2015年1月16日

『臆病者のための億万長者入門』 橘 玲(著) その2



p.46
宝くじがなぜ国家の独占事業かというと、それがきわめて効率のいい、“ぼったくり”だからだ。ところが世の中にはこの仕組みを理解できないひとがいる。それも、ものすごくたくさん。
(中略)
このようにして私たちは、ほとんど起こらないことを、あたかも頻繁に起こるかのように錯覚してしまう。ひとは確率的な出来事を正しく把握するのが苦手なのだ。
まさに愚か者だけが支払う税金。
数学なんて何の役に立つのかわからないと思いながらやってる中学生諸君。最低限、確率と期待値の勉強だけでもしっかりやっておくと、大人になってから余分な税金を払わなくて済むかもしれませんよ。

宝くじが本物の税金と決定的に異なるのは、支払いが強制ではなく任意である点です。自ら進んでぼったくられる人が「ものすごくたくさん」いるのであれば、この錯覚をもっとうまく利用して本物の税金の代わりにすればいいのではないかと思ったりもします。

p.48
もしあなたが宝くじに大金を払っているのなら、資産運用に成功することは永遠にないだろう。
宝くじでも超低確率の高額当選を引くラッキーな人が確実に存在するように、いい加減な資産運用をしてまぐれ当たりをする人も確実にいると思います。なので、結果だけ見れば「成功することもたまにある」ことになります。

重要なのはそれがただの結果オーライであることを理解しているかどうかです。理解している人なら、まぐれ当たりが出たらそこでやめるはずです。しかし大抵の人は理解してないので、同じやり方で今度は失敗する。そういうことを繰り返しているうちに資産はどんどん減っていく。こういう現象を「資産運用に成功することは永遠にないだろう」と表現しているのであれば、確かにその通りだと思います。

投資においてもっとも大事なのは、損しないことではなく騙されないことだ。
そうですね。騙されないことは当たり前すぎて今さら言われなくても…ですが、「損しないこと」が比較的大事ではないというのは、ちょっと意外に聞こえるかもしれないですね。

儲けるためにはリスクを取らなくてはならず、リスクを取れば損することもある。投資に損失はつきものだが、それはリスク分散で管理できる――資産運用理論というのは要するにこういうことだ。
ここは「儲けるためには」という表現が惜しい。その1で引用した「資産運用は金儲けの手段ではなく」と矛盾が生じるので。

人生全体を俯瞰してその経済的なリスクを分散して最適化するためには、個々の投資で損をするリスクを取ることは不可避、ということだと思います。

「リスクを抑えるためにリスクを取る」という概念が一見わかりにくいのですけど、こちらの記事を読めば理解の助けになるかもしれません。
参考記事:

(つづく)

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