2011年2月18日

『自動車保険金は出ないのがフツー』 加茂 隆康 (著)



エピローグより:
自動車保険金は出ないのが普通です。損保からの賠償金の提示額は、作為的に安く構成されています。したがって、あなたが事故に遭いますと、泣き寝入りしない限り、まず九分九厘、相手損保とトラブルになると思ってください。
私も過去20年ほどの間に3回被害事故に遭いましたが、これは真実です。最初から満足のいく金額が提示されたことは一度もありません。被害を最小限に抑えるには、交渉して何とか妥協できるラインまでもってくる作業が必要になります。

示談の際、本書に書かれているような最低限の知識がなく、プロが言っているのだからそういうものだと思い込まされて、最初の金額をあっさり受け入れてしまう人が多いのだろうと想像します。そういう無知で無抵抗な被害者こそが、保険会社にとっては美味しい利益の源泉なのです。

プロが無知な素人をカモにする構図は金融業界と同じですね。
無知が高くつくのはこの世の常です。

こっちがだめなら、あっちで攻める。保険金の不払いのためなら、手段や理屈を選ばない。
これが損保のやり口です。
確かに被害者から見たら非常に狡猾なやり口です。実際にやられたら腹も立つでしょう。

でも冷静に考えたら、株主会社として合理的に行動しているだけだと気付きます。株主や契約者として関わるだけならば、むしろ良い会社です。コストを抑える努力があればこそ、保険料を安くできるのですから。コストを下げる努力を怠り、営利を追求しない保険があったとして、それが良い保険であるとは思えません。たとえば公的年金などが悪い見本です。

著者はあくまでも被害者の利益のために、損保憎しの姿勢を貫いて弁護活動をしてきた様子がうかがえます。弁護士の鑑だと思います。

ですが、何事もやりすぎると裏目に出ます。
asahi.com(朝日新聞社):「事故で寝たきり」とウソ、賠償請求 東京の弁護士懲戒 - 社会
第一東京弁護士会は27日、依頼人の交通事故の後遺症を誇張したとして、加茂隆康弁護士(61)を業務停止4カ月の懲戒処分とし、発表した。
「手段や理屈を選ばない」のは著者自身も同じだったようです。

参考記事: 読書(自動車保険金は出ないのがフツー) - 早期リタイア公務員の優雅な毎日 - Yahoo!ブログ

2011年2月8日

『勝間さん、努力で幸せになれますか』 勝間 和代 (著), 香山 リカ (著)



お二人ともいわゆる「成功者」の側にいる点では共通ですが、その考え方は対照的です。ここまで価値観が違うと、対談がかみ合わないのは仕方ないですね。
香山 ラクをすること、緊張しないこと、「やらなきゃ」と自分で自分を縛らないこと自体が楽しいんですよ。
勝間 ラクをしている本人が、何をもって楽しいと思えるのか、要素分解してみたいですね。
香山 要素分解なんてできないでしょう。楽しいという感覚なんて、最も主観的で漠然としたものだから。
香山氏が楽しいと感じることは、私もまったく同感なのですが、勝間氏にはそれが理解できないようです。
価値観が違う者同士、どんなに話し合っても分かり合えるわけではありません。

次のように、逆に香山氏にも勝間氏の感覚が理解できないわけですが。
勝間 香山さん、努力という言葉を間違って使われていると思います。努力というのは、別に苦しいものではないんですよ。私は無理なく続けられるということをずっと言ってきていますから。うまく言えませんが、努力そのものが幸せなんですよね。
香山 私にはその感覚がまったく理解できないんですよね。私の人生は、勝間さんに空費や浪費とか言われる時間だけで成り立っているようなものなので、そこを減らすなんて全然「無理なく」じゃないですよ。意味のないコレクション、仕事に役立たないプロレス、スポーツ新聞の購読、十分寝たのにさらに寝る、そんな欲望をずっと抑え続けてスキルアップだなんて、私には苦行そのものです。
努力主義が嫌いな私は言うまでもなく、ここに出てくるような香山氏の感性とのシンクロ率が非常に高く、とても親近感がわきました。

逆に、勝間氏の発言には本当に謎が多いと感じました。たとえば、大金を手にしても働き続ける理由が、
人間、暇だとロクなことを考えない。
からだそうです…。
そんなことはないでしょう。人間、いろいろなことを考える暇な時間があるのは良いことです。それがロクなことであろうとなかろうと。

参考記事: 勝間和代、香山リカ『勝間さん、努力で幸せになれますか』 - 黄金虫で大金持ちになってみよ

2011年1月22日

『ドケチ道 ―会社を元気にする「生きたお金」の使い方』 山田 昭男 (著)



著者は日本一のドケチを名乗る未来工業の社長さんです。

この会社は労働時間が短いことでも有名で、年間休日140日+有給休暇40日余り、1日の労働時間は7時間15分、もちろん残業は無し。ということは、年間労働時間は1340時間程度。フルタイム労働としては日本一短いのではないでしょうか。
わたしもふくめて、誰だって働くのは好きじゃない。
経営者自らこの労働観に立っているからこそ実現したんでしょうね。

個々のドケチ実践方法は、正直やり過ぎ感が否めませんけど、その根底にある価値観には共感するところが多かったです。

「おわりに」からの抜粋です。
「KY(空気が読めないヤツ)」なんていう陰湿な言葉が流行する国で、みずから「日本一のドケチ」を名乗り、まわりの目も気にしなかった。むしろ、他人より抜きん出てしまえば、たった1本の杭でも打たれないことを、みずから証明するような生き方をしてきた。
しかし、ここまで私のヘソが曲がってしまったのには理由がある。
その理由とは、子供時代の上海日本人租界での次のような体験です。
上海の日本人租界では、日本人は人力車に ”乗る側” であり、それを ”引く側” は決まって中国人だった。
しかも目的地について、人力車夫である中国人に運賃を求められても、たいていの日本人が杖で彼らを殴りつけて、ビタ一文払わない。それが当たり前だった。いまもなお、子供心に焼きついている「治外法権」の原風景でもある。
そのくせ、学校の教室では、修身(道徳)の授業で、
「日本人は、世界でいちばん真面目で礼儀正しい」
とも教わっていた。
(中略)
政府も、政党も、新聞も、学校も、教師も、そして多くの大人たちも、みんな大ウソつきだった。
それなのに、大人たちは、「戦勝」情報を流し、子供たちに日の丸をもたせて行進させ、イモの茎しか食えないような国民を戦争に総動員し、教師たちは「日本人は世界一真面目で、礼儀正しい民族だ」と、私たち子どもを ”教育” した。ありとあらゆるウソっぱちの「横並び」だった。
私の「横並び」社会への嫌悪感はいまもこの骨身にしみついている。
世間とは常に反対のほうを向く――それがイカサマだらけの国で、自分が生き延びていくための指針になった。
私も反「横並び」派の一人ですので、共感しました。
「イカサマだらけの国」という表現は、戦中だけでなく現代の日本にも通じるところがあるような気がします。

参考記事: 
活かす読書 ドケチ道
「ドケチ道 」 山田昭男・著 | ドケチというより、ド「リッチ」 : 23:30の雑記帳

2011年1月21日

『拝金』 堀江貴文(著)



著者本人の紹介記事はこちら。
通販の肝はパッケージにあり。小説「拝金」発売によせて。|堀江貴文オフィシャルブログ「六本木で働いていた元社長のアメブロ」by Ameba

形としては一応フィクションですが、ノンフィクションと思しき要素が多数散りばめられていて、堀江氏本人から見たライブドア事件の真相に近付けます。

「あとがき」が印象深かったのでメモしておきます。
人の欲望は尽きないと言うけど、意外に人の欲望は簡単に尽きる。ある程度のお金を手に入れると、たいていの人が満足してしまうのだ。
ここでいう「ある程度のお金」とは、
もう仕事をしなくても一生、優雅に暮らせるだけのお金
です。
「優雅に」暮らせるほどのお金がなくても仕事をしないことを選んだ私から見れば、それで満足しないほうがどうかしていると感じます。

お金がないときはやれることに限界があるけど、お金があればやれることがどんどん広がる。つまり、お金を持てば持つほど、お金から解き放たれて自由に発想できるようになる。
これは真理でしょう。お金の限界が自由の限界でもあります。

もっといえば、あらゆる欲望、金、女、酒、美食、何でもいいけど、徹底的に浸り切り、欲にまみれればまみれるほど、ある瞬間、その欲の世界を突き抜ける、そんな感覚になっていく。
 突き抜ける、そうとしか表現のしようがない。
 それがムチャクチャ気持ちいいというか、物凄い快感を与えてくれるのだ。突き抜けた結果、聖人君子のようになるという意味でもなく、なんというか、欲から解放されて、欲そのものと一体になれるというか、うーん、やっぱり言葉にするのは難しい。
この感覚を多くの人と共感したいが為に、この小説を書いたそうです。
読者の一人として本書を通じて堀江氏の体験を追体験した結果、確かに面白い体験だとは思いましたが、残念ながら上記のような感覚に共感するには至りませんでした。

逆に、そんなに「物凄い快感」を伴うのであれば、やっぱり欲の世界を突き抜けるのは相当リスキーな体験なのではないかと思えます。麻薬の快楽を覚えるのと何が違うんだろうかと。

この本を読めば、きっと誰もが突き抜けられる。そんな思いを込めながら、この小説をみなさんに発信します。
誰もが、ではなく、突き抜ける人はほんの一握りでいいんじゃないでしょうか。

2010年12月13日

SBIレミットの国際送金サービス

本日付けでサービス開始したようです。
SBI、国際送金サービス13日にも開始 低価格で集客狙う - SankeiBiz(サンケイビズ)

手数料体系はこのようになっています。
手数料について - インターネット国際送金はSBIレミット
10万円以下の少額なら確かに安いものの、25万円超で3,980円のどこが「低価格」なのかと。

為替レートの方はどうでしょうか。
こちらでシミュレーションしてみたら、
送金手数料シミュレーション - インターネット国際送金はSBIレミット
換算レート : 1 YEN = 0.011788 USD
現在のJPY/USDは、
http://www.google.co.jp/search?q=JPY%2FUSD
1円 /米ドル = 0.011858
したがって、為替手数料は約0.59%と出ました。1万ドル(≒84万円)あたり約5,000円ってとこです。
さすがにメガバンク級のボッタクリではないものの、決して安くはないですね。

ほんの9ヶ月ほど前に、
SBIの国際送金サービス
最も恩恵を受けるのは日本の個人投資家だと思いますね。海外口座へのハードルが大きく下がりそうなので。
こんな記事を書いたのですけど、恥ずかしながら大外れでした。
100万円単位で海外口座に送金するような個人投資家のニーズには、まったく適合しないサービスだと思います。