2018年10月15日

『マネー・ワールド ~資本主義の未来~ 第3集  借金に潰される!?』


Youtubeにアップされていたので見てみました。どうせすぐ削除されるのでリンクや埋め込みは無し。

全体的な印象としては、社会主義的な制度までひっくるめて「資本主義」のせいにしてdisっている番組です。昔から左巻きな人たちがよく使う手口ですが、そのせいで実際に誤解している人も少なくないと思います。

韓国政府の徳政令なんて最悪で、本来なら貸し手と借り手の間の問題でしかなかったものが、政府が介入して肩代わりすることによって全国民を巻き込んでしまったわけです。

プエルトリコの市長:
「お金を貸した人たちは利子をつけて回収することしか考えていません。貧しい人から(公共サービスを)さらに取り上げないといけないなんて最悪です」
そらそうでしょ。そこを否定したらもはや融資でもなんでもなくて、ただの寄付金ですよね。はじめから借金なんかせずに寄付金募れば良かっただけの話では? 政府や自治体のコストを徴税ではなく寄付金で賄うというのは、自由主義界隈では決して突飛なアイデアではありません。

「最悪」なのを貸し手のせいする人こそが最悪です。借金してまで公共事業を行うと判断したあなたが招いた厄災であることを自覚しましょう。

ロンドンの大学教授:
「今の資本主義は借金が増えていくことが前提になっています。しかしその返済のために常に前の年よりも成長しなければいけないなんて持続不可能です」
これもよくある誤解ですが、資本主義にそんな前提は不要です。無借金でも株式を発行すれば資金調達できるのに、なぜ資本主義に借金が必須だなんて思うのでしょうか。さらに言えば、借金が減る=マイナス成長とは限らず、技術革新などで生産性が上がればデフレになり、実質成長率がプラスになることもあり得ます。

借金が増えていく前提がないと持続不可能なのは、資本主義ではなくて社会主義的な制度(公共事業、公営社会保障)の方ではないでしょうか。そんな制度など無くても(いや、むしろ無い方が)資本主義はうまく機能するのです。社会主義と一緒くたにされては堪りません。

あと、画面の右上に「資本主義の限界!? 膨らむ政府、企業の借金」というテロップが出ているのが気になりました。少なくとも「政府の借金」は「資本主義の限界」とは何の関係もありませんので、民間企業と同列に並べないでいただきたいものです。

マハティール首相:
「(膨大な借金を抱えた)国を再建しないといけません。今まで政府はないに等しい状態でした」
マレーシア高速鉄道建設計画を白紙撤回するなど、政府の歳出削減に積極的な彼の姿勢は素晴らしいですね。日本政府にも見習ってほしいものです。

ただ、「今まで政府はないに等しい状態でした」というのはまったく逆で、むしろ政府の存在感がありすぎて、要らんことばっかりしてきたせいで借金が膨大になったことを忘れてはなりません。本当に「政府はないに等しい状態」ならどんなに素晴らしいことか…。

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