2011年6月17日

『お金とつきあう7つの原則』 山崎 元 (著) その1



投資ブロガーの間では著名な方で、ブログは時々拝見していますが、意外にも著書を読んだのは初めてです。

前書きの一行目:
お金よりも人生の時間のほうが大切だ。筆者はそのように思っている。
私も常々そう思っているので、時間の切り売りをやめました。

保険について知らなかったこと。
絶対にやってはいけないのが、保険の乗り換えなど、新規の保険契約を伴う操作だ。新たにごっそりと営業費見合いの付加保険料を取られて、保険会社のカモになる。
べからず集に追加しておきましょう。
もちろんこれは、生命保険や医療保険の話です。自動車保険に限っては毎年比較して有利な会社に乗り換えたほうがいいと思います。

国内株と外国株の比率は概ね半々でいい。
この大雑把な感じが山崎流アセットアロケーションの特徴の一つですね。市場ポートフォリオよりも為替リスクを取りたがらない傾向があるようです。

投資家としては「バブル崩壊」をできれば避けることと、崩壊後の金融緩和からの資産価格上昇のプロセスをぜひ狙うことの二つを心掛けたいが、簡単ではない。
もちろん、簡単ではないのだが、努力はしてみようというのが、本書での筆者の立場だ。
バブルの発生と崩壊のサイクルを利用して超過リターンを狙うのが山崎流だとは知りませんでした。私に先入観があっただけかもしれませんが、とても意外な気がします。
このような立場から、ページ数はわずかとは言え本書の最後のほうで具体的なタイミング投資の手法を提案する部分があります。正直、絵に描いたような蛇足だと思いました。

なぜなら、プロの山崎氏が「簡単ではない」と言うようなことが、我々一般人に真似できるとは思えないからです。努力した結果もし裏目に出たら、時間もお金も失うことになります。下手な賭けに出るよりも、バブルが発生しようがしまいが、淡々と市場平均に乗り続けるほうが合理的だと思います。

自分の買値から何割上がったら売る(「利食い」売り)とか、あるいは何%下がったら売る(「損切り」売り)というルールを決めておいて機械的にこれに従うことを推奨する向きもあるが、間違いだ。その時の情報を見ずに、売り買いを事前に決めておくのは愚かだ。
効果音に時代劇の斬殺音がぴったりな歯切れの良さですね。
完全に同意します。関連記事:
資産運用の基本スタンス に 分散投資だと必然的に含み損を抱える銘柄も多くなりますが、下がったから損切りするという発想ほど馬鹿げているものはないと思っています。何%の利益が出たら売るというのも同様です。 と書いた通り、いわゆる「損切り」や「利確」などの小手先のテクニックには合理性の...
yumin4.blogspot.jp


(つづく)

1 件のコメント:

  1. いつも楽しく読ませて頂いています。
    私は職業柄、山崎元氏にインタビュー取材をしたことがあるのですが、
    理路整然とした主張にはまったくブレがありません。
    時に冷たい印象すらあります
    (芸能事務所に所属してバラエティ番組に出たときは笑ってしまいましたが)。
    何しろ楽天証券に籍を置きながら、
    「ファンド・マネジャーが結局、プロらしさをつねに示すことができるのは、
    口先だけなのです」と投資信託を痛烈に批判するのですから
    (「みんなの海外投資」―ヘッジファンド購入で失敗しないためのノウハウ参照)
    http://www.minkaigai.com/archives/category/ima/shintaku
    ただ者ではありません(発言させる楽天証券もただ者ではない)。
    山崎氏の批判的な発言は、自ら投資の現場を渡り歩いた肌感覚に基づいています。
    すなわち、日本のファンド・マネジャーの運用能力が低いことの証左でもあります。

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