『WIRED』日本版編集長、若林恵さんによる巻末の解説より。
p.362-363
ブロックチェーンって、どっちかというと、というか日本では完全にフィンテックの文脈に乗っちゃってて、なんとなくつまんないなあ、って思ってたんですよ。「ブロックチェーンって、そういうことなんだっけ」っていう疑問がありまして。同感。
フィンテックはファイナンス・テクノロジーの略なので、その守備範囲は金融に限定されますが、ブロックチェーンは金融以外にも広く使える技術です。あと、フィンテックの中にはブロックチェーンと無関係のものも多くあります。たとえば国際送金サービスを提供する TransferWise は代表的なフィンテック企業ですが、彼らの送金システムは今のところブロックチェーンを使っていません。
p.366
いずれにせよ、「お金の民主化」というのは、普通に考えて、近代世界の構成上あるまじき事態であって、インターネットがそれを可能にしてしまうのが明らかである以上、ぼくらは、近代世界を形作ってきたシステムそのものがひっくり返り得る、その歴史的転換のとば口に立っているのかも、ということが、まあその特集を通じて、見えてきちゃったんですね。お金の民主化は「近代世界の構成上あるまじき事態」とおっしゃいますが、トップダウンに為政者目線で捉えると不都合だという話でしかなく、近代世界を形作っているのは国家というシステムよりも前に、まず最小単位である人間です。人間一人ひとりがフラットな視点で眺めるならば、お金の民主化は大変好ましいことだと思います。
p.368
──ビットコインはあまり面白くないっていうのはどうしてなんですかね。いや、暗号通貨の何が面白いかって、ガチガチの中央集権制である国家管理通貨を使わざるを得ない現状から、人々を解放しようとしている事が一番でしょう。その最大の利点を抜きにして暗号通貨を語っても、何も面白くありません。
うーん。ここは説明しようとすると若干矛盾がありそうで難しいところなんですけど、ビットコイン信奉者にありがちな極端なリバタリアニズムは問題提起としては面白いんですけど、やっぱりちょっと現実離れしているところがあって、気分的には若干苦手なんですね。
とはいえ、ビジネス界隈でフィンテックの名のもとで語られるビットコインやブロックチェーンの話は、それはそれで、なんというか利便と利得の話でしかないように見えて、そっちはそっちでもっとつまらないなあ、と。これは同感。
利便と利得の追求自体が悪いわけではないのですが、特に日本国内では金融機関の既得権温存が前提になっていて、利用者の利便そっちのけのサービスしか出てこないのではないかと危惧しています。
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