2009年7月22日

『バフェット流投資に学ぶこと、学んではいけないこと』



ウォーレン・バフェットとバークシャー・ハサウェイについて書かれた本はすでに何十冊とあるため、また書くのかという声が上がっても不思議はない。ただ、これまでに出た本の多くはバフェットの投資戦略を分析してはいるものの、偉大な人物へのラブレターと大差ないように思われる。多大な称賛に値する人物であることに間違いないが、大半のバフェット本は客観性を欠いている。彼の投資手法の欠点を指摘できていないし、彼のお気に入りの投資戦術を注意深く分析している場合でも、どの戦術ならほかの投資家もまねできるかという説明はなされていないことがある。そしてそれ以上に重要なのは、バフェットならできるがほかの投資家では事実上まねできない戦術があることについて、説明していない本が多いことだろう。
と書いてあるように、バフェットのずば抜けたパフォーマンスに心酔し、彼の投資手法を真似したくて仕方がない投資家たちの頭を冷やすための本と言ってよいでしょう。
覚えておかねばならないのは、この理論が示すように、ポートフォリオで分散投資すれば常に利益が得られるということだ。
では、ここで言う「利益」とはいったいどんなものか。一言で言うなら、次のようになるだろう。
ポートフォリオで分散投資を適切に行っていれば、そのときのリスク量で実現できる最高レベルの期待リターンが手に入る。あるいは、そのときの期待リターンでのリスク量を最小限に抑えることができる。
「利益」という用語が適切でないような(「効果」とか「効用」の方がしっくりくる)気もしますが、分散投資派にとってはお馴染みの理論です。

対照的に、バフェットの考え方はこうです。
集中投資となれば、投資家は投資対象の企業について一生懸命考えるでしょうし、財務の状況などに相当な安心感をもてる銘柄しか買えなくなるでしょう。その結果、リスクはむしろ小さくなるでしょう。
つまり、「一生懸命調べたり考えたりすれば、より正確に未来が予測できるようになる」と言っているに等しく、ファイナンス理論の前提とは最初から話が噛み合ってないと思われます。
バフェットによれば、分散投資は自分には向いていないが、自分以外の大半の人には最適の戦略だという。おそらく想像がつくだろうが、バークシャー・ハサウェイはインデックス・ファンドなどまったく保有していない。バークシャーの資金でインデックス・ファンドを買うのはばかげている、とバフェットなら考えるだろう。しかし、普通の投資家はバフェットが「やっている」通りではなく、「言っている」通りにインデックス・ファンドを買うべきだと、彼は考えているのだ。
平たく言えば、ド素人は真似するなと。(笑)
集中投資がリスクのコントロールに役立つのは、投資先企業の事業計画策定に関与できたり、経営判断にある程度の影響力を及ぼしたりできるときに限られるからだ。投資先企業の資本をどこにどう配分すべきか、経営陣に意見できるだけの株数をもてないのであれば、分散投資をしたほうが大きな利益を得られるというのがバフェットの考え方なのである。
なるほど。
このような特殊な前提が存在するからこそ、上記のように集中投資でリスクが小さくなるという見解を示すことができるというわけです。

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