2011年5月19日

『自由に至る旅 ―オートバイの魅力・野宿の愉しみ』 花村 萬月 (著)  その1



バイクとは知的な道具である|世界の始まりとハードボイルド
で紹介されていたのがきっかけで読んでみた本です。

あなたが交通事故で死ぬ確率は―――1年間で1万分の1だそうです。
しかも、あなたの人生を75年とすると、その間の交通事故死の確率は、なんと、133分の1にまで上昇してしまうのです。
これは歩行者も含めた平均確率でしょうから、バイクや車に乗る人に限れば数十分の1にまで上昇するだろうと推測します。とにかく長生きしたければ(余命の期待値を上げたければ)、バイクは当然のこと、車や自転車などにも乗らないに限ります。

べつに自動車を運転することやオートバイに乗ることは、強制ではありません。
やはり、誰がなんと言おうと、あなたが、選んだのです。
徹頭徹尾、あなた自身が選んだ。
あなたの、選択なのです。

これが、自由、ということです。
その通りです。
私は自身をも含む生命の危険よりも、走る自由を自らの意思と意志で選択しました。
リスクは大きいのですが、自由の問題を避けて人間は生きていけません。
そして紙に記された哲学よりもなによりも自由という問題をいちばん率直に問いかけてくれる機械が、オートバイであるのです。
わかります。
とにかくリスクを最小化したい人は絶対に選ぶことのない乗り物だと思います。資産運用でも安全第一なら預貯金のみしか持たないのと同様に。

決して小さくないリスクを引き受けてでも、何らかのリターン(移動の自由とか走る楽しみ)を得たいと考える人だけが、バイクというビークルを選択するのでしょう。資産運用で株式ETFというビークルを選択するように。
あなたは自分が機械になる快感を御存知ですか。自分自身の限界に近い速度のなかで、あなたは常に的確な状況判断をしなければならないのです。それを確実にこなすことができた瞬間に、あなたは人間という機械になっているのです。これは味わったことのない人には説明のしようがないのですが、途轍もない快感です。
私はこんな感覚は知りませんが、味わってみたいとも思わないですね。
そもそも「限界に近い速度」というのがリスキーすぎて割に合わないのと、ホリエモンの本(『拝金』 堀江貴文(著))にも似たような話がありましたが、「途轍もない」快感は中毒になる危険も心配です。世の中には知らないほうがいいこともたくさんあります。

(つづく)

1 件のコメント:

  1. いつも楽しく読ませてもらっています。
    はじめまして。ふるたと申します。
    (0代で小さな事業をしていますが、40までにアーリーリタイアも視野に入れています。
    遊民さんのような、読書や思索中心の生活にも強く惹かれます。
    知らない方が良い快楽の存在については、強く同意します。
    薬物を用いた性行為・洗脳経験など、合法か違法かとは別に(長期リスクを考えると)人生の中であえて触れない方が良い快感は多く存在するように思います。

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