2019年1月15日

金持ちがツイッターで金を配ると「権力」が手に入る?

ふろむださんのブログより。
「僕をフォローすれば、お金をあげるよ」と言えば、フォロワーはドバっと増える。 「メディアは第4の権力」と言われるように、フォロワー数は一種の権力だから、金で権力が買えちゃうわけだ。
note.mu

ZOZO前澤氏の名前はどこにも出てこない記事ですが、彼が最近ツイッターを使って自分のお金を配った件について書かれているようです。

余談になりますが、前澤氏のツイートを初めて見たときはなかなか面白いことやる人がいるもんだなと興味をそそられたものの、その時点で既に応募殺到で期待値が数十円程度まで下がっていたため、まるで割に合わないと思ってスルーしました。フォローしてリツイートする手間の方が高くつきます。

「僕をフォローすれば、お金をあげるよ」と言えば、フォロワーはドバっと増える。
「メディアは第4の権力」と言われるように、フォロワー数は一種の権力だが、金で権力が買えちゃうわけだ。
ここで「権力」の定義について整理しておきましょう。
「権力(けんりょく)とは、一般にある主体が相手に望まない行動を強制する能力である」(ウィキペディアより)

そもそもフォロワー数が増えると誰かに何かを強制する能力が手に入りますか? 100万円が欲しくて彼の周りに群がった人たちは、まさに「金に釣られた」ようにしか見えないですが、決して強制されてそうしたわけじゃありませんよね。彼らはただそうしたかったから自発的にそのような行動を選択したまでです。

この記事の本文中に「権力」という用語が計12回登場しますが、そのうち10回は本来の意味とは異なる誤用で、何の強制力も伴わないただの「影響力」程度の意味で使われているようです。正しいのは「中国共産党が~」の部分に出てくる2回のみ。

会社では、社員たちは、社長の話をありがたがって聞く。なぜなら、社長は自分の人事権を握っているからだ。自分の給与額(≒生活の質)に影響を与える権限を持った人間に逆らえるわけがない。
会社の人事権は「権利」の一種であって「権力」とは違います。人事異動なり給与の額が気に入らなければ辞めるという選択肢があるので、社長と言えども何も強制はできません。

金持ちが直接金を貧乏人に配ると、上記のような形で、金持ちに権力が生まれ、貧乏人は金持ちに逆らえなくなる。
この問題を解決するために、人類は、「金持ち → 貧乏人」という富の分配を、「金持ち → 政府 → 貧乏人」という形にする方式を作り出した。すごいイノベーションである。というか、レボリューションである。
いやいや、全く逆です。政府を間に挟む=権力を介在させるってことでしょ。直接配る分には何の権力も無かったところに、政府などという権力の塊を介在させることが「イノベーション」だ「レボリューション」だと称賛するなんて、倒錯の極みだと思います。

すべては、金持ちに権力があると誤解していることから始まっていると思います。普段何気なく見聞きしている「権力」という言葉が、本当に強制力を伴う概念なのかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。

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