2017年8月5日

税や社会保険料で「富裕層を優遇している」って本当?

ツイッターを見ているとこんなツイートが目に入ってきました。
「税金や社会保険料で、富裕層を優遇している実態」と書いてあり、一体どこの国の話だろうかと思ってよく読んでみると、どうやら日本のことを言っているらしくてぶったまげました。

たしかに負担「率」のグラフを見ると、所得1億円の人の負担率が約40%でピークになっていて、1億円を超えると負担率が下がっていくようです。しかし、負担率がピークから高々16%程度下がったぐらいでは、高所得者の負担「額」の方が低くなるといった逆転現象は起こりません。

試しに、このグラフから負担率を読み取って負担額を計算してみました。

所得と負担額の関係.jpg

結果は予想どおり、きれいな右肩上がりのグラフになりました。このグラフは、「高所得者ほど多額の負担を強いられている」という単純な事実を示しています。

縦軸は対数表示にしてあります。最初は普通の線形表示でグラフを描いてみたところ、あまりにも負担額の差が大きすぎてうまくいきませんでした。所得100億円の人の負担額は、所得100万円の人の約9000倍という、とんでもないレベルに達しています。

元ツイートのグラフにあった「所得100億円超は所得100万円より税・社会保険料の負担が低い」という見出しは極めて悪質なミスリードです。このグラフが示しているのは「負担率」の違いのみであって、実際の「負担」が高いか低いかを示すデータではありません。

実際は「富裕層を優遇している」どころか、はっきりと富裕層を冷遇していることがわかります。むしろ相対的に低所得の人ほど優遇されています。

そもそも公権力に強制されている負担の話をしている(受益の話はしていない)ときに、その負担が相対的に少ないことを「優遇」って言うのかなという疑問もあります。冷遇の度合いがマシな人(低所得者)から、冷遇の度合いが酷くて虐待レベルの人(高所得者)まで広く分布しているけど、「優遇」されている納税者なんて一人もいないと思うのですが。

しかし、「~は優遇されている。だからもっと毟り取れ!」と叫ぶ人たち、なんとかなりませんかね…。

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