2010年1月29日

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その2

『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』 その1 の続きです。

今回のテーマは生命保険。
 生命保険というものは、身も蓋もない言い方をするならば、宝くじの一種である。(略)
さらに、一般の宝くじと同様に、生命保険の場合もほとんどの人は損をする。おまけに経費率が高いので、ギャンブルとしては救いがたいほど魅力がない。だが、抽選に外れたということは自分がまだ生きているということだから、文句を言う客はいない。
 あなたが独身なら、生命保険は不要である。子供がいないか、すでに成人しているなら、保険料の支払いより資産形成を優先すべきだろう。一方、子供がまだ幼く十分な貯蓄がない家庭は、保険の優位性を最大限に活かせる。
(中略)
豊かな社会では、生命保険の必要性は低下していく。だが現実には、ほとんどの人が何らかの保険に入っている。日本では、莫大な額の保険料が無駄に支払われているようだ。
損をすることに意味のある宝くじは、人生の必要な時期に、必要最低限の保険料で加入するのが賢い使い方である。不要になった保険料は、将来のための投資に充てればいい。
 日本人は宝くじと保険が大好きだ。そして喜んで損をしている。やはりこのふたつはよく似ている。
私は上記のような「保険の優位性を最大限に活かせる」状況になったことはありませんが、扶養家族がいる人も含めて、高額の生命保険が必要な状況になるケースは極めて稀だろうと思います。宝くじと同様に胴元がぼったくる仕組みなのですから、買わない理由よりも買う理由を見つける方がはるかに難しいでしょう。

それでも現実に「莫大な額の保険料が無駄に支払われている」のは、宝くじという名の税金を喜んで納める人が後を絶たないのと同じく、非常に稀にしか発生しない事象の確率を過大評価するという人間の不合理なバイアスが原因だと思います。さらに、不安という感情に駆られて「確率盲目」になっているとも考えられます。
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また、貯蓄型生命保険による資産運用についても、次のようにバッサリ斬っています。
 どんな凄腕の営業マンでも、損をする商品を売るのは難しい。そこで保険会社は、生命保険に貯蓄性を加味することを考えついた。保険料を払いながらお金が貯まれば「損」が視界から消え、「大きな保障」という長所だけが際立つ。こうして、保険で資産運用するという奇妙な習慣が広まっていった。
宝くじで億万長者を目指す人はいても、それを貯蓄だと誤解する人はいない。当たりくじを引かなければ、宝くじ代金はすべて無駄になってしまう。保険と宝くじは同じ仕組みだから、本来、保険で資産運用などできるはずがない。


生命保険不要論については、次のサイトが辛口ですが秀逸だと思います。
生命保険 - 武田つとむファイナンシャルプランナー事務所 岩手 盛岡駅前 - 楽天ブログ(Blog)

(つづく)

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