2017年8月10日

『ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現』 野口 悠紀雄 (著)



p.9
飛行機が革命であったように、そしてインターネットが革命であったように、ブロックチェーンも革命だ。それはパラダイムの変革をもたらす。つまり、世の中をひっくり返す。
飛行機やインターネットに匹敵するかどうかはわかりませんが、ブロックチェーンの発明は今後の世の中を大きく変える可能性があります。

基本的には中央集権的な仕組みから、分散自律型の仕組みへのシフトが起こっていくと思われ、今まさに目の前で起こっている暗号通貨の勃興はその序章といったところでしょうか。

ブロックチェーン技術が革命的なのは、その応用範囲が暗号通貨に限られない点です。同じ金融業である証券取引は言うまでもなく、自律運転車やライドシェア、市場予測、経営者のいない自律企業組織、やりかた次第では政治や行政、司法にも応用できると言うのですから驚きです。

たいへん夢と希望に満ちた未来予想だと思いました。ただ、実際に社会が変わっていくには技術の壁よりも法律や規制の壁を乗り越えていく必要があり、そこがボトルネックとなって遅々として進まない懸念もあります。

ただし、フランス革命がそうであったように、革命が始まった段階では、それが社会を良い方向に持っていくのか、悪い方向に持っていくのかは、分からない。飛行機は、地球上のどこにでも短時間で到達できることを可能にした半面で、初飛行から10年少々しかたたぬ第一次世界大戦においてすでに、強力な兵器として利用されていた。
そうです。便利な道具は使い方次第で凶器にもなります。

テレビや新聞の報道しか見ていない人だと、ここでハッキングや詐欺事件をイメージするのでしょうが、それよりも本当に怖いのは権力者が技術を悪用することです。

たとえば日銀が率先して暗号通貨版の新円を発行するようなことになれば、いとも簡単にマイナス金利政策が実現可能になりますし、政府の都合のいいように通貨の価値をコントロールされてしまいます。気が向いた時にいつでもインフレ税を徴収できる仕組みの出来上がりです。

このような、中央集権の強化につながる動きには十分警戒する必要があると思います。

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