポートしていないため、たくさんの楽曲を買ってしまうとなかなかほかのMP3プレーヤーに移れなくなってしまうのです。
(中略)
こうして中学生ぐらいからガッチリと「アップル漬け」にする仕組みが出来上がりました。
アップルに限らず他の企業でもやっている囲い込み戦略ですね。消費者には、嫌ならアップル製品は使わないという選択肢が常に用意されています。囲い込み戦略は採用せずにオープンな規格で勝負しているメーカーはいくらでもあります。もっと消費者が賢くなり本質を見抜く眼を養えば、品質は劣るのに販売戦略だけは熱心なメーカーの製品は次第に市場から淘汰されていくでしょう。たとえば日本企業ではソニーが一時期露骨な囲い込み戦略を採用していたようですが、現在業績や株価が低迷しているのは偶然ではない気がします。
消費者は搾取される無力な存在などではなく、大企業の命運さえも左右する力を持っているのです。

いま享受しているデジタルライフは好むと好まざるとに関わらず、アマゾンやグーグル、あるいはアップルなどの「帝国」に依存せざるを得ないのが21世紀を生きるわれわれの新しい現実です。
確かにアマゾンやグーグルのサービスは私も頻繁に利用しています。他社のサービスより優れているからです。
「依存」というのは、もしそれが無くなれば目的が達成できなくなるような関係です。仮にアマゾンやグーグルのサービスが終了した場合、代わりに他社のサービスを使えばいいだけで、私もつい最近、愛用していたGoogle Readerが終了したのでFeedlyに乗り換えるという体験をしたばかりです。
「依存せざるを得ない」という表現は現実を正しく捉えているとは思えません。

(つづく)

2013年12月14日

国民年金免除の損得 再考

一日不作一日不食さんの巡回先リンクを眺めていると、こんな記事が目に止まりました。
年金免除の損得|おひとりさまと一匹
以下の文章は投資一般の
★投資信託の分配金で暮らしている人24★ より
ちなみに国民年金の免除申請はちゃんとしよう。
国民年金の全額免除を受けると1円も払ってないのに
9万円積み立てていることにしてくれて、
国民年金の加入期間として計算されるし、
年金もそれなりにもらえる。

支払猶予申請にしてしまうと
加入期間としては計算してくれるけど、積立額は0円。
支払猶予申請もせずに勝手に未払いにしてしまうと
加入期間さえ増えない。

投資家のみなさんなら
18万円はらって18万円積み立ててもらうのと
1円も払わずに9万円積み立ててもらうの
どっちがお得か分かりますよね。

こんなことは当たり前、と言われそうですが・・・(/ω\)
当たり前と言いたいところですが、ちょっと金額が違うのではないでしょうか?
現在の国民年金保険料年額約18万円というのは加入者負担分ですから、国庫負担分を合わせると約36万円が算入されているはずです。
正しく言い直せば、
「18万円払って36万円積み立ててもらうのと
1円も払わずに18万円積み立ててもらうのと
どっちがお得か分かりますよね。」
(よく見たらretire2kさんが既にコメント欄で同じ指摘をしてましたね…)
まあ賦課方式なんで「積み立ててもらう」という表現もちょっとおかしいんですけど、こういう具体的な数字を眺めて見れば免除制度ってやっぱり美味しく見えますね。

ちなみにもっと美味しいのが第3号被保険者で、所得条件さえ満たせば
「1円も払わずに36万円積み立ててもらう」
ことができます。ここまで来ると特権階級ですね。

たまたまお金を持っている人が免除制度を利用していると知るや、嬉々としてバッシングする人たちがいますけど、では彼らは第3号被保険者を2倍バッシングしているかというと、ぜんぜんそんな風には見えないのが不思議でしょうがないです。

以前にも書いたと思いますが
私はまだ国民年金を払っています。
損得で考えると免除してもらった方がいいのはわかっていましたが
実は「どっちが得か」という点では、差分の18万円/年のリターン次第であり、期待値上は微妙です。(関連記事:国民年金免除の損得
平均寿命よりも数年長生きするだけで得になる可能性も十分ありえるので、免除のほうが絶対に得だとは言えません。

ポイントは、自分が一定の年齢以上長生きする事象が発生するほうに、毎年18万円のお金を賭けるかどうかを(多くの人が強制参加させられている中で)自らの意思で選べること、ここが免除制度の旨みではないかと。長生きする自信がある人が免除制度を利用せずに年金を全額支払う行為は、株式市場が長期的に成長を続けるほうに毎年一定金額を賭ける積み立て投資と本質的には同じことだと思います。信用する相手が一国の政府なのか、市場なのかという違いはありますが…。

免除申請というものは
よっぽど生活に困ってからするものなのだと思っていました。
これもよくある思い込みというか勘違いだと思います。より条件の厳しい生活保護制度と混同しているのではないでしょうか。

国民年金法第90条には、「次の各号のいずれかに該当する被保険者」の第一号に
一  前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき。
と書いてあります。ここに書いてあるのは「所得」のみで、「生活に困って」いるかどうかは問題にしていません。

安定した収入が無くなった以上
自分の損得を一番に考えてしまうのはしょうがないような・・・(^^ゞ
まあ加入期間は足りているし
やっぱり来年から免除申請することにしよう。( ̄∀ ̄)
なぜか罪悪感を持たれているようですけど、誰でも自分の損得が一番なのは当たり前なので、払うのは損だと思うのなら堂々と権利を行使すれば良いと思いますよ。

2013年12月8日

「金利で生活すればお金は減らない」という錯覚

Kotaroさんのブログより。
確かに、金利の一部だけを消費して生活できたら、元本は減らない。でも元本はいつ使うの?とわたしは思ってしまう。死んだ時に元本を丸々使わずに残ってしまう。こちらのほうがもったいないし残念だと思う。イチゴケーキを買ったのにイチゴを食べずに死んでしまうようなもの。
同感です。

さらに言えば、こういう文脈で出てくる「元本は減らない」というのは、単に元本の額面が減らないという意味で使われていて、肝心の購買力がどう変化するかをまったく考慮していないことが非常に多いと思います。額面金額は維持できていても、インフレで購買力が低下してしまえばその分だけお金が減っていることになるんですけどね。
関連記事:
タイトルは節約術の本にも見えますが、中身は違っていました。アマゾンの辛口レビューに共感します。 FPである著者は、 一概に経済合理性だけを追求したアドバイスをすることが、いかに無意味かを痛感しました。 とのことです。 例えば、たばこを吸う人にとっては、(中略) 禁煙したら30年間...
yumin4.blogspot.jp


要するに、「金利だけで生活すれば元本が減らないので安心」というのはただの錯覚に過ぎません。行動経済学では心の会計と呼ばれる、人間の脳に宿る不思議な習性の一つです。山崎元さんも次のように解説しています。
本稿が掲載される予定日は9月25日だ。何は、ともあれ、「今なら間に合う」重要情報をお伝えしよう。金融機関が口座獲得のキャンペーンを行っているNISA(「ニーサ」。少額投資非課税制度)の口座開設の申し…
gendai.ismedia.jp
インカムゲインとキャピタルゲインを区別する考え方は古くからあるが、本来は、両者を合わせて損得を判断するのでなければならない。しかし、人間には、「メンタル・アカウンティング」(心の会計)と呼ばれる傾向性があり、本来なら色など付いていないはずの「お金」に対して、その収入の形態や、将来の使途などで、過剰な区別をする傾向がある。

毎月分配型投資信託の場合は、「分配金」で入ってくるお金に対して、「運用による利益だ」という好ましいイメージ、「(運用益だから)これを使うのは健全だ」という好都合なイメージを持ちやすく、部分的な解約による元本の取り崩しに対しては、「不健全だ」、「心配だ」というイメージを持ちやすい。
この記事は投信の分配金についてですが、預金の利息などでも基本的に同じことです。

2013年11月21日

「熟年サバイバル~年金減額時代を生きる~」の感想 その3

先日の記事の続きです。

消費しないピノキオさんのブログより。
リタイア後の悠々自適の生活は与えられるものではない - 消費せず働きもしない未来を歩む遊民の独白
宇野常寛さんが良いことを言っていた

国が本来やるべき社会保障を企業に押し付けている
限られたパイの中で奪い合いをさせられている
ここは私も共感しました。
パイなら全員に行き渡るように分けることもできるので、椅子取りゲームにたとえる方が適切ですね。

宇野さんの発言の直前に小室淑恵さんからも
「年金政策の失敗を若者へのしわ寄せで解決しているように見える」
と、ピンポイントで問題の核心を突く発言が出ています。

彼らが指摘する通り、現行の年金制度には当初から致命的な欠陥があるにもかかわらず、政府は何ら根本的な制度改革を行わず、破綻を先延ばしにするためにチマチマと保険料負担を増やしたり支給開始年齢を引き上げるなどの愚策を繰り返すばかり。今回の65歳までの雇用義務化は、そのような愚策によって空白の5年間を発生させた責任を民間企業に転嫁する厚顔無恥な政策です。企業は払わなくて済むはずだった賃金だけでなく、社会保険料(厚生年金、健康保険、雇用保険)の会社負担分まで払わされることになり、まさに踏んだり蹴ったり。最大の被害者はコストが増える企業であり利益分配が減る株主でしょう。

また、労働者の視点に立てば、元々企業に課せられている強い解雇規制との合わせ技により、いったん正規雇用という椅子に座れた人は65歳まで立たなくていい、というアンフェアなルールで椅子取りゲームをやらされているようなものです。よって、労働市場に新規参入する若者や、何らかの理由で椅子からこぼれ落ちた人たちが第二の被害者となります。

明らかにおかしなルールなのでゲストの方からも「なぜ若者の雇用は義務付けないのか?」「なぜ女性の雇用は~?」という声が上がっていましたが、そもそもどのような属性の人間であれ、政府が民間企業に「雇用を義務付ける」など、社会主義国の政策です。資本主義、市場経済の国では、労働力の需給も市場メカニズムによって最適化されるべきでしょう。

ツイッターにこんな意見がありました。
ほんとにコントみたいな話ですが、真面目な企業ほど、悩んだ末に本来不要な仕事をわざわざ作ってしまうのでしょうね。こんなふうに企業に手枷足枷をはめて奴隷のように扱う国のトップが成長戦略を語るなんてちゃんちゃら可笑しいです。本当に経済成長を望んでいるのなら、まずは民間企業の足を引っ張る政策をやめることから始めないと。

一時は解決したかと思われた医薬品のネット販売規制再発の件もそうですけど、一向に良くなる気配が見えない日本国政府の傍若無人な振る舞いを見ていると、国内株式の割合を市場ポートフォリオよりも高めにする「ホームバイアス」は避けるべき、という思いがいっそう強くなるばかりです。

2013年11月11日

「熟年サバイバル~年金減額時代を生きる~」の感想 その2

先日の記事の続きです。

retire2kさんのブログから。
熟年サバイバル ~年金減額時代を生きる~ : 40代貯金2000万でセミリタイア
60歳以降どう働くかよりも、60歳で仕事を辞めてもいいようにするには、という視点がもっと欲しかったですねぇ。
そうですね。
「年金減額時代を生きる」という副題がついているわりには、収入が減るならどうやって支出を減らすかとか、足りない分をどう貯蓄で補うかといった最もシンプルな発想がほとんどなく、無理にでも働いて生活環境や生活レベルを現状のまま維持しようとする方向に著しく偏重していました。これが違和感の最大の原因じゃないでしょうかね。

唯一、番組の最後のほうに少しだけ田舎へのプチ移住のVTRが出てきましたが、実は移住ではなく単なるロングステイというオチでした。あんなのはお金に余裕がある人しかできないみたいな不毛な結論に落とし込まれそうなところを、宇野常寛さんが非常に良いコメントを残していたのがせめてもの救いです。

宇野さんは他の話題のときも「そもそもみんなそんなに働きたいのかな?」「僕だったら60過ぎて週5日とか絶対働きたくない」という趣旨の発言をされていて、出演者の中で最も光り輝いて見えました。その真っ当な発言に対してすかさず「いや、(60になっても)働いてるよ」と突っ込んで笑いをとったつもりの三宅アナ、頭が硬すぎますよ。全然笑えません。

もう一人、そんな異様な雰囲気の中で出てきたデーブ・スペクターさんの発言もオアシスのようで、ホッとしました。
すごくいいポイントを突いているのになぜか三宅アナがスルーしたのか、編集でカットされたのかわかりませんが、すぐ別のどうでもいい話題に移ってしまいました…。

「ええい、ホワイトベースはいい! ガンダムを映せ、 ガンダムの戦いぶりを!」by テム・レイ

やはりテレビというメディアは見たいところを自分で選べないので非常に歯がゆいですね。

年金減額で熟年サバイバル 老後のゆとり生活とは? NHKスペシャル | 中高年から輝くために|人生を前向にするシニア情報サイトfrom4050
資金面ばかりのゆとりではなく、「本当の意味のゆとりとは何か」
ということを、論議してくれることをNHKさんに期待しています。
同感です。

2013年11月9日

「熟年サバイバル~年金減額時代を生きる~」の感想 その1

11月2日にこのようなタイトルの番組が放送されたそうです。うちはテレビがないので生で見ることができませんでしたが、幸い動画サイトに番組丸ごとアップされていたので見てみました。

う~ん、何なんでしょうね、この違和感…。
とても一言では表現できないので、こういうときはまずネット上の反応を見てみましょう。

最初に目に入ったのがmushoku2006さんのブログです。リアルタイムで視聴しながらの率直な感想が書かれていました。
NHKスペシャル シリーズ日本新生「熟年サバイバル~年金減額時代を生きる~」 : 年間生活費100万円! 36歳からのドケチリタイア日記
しかし、60歳を超えているのに、
多額の住宅ローンを抱えていて、
働かないとやっていけないと言っている人たち、
「アホじゃね?」
いかにも人生設計してなさすぎでしょうに。
同感です。
80歳までの住宅ローンを背負っているという64歳のゲストの方が強烈すぎて忘れられません。
45歳から35年ローンを組んだってことですよね~、何と無謀な。
子供がまだ大学生だの何だのと、金が必要な理由を切々と語っていましたが、晩婚のため子供が生まれたのが40代なら、それまでの20年間に十分な貯蓄ができていないとおかしい。仮に45歳で家を買うとしてもキャッシュで買える範囲にしないと…。

他にも住宅ローンで身動きが取れなくなっている人が二人いましたが、彼らは次の記事を100回読むべきだと思います。
10年以上のローンはだめです - Chikirinの日記
分相応に暮らしましょう。
これができていないのにサバイバルもクソもないでしょう。

この場面の直前、元大手就職情報会社常務の人(66歳)が清掃業務の職業訓練を受けているVTRも不可解でした。会社役員が定年退職したらそれなりの退職金が出るはずなのに、なぜか駐輪場管理のアルバイトで食いつないでいるとか。さらに66歳なら年金も3階部分まで満額支給のはず…。潤沢な退職金や年金が一体どこに消えてるのか何の説明もなく、働かなければならない理由がさっぱりわかりませんでした。

長くなってきたので記事を分けます。

2013年11月4日

Skypeクレジットの有効期限

固定電話を契約していない私が電話をかける必要があるとき、Skypeを使っているという話をこちらの記事で紹介しました。

そのSkypeクレジットについての要注意情報が書かれたブログがありました。
Nexus 5が日本でも発売されたけど | 年間120万円生活 -働きたくねぇ.com-
Skypeクレジットには有効期限があって、最後に使った時から180日経つと無効になるので注意。
はい、ここまでは知っています。
つまり無効になる直前に一度でもSkypeOutを使えば、そこからさらに有効期限が180日間延長される仕組みです。私はアメリカのTOLL FREE番号に発信して、Skypeクレジットを消費することなく有効期限を延長しています。

ところが…
と思ったら、今はこんな条件になってるのか。これならWebから買わずに、ファミリーマートのFamiポートでSkypeクーポン買った方がいいな。500円から買えるし。

Skype利用規約

日本にいるお客様がSkype WebサイトからSkypeクレジットを購入した場合は、この段落は適用されず、Skypeクレジットは購入日から6ヶ月後に失効します。 Skypeクレジットを失効日以後に使用することは許可されていません。
Skypeさん、これは酷い! なぜに「日本にいるお客様」限定の改悪??
ウェブでSkypeクレジットをチャージする場合、確か最低1500円かかるので、それを6ヶ月以内に使い切らないと失効してしまうという恐ろしい仕様になっています。一体いつの間にこんなことに…。
コンビニで買ったクレジットとウェブで買ったクレジットが混在している場合はどうなるのか、よくわかりませんね。

とにかく、ごく稀にしか有料通話の発信をしないユーザーは、Skypeクレジットをウェブでチャージすべきでないことを、ぜひ覚えておきましょう。

2013年10月24日

『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その5



『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その4の続きです。

 僕は国立大学の教官だったから、指導していた学生はみんな超エリートだった。子供のときにはクラスで一番だった人ばかり、田舎では神童と呼ばれた人たちだ。(中略)それでも、ある年齢になったときに、相談に来る人がいる。
中には、人生に疲れたのか、自殺してしまった人もいる。仕事が上手くいかなかったというわけでもない。ローンはあるけれど、お金に困っていたわけでもない。ただ、会社、子供、ローン、両親、いろいろなものに少しずつ縛られて、身動きできなくなっていた。気づいたら、自分の自由なんてどこにもなかった。ただただ、働いて、毎日が過ぎて、酒を飲んで、疲れて眠るだけ、その連続に堪えられなくなるらしい。
いわゆる勝ち組の見本みたいな人生に疲れてしまう人…。分かる気がします。
自分の自由がどこにもない状況には私も耐えられないと想像します。不自由への耐性は人によってけっこうばらつきがありそうなので、同じ状況でまったく平気な人もいくらでもいるでしょうけど。

不自由への耐性が低いにもかかわらず、その自覚なしに上記のような人生を歩んでしまったら、それはもう「若さ故の過ち」で済まされないほど不幸なことだと思います。資産運用時のリスク許容度と同じように、人生における不自由許容度も早めに自覚しておくべきでしょう。

 これとはまったく反対に、僕の教え子で優秀な学生だったけれど、会社に就職をしなかった奴がいる。彼は今、北海道で一人で牧場を経営している。結婚もしていないし、子供もいない。一人暮らしだそうだ。学生のときからバイクが大好きで、今でもバイクを何台も持っている。毎日それを乗り回しているという。「どうして、牧場なんだ?」と尋ねると、「いや、たまたまですよ」と答える。べつにその仕事が面白いとか、やりがいがあるという話はしない。ただ、会ったときに「毎日、どんなことをしているの?」と無理に聞き出せば、とにかくバイクの話になる。それを語る彼を見ていると、「ああ、この人は人生の楽しさを知っているな」とわかるのだ。男も40代になると、だいたい顔を見てそれがわかる。話をしたら、たちまち判明する。
顔ですか…。私が見ても分かる気がしませんけど、逆に周りの人に「いい顔してるね」みたいなことを言われたことなら何度かあります。なんか楽しそうに見えるらしいです。でもそれは、私がリタイアしてることを知っているからこそ出てきた言葉かもしれないわけで。

話したら(この人は楽しそうだなと)分かるのはその通りだと思います。それの何が楽しいのかまでは理解できなくても。

 僕は、毎日もの凄く楽しいことをしていて、僕のことをよく知っている人は、少しだけその内容も知っていると思うけど、友達と会ったときには、まったくそんな話はしない。近所の人にはもちろん話したことはないし、家族にも、自分の趣味の話はしない。見せることだってほとんどない。
話をしないから、これが「生きがい」とか「やりがい」だという認識もない。そんな言葉を使う必要もないし、使う機会もない。
本当に楽しいものは、人に話す必要なんてないのだ。
確かに。
趣味の話は同じ趣味を共有する人としかしませんよね。もしそれが一人でも楽しめる趣味なら、わざわざ誰かに話そうとは思わないですし。

ちなみに著者の「もの凄く楽しいこと」とは、森博嗣 - Wikipediaによると庭園鉄道や車のようです。お金持ちだけあって趣味もなかなか高級ですね。

 やはり、現代人が最も取り憑かれているものは、他人の目だろう。これは言葉どおり、他人が実際に見ているわけではない。ただ自分で、自分がどう見られているかを気にしすぎているだけだ。
全然気にしないというのは、やや問題かもしれないが、現代人は、この「仮想他者」「仮想周囲」のようなものを自分の中に作ってしまっていて、それに対して神経質になっている。そのために金を使い、高いものを着たり、人に自慢できることを無理にしようとする。
同感です。
その仮想他者って結局自分の内面を映し出す鏡なんですよね。もし自分のような他人がもう一人いたら、自分はその人をそのような目で見る人間だということです。自分で自分の目を気にするというのはとても奇妙な振る舞いだと思います。

大学の教員時代は弁当を食べ忘れて帰宅するなど、
それくらい仕事に没頭していた僕だけれど、一度も「仕事にやりがいを見つけた」なんて思わなかったし、(中略)ただ、楽しいからしていただけで、子どもの遊びと同じレベルである。子供って、遊びに「人生のやりがい」を見つけているのだろうか? 大人だけが、そんな変な言葉を持ち出して、自分の経験を歪曲しようとするのである。
そうですね。
逆に言えば、多くの大人は「やりがい」があると思わなければやってられないほど仕事が楽しくないのだと思います。私の会社員時代もそんな感じでしたが、つまらない仕事にやりがいを見出そうとしなかったのが幸いして、早期リタイアという自分の道が見つかりました。

 なんとなく、意味もわからず、「仕事にやりがいを見つける生き方は素晴らしい」という言葉を、多くの人たちが、理想や精神だと勘違いしている。それは、ほとんどどこかの企業のコマーシャルの文句にすぎない。そんな下らないものに取り憑かれていることに気づき、もっと崇高な精神を、自分に対して掲げてほしい。それは、「人間の価値はそんなことで決まるのではない」という、とても単純で常識的な原則である。
これが本書の肝でしょうね。とても共感できる言葉です。
逆にここを読んで「え?」と思った人ほど、本書を読んでみる価値があると思います。

参考記事: 
「やりがいのある仕事」という幻想 - 脱社畜ブログ
【読書感想】「やりがいのある仕事」という幻想 - 琥珀色の戯言
「やりがいのある仕事」という幻想(上) - 読書記録

2013年10月16日

『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その4



『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その3の続きです。

 不思議なものだ。僕は、べつに研究者になりたいとか、小説家になりたいと思ったのではない。目の前にあるもので、自分が金を稼げそうなことに手を出しただけである。
私が就職した時もそんな感じでしたね。今から振り返れば「何も考えてなかった」と言っていいレベルでした。大学でこれを専攻してたのだから、まあこのへんの会社にしとくか、ってな軽いノリです。ちきりんさんのブログにこんな記事がありましたけど、
20代で、一生分の「やりたいこと」を見極めるなんて無理です - Chikirinの日記:
残りの 8割近い人は、時代や環境(通ってた大学での風潮など)の影響を大きく受け、「きっと、このあたりの職に就けばいいんだろう」程度の感覚で就職しているんです。
まさにこの通り!
引用ついでに
ちきりんは、それを悪いという気は全くありません。むしろ私は、20代の若者に「お前は何をやりたいんだ?」などと聞く風潮は、まったくおかしい、というか、無駄であほらしい、とさえ思ってます。だってそんなタイミングで、そんなことがわかる人は多くないもん。わからないほうが普通なんです。
ここも全く同感ですね。
大学時代の自分は若く経験不足であることに加えて、今のような読書の習慣もなく、まだインターネットも無い時代だったので、今の自分と比べたら知識もとんでもなく乏しかったし、しかも無知をほとんど自覚していなかったというのが恐ろしい。そんな無知な若者が選んだ会社に10年以上も勤務できたのは幸運だったと言うほかありません。知識の量で言えば、今の自分ではなく今の若者と比べても余裕で負けていたと思いますね。この点ではデジタルネイティブ世代が羨ましいです。

少し話が逸れましたが本書に戻ります。
 情報化社会において人は、自分の思うとおりにならないのは、なんらかの情報を自分が「知らない」せいだ、と解釈してしまう。(中略)
検索できるものは、過去に存在した情報だけだ。知ることができるのも、既に存在している知見だけである。しかし、自分の問題を解決する方法は、自分で考え、模索し、新たに編み出さなければならないものなのである。
自分の生き方に関する問題は、どこかに解決策が書かれているはずがない。検索しても見つかるはずがない。どんなに同じような道に見えても、先輩の言葉が全面的に通用するわけでもない。自分で生きながら、見つけるしかないのである。
またまた身も蓋もない正論ではありますが、ちょっと「知る」という行為を軽視しすぎのような気もしますね。既に存在している知見だって大したもので、知っているか知らないかが人生を左右することもあるでしょう。何らかの情報を知らないよりも知っているほうが、最適な判断ができる可能性が高まります。

インターネットや本に接するのも、「解決策」そのものを探すのではなくて、考えるための材料になる情報を探すという姿勢で臨むのであれば、決して間違いではないと思います。

 たとえば、自殺しようと悩んでいる人に対しても、僕は助言ができない。僕は自殺をしたことがないから、それがどんなものなのか知らない。誰も知らないのである。ただ単に、自殺しなかった経験があるだけだ。自分はそれで良かったとしても、誰でも同じとは限らない。自殺した方が良いという場合もあるかもしれない。「自殺は絶対にいけない」と断言できる人間がいるとしたら、それは偽善者だ、と僕は思う。
ただ、感覚的に、自分の知っている人が自殺をすると、僕は嫌な気持ちになる。(中略)
だから、もし、そういう人が相談にきたら、「僕は嫌だ」と言うしかない。
温かい言葉をかけるよりも、物事に対して素直でありたいし、他者に正直でありたい。
ここはもの凄く共感しました。
以前、無への道程という記事を書いたときに感じていたモヤモヤした違和感の原因を、見事に説明してくれています。とてもスッキリしました。

(つづく?)

2013年10月10日

『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その3



『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その2の続きです。

Q 自由時間がありません
「旅行にスポーツ……、やりたいことは山ほどあるのですが、いかんせん時間がありません。無理なく時間を捻出する方法があれば是非教えてください」

不思議な質問だと思った。やりたいことがあったら、どうしてもうやっていないのだろうか。時間がない、という言い訳を考える暇があるなら、やれば良いと思う。(中略)
もし、時間がないからできない、と判断しているのが本当ならば、それは、そうまでしてやりたくないことだといえるから、一所懸命になってやる必要もないと思う。
あまりに突き放した回答になってしまったが、時間というものは本当に限られているから、自分の時間を大切にする姿勢はいつも持っていたい。何故、毎日何時間も電車に乗るのか。どうして、こんなに家族サービスに時間を取られるのか、などなど、当たり前だと思っていることを考え直すのも一つの方法かと。
「無理なく時間を捻出する方法」の回答にはまったくなっていないわけですが、一理あると思います。

たった一度きりの人生には、やりたいと思ったことをすべてやるだけの時間はない、という前提を受け入れることがすべての始まりです。その前提に立たなければ、自分が普段から無意識のうちに優先順位をつけて物事を取捨選択していることさえ気付かないでしょう。だからこんな不思議な質問が出てくるのだと思います。

Q 辞めるに辞められません
「会社を辞めたいけれど、辞められません。マンションのローンもあるし、家族もいるし……。(中略)
私の人生は私のものであるはずなのに、いろんな足枷がついてまわり、人生がちっとも楽しくありません」

少し遅い感じがする。マンションのローンがあるというが、ローンを組むときには、目先の楽しさに目を奪われ、自分に足枷をかけたわけだ。(中略)
少なくとも、自分の人生は何なのか、と考えられるだけでも優位だし、まだまだ望みはあると思う。
大事なことは、今の自分の状況は、全部自分が仕込んだ結果だということである。
ここは完全に同意。
ローンや家族を背負うという選択をしたのは紛れも無く本人の意志です。今になってそれを後悔しているのなら、若さ故の過ちだったということ。過去は変えられないので、同じ過ちを繰り返さないように未来に向かってより良い選択をするしかないでしょう。

こんな突き放したようなことをあっさり書いてしまうから、「難しい人間だ」とか「冷たい人間だ」と思われているようだ。
「難しい」というのは、よくわからない。わかりやすく書いているつもりだからだ。上手ばかり言って、飾った言葉で褒めそやして、そのくせ本当のことをなかなか正直に語らない人が多い。そういう人の方が僕は「難しい」と思う。
それから、「冷たい」というのは、まあ、そのとおりかもしれない。どうしてかというと、温かいことに興味がないからだ。温かい言葉とか、温かい態度とか、そういうものがはっきりいって嫌いである。面倒くさいと思う。「ぬくもり」なんて言葉も胡散臭い。
同感です。
どうせ時間を費やして読むなら、著者のようにわかりやすい言葉でストレートに書かれている本やブログの方がいいと思います。言葉が柔らかいだけで結局何が言いたいのかわからないものは読みたくありません。書いてあることが温かいか冷たいかという基準で良し悪しを判断すべきではないと思います。

(つづく)

2013年10月4日

『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その2



『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その1の続きです。

 この不況の世の中になると、仕事がないことを商売のネタにする業種が増えてくる。どういうものかというと、割の良い仕事を斡旋するとか、こんな儲かる仕事があるから教材を買ってみないか、といった類である。多少良心的なものになると、資格を取らせるとか、あるいは研修会などを開催しようとする。
商売というのは、破格に儲かるものと儲からないものがあるように見えるが、それは一時的なアンバランスにすぎない。儲かるものには人が集まって、やがてそれほど儲からなくなる。もうこの商売では儲からないとわかると、今まで儲かっていたことを宣伝して、その商売自体を売ろうと考える。本当に儲かる商売ならば、ノウハウを公開したり、人を集めて指導したりしない。教えないこと、知られないことが、儲かる状態を続ける最善の策だからだ。したがって、この種の宣伝に踊らされないように気をつけた方が良いだろう。
既に流行っているもの、広く人気があるものは、これからそこでビジネスをしてはいけないサインといえる。簡単な原則である。
ここを読んでいて真っ先に思い浮かんだ商売が、アフィリエイトです。
確かに黎明期にはおそろしく儲かったのかもしれませんが、パソコンとインターネットさえあれば誰でもノーリスクで参入できる商売ですから、そんな美味しい状態が長続きする筈がありません。かくして怪しい情報商材やらSEOのテクニックとやらが世の中に出回ることになるわけです。お金を払ってそんなものを求めてしまう人は、かつてゴールドラッシュで大枚はたいて道具を買い求めた人たちと何も変わりません。

この大原則は商売に限らず、日常生活にも応用できます。原則を正しく理解している人はちょっとした心がけで生活が豊かになりますが、何も考えずに需要過多の時期にモノやサービスを買う人は損ばかりします。たとえば土用の丑の日にうなぎを買う、GW、盆、年末年始などの繁忙期に旅行をする、世界遺産登録のせいで人が殺到している富士山に登るなど。

人生の選択というのは、どちらが正しい、どちらが間違いという解答はない。同じことを同条件で繰り返すことができないからだ。(中略)
したがって、どちらが正しいでしょうか、という質問に対しては、どちらでも正しいと思える人間になると良い、というのが多少は前向きな回答になる。
どちらが正しいでしょうか?などという質問自体が愚問なので本来回答できないところを、お見事な言葉で切り返していますね。
進学、就職、結婚、出産など、人生には様々な分かれ道があって、あのとき選ばなかった方の道を選んでいたらどうなっていただろう…、と考えてしまうこともあるでしょう。その際、この言葉を思い出せば少しは気が楽になるのではないでしょうか。

誰でも、自分が望むとおりの人生を送っている。愚痴を言ったり、不満があると思い込んでいるだけで、基本的に、いつも自分が「望ましい」と選択した道を進んでいるのである。
言いたいことは何となくわかりますが、ちょっと違うと思います。
「自分が望むとおりの人生」と表現してしまうと、文句のつけようがないベストな人生のように聞こえますが、現実にそんな人生を送っている人はほとんどいないでしょう。

正しく表現するなら、「自分がベターだと思う選択を積み重ねてきた人生」といったところでしょうか。
実際に人生において現れるのは、これだ!というベストな選択肢ではなく、ベストではないけれどベターな(マシな)方を選択しなければならない状況であることが多いので、常にベターな方を選び続けたとしても、何の不満も存在しないということはあり得ないと思います。確かに不満はあるけれども、それは過去の選択のせいで存在するわけではないし、解消のしようもないので、諦めて受け入れるしかないということではないでしょうか。

(つづく)

2013年10月1日

『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣 (著) その1



森博嗣さんの本を読んだのは『自由をつくる自在に生きる』以来2冊目になります。
僕は、最近ほとんど仕事をしていない。大学は47歳で辞めた。作家の方は、1日1時間だけしか仕事をしない。あとは、ほとんど遊んでいる。毎日が楽しいから、そのとおり、「楽しい」と書いたりする。
理想的なセミリタイア生活に見えますね。
ちなみに小説家の仕事は「とんでもなく」儲かったそうで、
国家公務員の30倍くらいの年収が10年以上も続いた。
ざっと年収2億x10年で20億ってとこですか。
これだけ稼いだら、蓄えた資産額も我々庶民とは比較にならないレベルに達していることでしょう。毎日遊んで暮らすことを決断するのに何の躊躇も要りません。真の経済的自由を手に入れたリタイア生活、羨ましくないと言えば嘘になります。

さらに凄いと思ったのが、
僕は小説を書くことが今でも好きではない。でも、もしかしたら向いているのかな、という感じは少ししている。
「好きな事を仕事に」と言う人をよく見かけますが、好きではない仕事で20億稼いだ人がいると知ったら彼らはどう思うのでしょうか。

彼が書いた小説がそれだけの収入を生み出したということは、「少し」どころではなく小説家に向いていたのだと思います。好きな仕事よりも向いている仕事で効率よく稼ぐ方がリタイアへの近道だった、という一つの例を示してくれています。

僕の仕事に対する第一原理というのは、これまでに幾度も書いているが、つまり、「人は働くために生きているのではない」ということだ。
人は働くために生まれてきたのではない。どちらかというと、働かない方が良い状態だ。働かない方が楽しいし、疲れないし、健康的だ。あらゆる面において、働かない方が人間的だといえる。ただ、一点だけ、お金が稼げないという問題があるだけである。
ここは色々なブログで引用されているだけのことはあって、なかなかの名言です。
ここだけ読むと仕事大好き人間が噛み付いてくるかもしれないので、次の部分も追加しておきましょう。
したがって、もし一生食うに困らない金が既にあるならば、働く必要などない。もちろん、働いても良い。それは趣味と同じだ。働くことが楽しいと思う人は働けば良い。それだけの話である。そんなことは当たり前だろう。
これが当たり前と思わない人たちとは、一生分かり合えないような気がします。

(つづく)

2013年9月29日

消費せず働きもしない未来を歩む遊民の独白

私のtwitterで最近頻繁にブックマークしているブログの一つです。
消費せず働きもしない未来を歩む遊民の独白

「遊民の独白」というタイトルを見たときはもう一人の遊民さん登場か!と思ったりしましたが、著者は40代会社員の「消費しないピノキオ」さんです。
自己紹介 :
勤続20年の技術系の会社員
日々の仕事に明け暮れつつも
リタイアメントを意識しつつ
新たな人生の展開を望んでいる
会社を目指して毎日通勤すること
苦痛で時間と労力の無駄だ
在宅勤務が可能な基盤は
すぐ簡単に構築できるのに
テクノロジーの進歩に
人の意識が追いついていない
相も変わらず数十年続いた
伝統の延長線上で事が運んでいく
実につまらない世の中だ
私が会社員時代に感じていたこととよく似ています。
技術的には十分可能な在宅勤務の実現が、古臭い固定観念や労働法によって妨げられているのは一つの典型例で、それ以外にも会社にはわけのわからない規則が山ほどありますね。会社勤めの長い人なら、もっと自由にやらせてくれよと思うことがしばしばあるのではないでしょうか。

仕事そのものがつまらないということだけでなく、仕事の環境が不合理、不自由であるという現実もまた、私がリタイアを決断する大きな動機の一つだったことは間違いありません。

2013年8月19日

相互リンクについて再び

レバレッジ投資実践日記のレバレッジ君さんからコメントを頂きました。ありがとうございます。
よろしければ、弊ブログ「レバレッジ投資実践日記」と相互リンクお願いできないでしょうか。

なお、当方ではリンク済です。
私も時々拝見しています。
たいへん申し訳ないのですが、当ブログでは双方の合意に基づく相互リンクの手続きは採用しておりません。詳細は3年前の記事に書いた通りです。
相互リンクについて

久しぶりに相互リンク - Wikipediaを見たら、3年前よりも随分シンプルな記述に変わっていて驚きました。

2013年8月10日

K-RON! 早期リタイアーのゆるゆる投資日記

節制系リタイアリンク集に追加~タイでゆるゆる~ - 一日不作一日不食
で紹介されていた、早期リタイア実践組ブログです。

K-RON! 早期リタイアーのゆるゆる投資日記

まだまだ全部は読みきれていませんが、更新頻度が高いので最新記事を追っているだけで面白いですし、→のツイッターで頻繁にブックマークしているように、とても共感できる内容が多いです。これほど「打てば響く」感覚になるブログには今まで出会ったことがありません。

それもそのはず、
K-RON! 早期リタイアーのゆるゆる投資日記 はじめに
2011年末に約10数年勤務した会社を退職し、早期リタイア生活に入った。早期リタイアを考えてから5年後に下した決断だった。使い切れないほどの莫大な金融資産があるわけでもなく、少し気が緩んで無駄遣いしてしまえば、あっという間になくなってしまうような「うまくやりくりすれば普通に暮らせる」レベルの金額からのスタートだった。
管理人のKotaroさんは私ととても良く似た年齢、状況でリタイアを決断、実行されたようです。
まあ私の場合は、リタイア当初は資産にそこそこ余裕があったんですけどね。そこは微妙に違いますが、2008年の暴落で資産を減らしたあとは同じようなものだと思います。

先ほどKotaroさんから当ブログにコメントを頂きました。ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。

2013年8月3日

『40歳からのリアル』 人生戦略会議 (著)



人生戦略会議さんの著書を読んだのは、『35歳からのお金のリアル』以来2冊目です。
前作同様、ブログネタ的には美味しい内容を含んではいるものの、共感できるところはほとんどありません。正直、読んでいてつまらなくなったので途中からは斜め読みでした。

たとえば序盤の40歳定年制の話のところでは、
40歳でいったん定年退職してリスタートし、60歳で2度目の定年退職をして75歳まで働けば、人生を3度、楽しめることになるわけです。
などということが、さらりと書かれています。
そんな死ぬ直前の年齢まで働くことや、働きながら死んでいくことが人生の楽しみであり、それが可能であれば誰もがそうするものだという暗黙の前提に立っているように思われます。この時点でもう違和感ありまくりです。

「いままで通りの暮らし方」を変えよう
では、どうすれば中流崩壊の社会を生き抜くことができるのでしょうか。
(中略)
「ウチは中流なんだ」という意識が、家を買い、車を買い、子どもを名門校に進学させて、悠々自適な老後を送るという人生計画につながるからです。
(中略)
個人がいまやるべきことは、環境に文句を言うことでもまわりに期待することでもなく、変化に柔軟に対応できるように暮らし方を変えることだけです。
悪くないポイントを突いていると思います。
生き残るためにどのくらい変われるか。
それがいま40歳のみなさんに問われているのです。
でも、ここで指摘されているような暮らし方を変えるには、40代になってからでは遅すぎるでしょう。その意味で本書は、中流意識を捨て切れなかった現在の40代を反面教師にして、現在の20代30代が生き方を考えるための本じゃないでしょうか。

たしかに、現状を見れば年金だけでは暮らしていくことは非常に困難です。データで見ても、60歳以上で無職の夫婦世帯では、22万円弱の収入に対して、27万円の支出があり、毎月5万円の赤字が出ています。この数字をベースに65歳から80歳まで15年間生活していくと想定すると、赤字額は約1000万円になります。
こういう話は老後不安を煽る商売の人たちが流布しているので見聞きすることが多いと思いますが、以前からなんとも言えない違和感がありました。
考えるまでもなく、仕事をリタイアしたあとの収支が赤字になるのはむしろ当たり前じゃないですか?
関連記事:
前回の記事 とよく似たことが書かれている記事がありました。 誠 Biz.ID:結果を出して定時に帰る時短仕事術:人生の前半では時間を売り、後半では時間を買う : 年を重ねてアルバイトをやったり、就職して会社に入ると、少しずつ自分が管理できるお金が増えていきます。結婚や家を買う、子...
yumin4.blogspot.jp


死ぬ直前まで収支が黒字あるいはプラマイゼロだったら、積み上げた資産がそのまま残ってしまいます。貯めたものは少しずつ使っていくという至極当然の消費行動をとっているだけで、むしろ毎月の赤字額が大きい世帯ほど資産の余裕が大きいと見るべきでしょう。実際、私の親やその兄弟たちの世代を見ていると、お金の心配よりも人生の残り時間の心配をしたほうがいい人が多く、彼らの収支は毎月かなりの赤字になっていると思われます。

つまりこのデータからわかるのは、現在の年金世代の人たちは平均毎月5万円ずつ取崩せるだけの余裕資産を持っている、という話にすぎないのであって、「年金だけで暮らしていくことは非常に困難」などという結論を導く根拠にはなりません。ましてや、このような数字を根拠に「65歳の時点で必要な貯蓄額は1000万円」と言う人がいたら信用しないほうがいいでしょう。

2013年7月5日

Google ReaderからFeedlyへ

Google Readerのサービスが7月1日をもって廃止されました。

使い慣れたサービスだったのでギリギリまで使い続けてましたが、廃止直前にFeedlyへの移行を済ませました。2クリックであっけなく完了。
さようならGoogle Reader。今までありがとう!

Feedlyの使い勝手は今のところ悪くなさそうです。基本、Google Readerによく似た作りになっています。ただ、UIが英語なので最初は戸惑う人もいるかもしれません。

とりあえず気付いた相違点をメモ。
・既読の記事は非表示になるのがデフォルト。既読の記事も表示するには、設定メニューから「Unread Only」のチェックを外す。
・Google Readerのスターに相当するマークは、「Saved For Later」。過去に付けたスターも、すべて正しくインポートされているようです。

2013年7月1日

未来の働き方アンケート - Chikirinの日記

面白そうなアンケートだなと思って私も回答したのですが、こんな結果が出たようです。

リタイア組としてはやっぱりここに注目してしまいます。
未来の働き方アンケート (001) 結果サマリー 2/2 - Chikirinの日記
あと、補足で計算してみましたが、
・40代以上で、

・10年以上フルタイムで働いた経験があり、

・今はフルタイムでなく、もうフルタイムには戻らないという

・世帯主

つまり、すでに第二の人生を始めたと思われる人は、270人いました。これは同世代の人の 4.7%にあたります。

ちきりんブログの読者に限って言えば、21人にひとりは、すでにそういう生活に入っているんですね。感慨深いです。
その270人のうちのひとりとしては、このうち何人が40代なのかが気になります。

未来の働き方アンケート (001) 結果サマリー 1/2 - Chikirinの日記によると、40代の回答者数は
7011*23.8%=1669人らしいので、そのうちの4.7%なら78人?
あれ? じゃあ50代以上が192人? なわけないので計算が合わないですね。

全回答者7011人の31%にあたる2173人が40代以上なのだから、270人はそのうちの12.4%にあたるのではないかと。

2013年6月14日

『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』 四角大輔 (著)



20代の若者向けのタイトルですが、40代の私にも十分共感できる内容でした。

人生はルールのない旅。
安心感が欲しくて、あえて重い荷物を持つのか。
自由を感じたくて、荷物を減らしていくのか。
人によって楽しみ方はそれぞれだと思う。
僕は減らす方を選んだ。それも長い時間をかけて。
旅好きな人ならよくわかると思いますが、旅と人生は本当によく似ています。

旅に出るとき、旅の道中や旅先で困らないようにと色んな物を準備すればするほど、荷物がどんどん多く、重くなっていきます。単純な話、荷物が重いと移動が大変です。

旅も人生も、不便や不安が多少増えたとしても、できるだけ身軽な方がいいと私も思います。

ぼくが今自分にとって
心から満足のいくライフスタイルを送ることができているのは、
とにかくモノをストイックに捨て、
身の回りを徹底的にミニマムにしたこと。
若い人でまだ持っている物が少ない人は、まずは余計な物を買わないことが一番大事だと思いますが、歳と共に物を増やしてきた人は、余計な物を捨てることも重要ですね。
それを墓場まで持っていきたいかどうかを自問自答しながら。
この基準で考えると、ほとんどの物が要らないことになりそうですが…。
あまりストイックになりすぎず、もう少し緩めの基準でもいいかなと。

”ストック”という概念を捨てる。
使いたいその瞬間に、手元に無い。
そう言うと不便な暮らし方に思えるかもしれない。
たしかに買い置きをやめれば、使いたいときにその都度手に入れないといけないし、安いときにまとめ買いしておかないと高くつくという考え方もあるだろう。
ええ、必要に迫られてから慌てて買いに走るというのは、消費者としてかなり間抜けな行動に見えます。やはり生活必需品などは、最低限のストックが必要だと思いますね。


”生活レベルの向上”という発想を捨てる。
社会人になって、好きに使えるお金が増えると、多くの人が生活レベルを上げてしまう。
(中略)
お金から自由になるために、”ミニマム・ライフコスト”という発想を持とう。
一年間生活する上で、最低限必要なランニングコストはいくらか。
(中略)
勝負の時は、いつ目の前にやってくるかわからない。
そのときのために、どれだけ”ミニマム・ライフコスト”を下げられるかが重要だ。
「どうなっても、生きていける」ことを確信した瞬間、人はお金から自由になれる。
概ね同意します。
かけたコストに比例して生活レベルが自動的に上がり、誰でも幸福になれた時代はもう終わったのではないでしょうか。
だとすれば、先日の金子さんの本にも出てきたように「ランニングコスト」を低く保つほうが幸福への近道かもしれません。「勝負の時」に備えるとか備えないとかは関係なく。

一つ付け加えるならば、生活レベル≠生活コストなので、生活コストを低く抑えたまま、生活レベルを上げることも可能で、そのために知恵を絞るのも面白いと思います。

朝の生産性が高いのは、人類が狩猟生活をしていた頃からの変わらぬ事実だ。
異議あり。
会社員時代から朝は苦手で、午後にならないと生産性が上がらないタイプの人も大勢いました。

正午になったからランチ、夜7時になったから晩飯、ではなく本来は「減ったから食べる」が正しい。
同感です。
現代人は食べ過ぎによって健康を害しているという見方には首肯せざるを得ません。

荷物は軽い方がいい。これは絶対だ。
「持っている安心」よりも、「ほとんど手ぶら」で味わう自由さを。
ここは人生ではなく、旅や山歩きの場合の話ですけど、同意します。荷物の重さ次第で疲れ方が全然違います。

会社をやめたいと思ったら、まず余計な付き合いや買い物をすべてやめよう。
生活レベルを下げて、どこまでミニマムライフコストを下げられるかを実験しよう。
15年間仕事をがんばって、それなりに給料も上がった。
けれど、生活水準はまったく変えなかった。
まわりにはピカピカの高級車にのっていた人もいたけど、ぼくは一台のボロボロのワンボックスカーに雨漏りするまで13年間乗り続けた。
(中略)
なぜか。
「ニュージーランドの湖畔で暮らしたいから」
著者は仕事をリタイアすることが目標ではなく、現在も自由なスタイルの仕事をバリバリやっている方のようですけど、目標達成までの道筋は早期リタイア志向の場合ととても良く似ていて、参考になるところが多いと感じました。

2013年6月7日

『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』 金子 哲雄 (著)



昨年10月に肺カルチノイドで亡くなった金子哲雄さんが、人生最後の1か月に書き上げた本です。
いや、書いたのは彼だけではありません。奥さんの金子稚子(わかこ)さんがページ数多めの「あとがき」を書いているので、お二人の共著だと思います。

この「あとがき」が私の泣きのツボに入り、涙が止まらなくなりました。二人が別れの時を悟り、最後に交わした言葉が余りにも切なくて…。歳をとると涙もろくなるものですね。

大学時代の就職活動の話。
私は同じエリアにある会社の面接日を、できるだけ同じ日に集中させたのだ。
(中略)
当時はバブル崩壊後だったが、それでも会社の面接に赴くと、1000円程度の交通費が支給された。多いところだと2000円!
同じエリアでまとめて面接を受けているので、交通費が浮く。1日平均5000円の収入になった。
私は彼より数年早く就職したバブル世代の端くれですが、売り手市場なのをいいことに同じような手口(笑)を使って荒稼ぎしたことを思い出します。東京~大阪間の新幹線代とかも普通に出た時代です。接待ランチも当たり前でした。
インターネットも携帯電話もない時代でしたが、バブル世代に生まれたというだけで就職がベリーイージーモードだったのは本当にラッキーでした。

奥さんと出会ったときの話。
「一緒に生活したら、ランニングコストが低そうだな」
と思っていた。月20万かからないだろう、という具体的な数字も頭に浮かんだ。
さすが金子さん、目の付け所が違いますね。
「ランニングコスト」というのは馬鹿にならない問題で、私の知り合いでランニングコストが高い女性と結婚した人は、みんな不幸になっている。
どんな奥さんと結婚するかで人生は変わる。それは真理だと思う。
いろいろ悪い見本も見てきた上で辿り着いた一つの結論なんでしょうね。

でも、私には仕事がすべてなのだ。生きがいなのだ。仕事をすべて降板し、治療に専念したら、自分が自分でなくなってしまう気がした。
結果的に、41歳でのリタイアかもしれないけど、倒れるまで仕事をした。いや、倒れてからも仕事をしている。
余命宣告されても仕事を辞めないなんて、自分なら絶対に選ばない対極的な生き方ですけど、ここまで仕事がすべてと割り切っている人を見ると逆に清々しく感じます。

経験して初めてわかることがある。
もし皆さんの周りにがん患者がいたら、
「好きにしたらいいよ」
と温かく声をかけてほしい。
「がんばれ」
という言葉もつらい。
たいへん参考になります。よく覚えておきたいと思います。

賢い選択、賢い消費をすることが、人生を豊かにする。
名言だと思います。

あと1年半の命のところ、苦しい治療を受ければ3か月延びるということなら、1年半のままで終わっていい。
最後までこうしてやりたいことをやり、妻とふたり、長いことおしゃべりして死んでいけるのがいい。
寿命が3か月延びる治療で苦しませるのは、本人のためになるのだろうか。家族が精一杯のことをやったと思えるだけのために、0.01%もない奇跡のために、国の医療費を無駄遣いするのは、自分の本意じゃない。
同意します。
重要なのは、生きた時間の長さじゃないです。クオリティー・オブ・ライフです。

正直、自殺したい。
でも、もう、それもできない。
体がまったく動かない。
正直に言うと、今すぐ死にたい。この苦しみから解放されたい。誰かが死なせてくれるなら、喜んで死ぬという気持ちにもなる。
こんな気持ちになってしまうほど、病気の苦しみは過酷だったのですね…。
分かる気がします。

自分は最後まで、自分に正直に生きてきた。濃い人生だった。そのことを、誇りに思う。
私も最期にこう思えるような人生にしたいです。仕事観こそ対極的ですが、人生観は似ていると感じました。

参考記事:
【読書感想】僕の死に方 エンディングダイアリー500日 - 琥珀色の戯言
マエダが語る! 「自分史」 いのちと向き合った自分史―『僕の死に方』
吉村ゴンゾウあわー 僕の死に方 金子哲雄

2013年6月4日

「45歳アーリーリタイアメント 勝ち組?負け組?」

以前からウォッチしていたブログ「45歳アーリーリタイアメント 勝ち組?負け組?」のtoshixrさんが、計画通り45歳で早期リタイアを達成されたようです。
アーリーリタイヤメント突入!!: 45歳アーリーリタイアメント 勝ち組?負け組?
書類上の退職日は少々先になりますが、先週、最終出社日を迎え、実質的にリタイヤ生活に突入しました。
アーリーリタイヤメントを実現するため、ブログを立ち上げ今回が100回目の投稿で目標達成となりました。。
おめでとうございます!

今まで早期リタイア後に開設されたブログ、将来の早期リタイアを目指すブログは数多く見て来ましたが、こうしてリタイアする瞬間に立ち会えた(?)のは希少な事例ですね。年代も私と同じなので親近感が湧きます。

気になる資金計画は、非常に具体性があって参考になります。
リタイア後をシミュレートする(いくらで生活するか?): 45歳アーリーリタイアメント 勝ち組?負け組?
150,000円/月、年間1,800,000円
これを生活費の目安としたいと思います。

リタイア後をシミュレートする(いくらあれば足りるか?): 45歳アーリーリタイアメント 勝ち組?負け組?
私は総資産5000万円でリタイアに入るつもりです。

当ブログの独自基準に当てはめてみると、
年齢+ACR=45+5000/180=72.8 <平均寿命
となり、少し足りないような気もしますが、配当収入、家賃収入、年金収入などを当てにする計画のようなので、この基準をそのまま適用するのは無理がありそうです。

コストのほうで気になったのは
これに税金、保険、年金をプラスすれば必要額となります。リタイア後は収入はほとんど無し、年金免除も予定しておりますので、30,000円/月で足りると考えます。
税金って自動車税ぐらいですよね。それと保険だけで月3万も必要かな?と思いました。

来年途中までは住民税や健康保険の支払いが嵩みますけど、そこを乗り越えたら激安になるはずです。
関連記事: 国民健康保険料が安い

2013年6月3日

ブログ開設5周年

当ブログ5歳の誕生日を迎えました。

5年間の総PVは65万。
2年前は36.5万PVだったので、2年間で28.5万PV増えました。3年目よりはややペースが落ちていますが、2年間で41本しか記事を書いていないのでこんなものでしょう。

2年前のコピペになりますが、たくさんの訪問と、コメントやトラックバック、拍手をいただいた皆様、ありがとうございました。

最近、節制系早期リタイアリンク集 - 一日不作一日不食を拝見して驚いたのが、新規ブログの数です。既に古くからお馴染みのブログ、最近知ったばかりのブログもありますが、私にとって未知のブログも多く含まれています。

こうして興味の対象となるコンテンツがインターネット上に増え続ける様子を見ていると、2年前に書いた次の言葉がよみがえります。
現在は図書館だけでなくインターネットにもほぼ無料で無限に近いコンテンツがあり、時間がいくらあっても消費し尽くすことはできません。今の時代に、このようなコンテンツに興味がもてる人であれば、リタイア生活で自由な時間を持て余すことなどあり得ないだろう、というのがリタイア生活4年経験者の率直な感想です。

このような時代には逆に、知りたいことをすべて知り、やりたいことをすべて経験するには人生は短すぎる、という人生の有限感を、より早い時期に体感することになるはずです。


ただ、こうしてリタイア系ブログの数が増えていくにつれて、一つ一つのブログの希少価値が薄れていくのは仕方がないところですね。今後も次々と新しいブログが誕生してくるかと思いますが、当ブログは知る人ぞ知る古株のリタイアブログとして、さらに5年、10年、20年と、細く長く続けていければと思っています。

2013年5月29日

通信サービス利用状況(2013年5月現在)

・インターネット
節約系リタイア生活には欠くことのできない最重要サービスです。高速で快適なインターネットサービスにはそれなりのコストがかかっても良いと思いますが、同じ品質ならできるだけ安いものを選びたいところです。
プロバイダ比較 | 光ファイバー・ADSL - 価格.com
で検索すると、高額キャッシュバック付きのブロードバンドサービスが山のように出てきます。現在の相場は、高額キャッシュバックを加味した実質費用で月額2000円以下は当たり前になっています(マンションタイプの場合)。昔の相場しか知らないとけっこう驚きます。
「2年間ご利用時点」の実質費用を比較して、利用可能な回線の中で最も安いものに乗り換えました。

・固定電話
長い間、インターネット・プロバイダーが提供するIP電話サービスの基本料が月300円ほどかかっていましたが、利用頻度が極めて低いため、乗り換え先のプロバイダーでは電話サービスを契約しませんでした。
その代わりに、次のサービスを利用して新たに050電話番号を取得しました。
スマートフォンの通話料をトコトン安くする | FUSION IP-Phone SMART βサービス
このサービスは、通話料がやや高いのと引き換えに基本料無料なのがポイントです。発信しなければコストはまったくかかりません。
スマートフォン向けのサービスですが、タブレット端末でも使えます。タブレット端末が宅内の無線LAN経由でインターネットに常時接続されているので、SIPフォンアプリを起動しておけば050番号を持つ固定電話機となります。もちろん、外出先でもモバイルルーター等のネット接続さえあれば、タブレット端末で電話の発着信が可能です。

たまに発信する必要があるときは、通話料の安いスカイプを使います。先日、かれこれ7~8年前に初めてチャージした10ユーロのスカイプクレジットの残高が200円を切ったので、初めてコンビニで500円分購入してチャージしました。
購入方法|Skype(スカイプ)のダウンロード、設定方法、使い方ならSkypeナビ

この方法で問題があるとすれば、フリーダイヤルへ発信する手段がないことです。携帯電話からの着信を拒否するフリーダイヤルの場合は、仕方なく近所の公衆電話を使っています。

タブレット端末はNexus7が良いと思います。Google贔屓なので。



・携帯電話
2年前にソフトバンクからauにMNPしました。
当時の条件は一括0円で25000円分のキャッシュバック(正確には商品券)付きでした。昔のソフトバンクのスパボ一括のような月月割は付かないものの、有料通話さえしなければ毎月762円しかかからないので、乗り換え費用+2年分の維持費はキャッシュバックで賄える計算になります。
もうすぐ2年縛りが切れるので、再びMNPすることになるでしょう。
参考記事:2年ごとにMNPで携帯キャリア変更がベスト - The Goal

「MNPするとメールアドレスが変わるので不便」というよくある意見に対しては、この機会に「携帯キャリアのメールアドレスは捨てる」という思い切った発想の転換が欲しいところです。
今は電話番号だけでSMSをやり取りできるのだし、メールアドレスが必要ならGmailを使えばいいでしょう。特定のキャリアに依存したメールアドレスを使い続けるのは、移動の自由を自ら放棄して日本という国と運命を共にする生き方と似ていると思います。

2013年5月21日

クレジットカード利用状況(2013年5月現在)

クレジットカードについて書いたのは、3年前のこの記事
P-oneブルーカード
が最後だったと思いますので、近況アップデートを。

最近、親戚が現金で払うつもりだった高額の買い物を、カードで立替払いするかどうか判断する際に調べたところ、
1%オフ適用は月15万円まで
という改悪はいつの間にか撤廃されていたようです。
参考記事: P-oneカード ブルー|クレジットカード選びの決定版
もちろん、全額を立替払いさせてもらい、1%オフの利益を美味しく享受したことは言うまでもありません。

ますます使いやすくなったP-oneブルーカード1枚あればほとんどの状況で用が足りるのですが、例外的に次の2つの場面では他のカードを使っています。

(1)税金の支払い
年4回の固定資産税、年1回の自動車税、軽自動車税などは直接クレジットカード払いができませんので、nanacoとファミマTカードを使った間接的なクレジットカード払いをしています。
参考記事: nanaco(ナナコ)で公共料金や税金を支払うときに気をつけること - 書庫のある家@i-cube
もちろん、nanacoは8のつく日に無料で入手したことは言うまでもありません。

(2)ダイエーでの買い物
最寄りの大型スーパー、ダイエーでは毎週日曜日はOMC優待デーです。OMCカードで買い物をすると5%オフになります。
以前はそれ専用に年会費無料のOMC郵貯カードを持っていましたが、有効期限の到来をもって廃止されました。
OMCゆうちょカード会員の皆様へのご案内

そこで、代わりになる年会費無料のカード
セディナカード Jiyu!da! | クレジットカードを選ぶなら、セディナ(Cedyna)
を使うことにしました。
基本リボ払い用のカードで、毎月の支払額を自由に決められることが名前の由来のようです。本来は支払額を減らす方向の自由度を売りにしているのでしょうが、その自由度を逆方向に利用してもいいわけです。十分大きな支払額、または全額払いに設定しておけば、一回払いと同じになり、手数料は一切かかりません。
従来のOMCカードと比べて、レジで支払い回数を聞かれることがなくなり、かえって便利になった気がします。


あとP-oneカード関係で言えば、ETCカードも年会費無料ということでついでに作っておいたのですが、いつの間にか更新手数料がかかるようになってます。
重要なお知らせ | ポケットカード株式会社
・有効期限更新発行手数料 : 【改定前】 無料→【改定後】 1,050円(税込)
有効期限が切れるまでにはETCカードを解約すること。と未来の自分用にメモ。

2013年4月26日

一日不作一日不食

久しぶりにアクセスランキングの管理ページを見たところ、新規サイトがいくつかランクインしていました。

その一つがこちらのブログです。
一日不作一日不食
管理人の成為さんは45歳でのセミリタイアを目指しているようです。「人生の折り返し地点に差しかかった」とのプロフィールから推察するに、年齢は30代後半ぐらいでしょうか?

早期リタイアに必要な資金(1) - 一日不作一日不食
こちらの記事では、4つのシナリオ別に資金計画のシミュレーションをされています。当ブログで勝手に考案したACRが指標として使われているのは何だか嬉しいですね。

・リタイア時の生活費は年間205万円
という前提は、今まで見てきた節約系リタイアブログと比べるとやや多すぎるようにも思われますが、同程度の生活レベルの人にとっては、より現実的で希少価値のあるシミュレーションに見えるのではないでしょうか。

ブログ開設からまだ1か月しか経っていないのに、内容は充実していますね。いろんな記事を拝読しては拍手ボタンを押しまくったのですが、「拍手に失敗しました。拍手を受け付けておりません」と出ます。いまだにどの記事を見ても拍手数が0のままなのは、これが原因じゃないですかね。

セミリタイア達成まで、いや、達成後も、末永くウォッチしていきたいと思います。

2013年4月25日

2012年末までの資産残高推移

当ブログの肝心かなめとも言える資産残高推移について、最後に書いたのはいつだったか調べてみたところ、なんと3年前にまで遡ります。
2010年第1四半期の資産残高推移

四半期単位での集計はこの時が最後で、それ以降は年末のみ資産残高を集計してきましたが、ブログには何も書いていないようです。

今更感が拭えませんが、生存証明も兼ねて記録を残しておきます。
2010年: -4.7%  年齢+ACR=77
2011年: -13.7%  年齢+ACR=76
2012年: +19.2%  年齢+ACR=89

こんな感じで推移しています。
昨年の+19.2%という数字は、リタイア後6年間で最大値です。ちなみに最小値は2008年の-37.4%。

ACRって何ぞや? と思った方はこちらの記事を御覧ください。
読者の方から次のような質問のメールをいただきました。 遊民さんは、何歳で、幾らの資産を持って早期リタイアを成し遂げたのですか?また月々の生活費の内訳や一日のタイムスケジュール等、可能でしたら今後の参考にしたいと思いますので、ご教授の程よろしくお願いします。 おそらく他の読者の方も...
yumin4.blogspot.jp
3年以上前の記事ですが、いまだに当ブログ人気ページランキング1位なんですね。おそらく「早期リタイア」という検索ワードからのアクセスが細々と続いているのだろうと推測します。

その判断基準の点で言えば、昨年はACRが急上昇して再びリタイア安全圏に入ったように見えます。その要因としては資産の増え方が大きかったこともありますが、昨年1年間の生活コストが一昨年と比べて10%以上低かったことも大きいと思います。特に節約を強く意識したわけでもなく、具体的にどんな支出が減ったかは分析していませんが、資産残高だけでなく、生活コストにもそれなりの伸縮性があり、毎年変動するものなのだということを、今更ながら実感した次第です。