2017年9月20日

満員の「仮想通貨セミナー」に違和感

現代ビジネスの記事より。
仮想通貨のトレンドは急速に右肩上がりだ。9月2日には過去最高値の1ビットコイン54万円を突破した。今年1月に10万円前後だったので5倍強。ビットコイン長者が続出している。
gendai.ismedia.jp
先日読んだ本とは対照的に、暗号通貨の闇の側面を強調する記事のようです。

ブロックチェーンなど金融技術は、日々、進化するが、悪用する側も進化している。今後、政策、情報、課税、規制などあらゆる面で各国が、国際的に連携して対応することが必要だ
(中略)
口火を切って講演したアメリカ合衆国国土安全保障省のロバート・ホィットカー特別捜査官は、こう警告を発して各国の連携を訴えた。
初っ端からアメリカ政府の人間が登壇して国家間の連携を訴えるセミナーですか…。捜査機関の人ならともかく、民間人がわざわざ金を払って聞きに行くようなことなのかな、と思いました。

ただ、その不安を抱くよりも前に解決すべき問題がある。管理者不在と匿名性ゆえに生じる仮想通貨の犯罪利用である。
まず、そこを遮断して利用者から信頼を得ることが普及の条件。
「犯罪利用を遮断して利用者から信頼を得る」という発想に違和感があります。

たとえば携帯電話やインターネットの犯罪利用は未だ遮断されていません。振り込め詐欺はなくならないし、フィッシングメールを受け取るのも日常茶飯事です。だからといって、携帯電話網やインターネットの機能自体が信頼できないことにはなりません。

おそらくインターネット黎明期には、
「管理者不在と匿名性ゆえに生じるインターネットの犯罪利用を遮断して、利用者から信頼を得ることが普及の条件」
みたいなことを言っている人もいたはずです。しかし現実にはそんな条件など満たさないまま、ここまで普及してきたわけです。

それは業界関係者の共通認識であるとともに、捜査・監督当局の思いでもある。
金融業界と政府関係者の思惑はわかりましたが、では肝心の消費者の思いはどこいったの?と聞きたくなります。

ある道具が犯罪利用されていようがいまいが、一人の消費者としては便利なら使うし不便なら使わない、それだけのことなんですけどね。暗号通貨以前に人類が発明してきた、インターネット、携帯電話、飛行機、車、包丁などの道具の中に、「犯罪利用を遮断したから信頼されて普及した」と言えるようなものは一つも無いと思います。

犯罪者が、まず使う。だから防御技術を先に開発し、利用者の信頼を得る――。
たとえば「携帯電話は犯罪者がまず使う。だから携帯電話を犯罪に使われても防御する技術を先に開発しよう」みたいは話は聞いたことがないのに、なぜか暗号通貨の場合だけ消費者はそっちのけで犯罪防止に前のめりになっているのが、非常に気持ち悪いんですよ。

優れた防御技術を備えた新しい暗号通貨を開発して、市場で既存の暗号通貨と競争しようと言う話なら否定はしませんが。

しかし犯罪防止を口実に、防御技術のない既存の暗号通貨に法規制の網をかけようという話なら、全くフェアではないのでやめてもらいたいと思います。

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