高校生が読むにしてはちょっとわかりにくいし、内容的にも眉唾なところがあるので、あまりお薦めできない本です。
本書で言うところの「まずは自分に投資せよ」とは、
アメリカのパーソナルファイナンスで強調されている「Paying yourself first」の訳らしいのですが、その意味は、
稼いだ所得から、まず最初に自分のために毎月同額のお金をとっておくこと(=貯蓄)に過ぎないようです。ただの貯蓄をあえて強調するあたりが、いかにも消費好きなアメリカ人向けの教えです。
日本人は「自分に投資」というと、普通に自己投資をイメージしてしまうので、ここは素直に「まずは貯蓄せよ」と訳すべきでしたね。
信用格差社会アメリカでは、銀行に当座預金口座すら開けない人が約28%もいて、手数料ぼったくりの小切手換金店などを利用しているそうです。そんな人たちになぜか高額の住宅ローンをファイナンスしてしまったことが、サブプライム問題の元凶です。
インデックスを上回る好成績をあげようとするアクティブ・ファンドは、好成績(パフォーマンス)をいつもあげているとは限らないということです。これはずいぶん控えめな表現ですね。もっと具体的に、インデックスに負けるアクティブ・ファンドの方が多いという事実を伝えるべきでしょう。
投資の3つのルール:
1.早くはじめること(Start early)同意します。
2.投資したお金はそのままにすること(Keep your money invested)
3.多角化・分散化すること(Diversify)
しかし、リターン・リスク・ピラミッドの図の頂点(ハイリスク・ハイリターン)に「絵画」「貴金属」を置いているのが奇妙です。これらはあまりにマイナーですし、そもそも期待リターンがプラスとは言えない代物でしょう。
ほかに腑に落ちなかった点。
投資・・・・・・流動性、リターン(収益)、リスク(損失の危険)という観点から比較可能な金融商品に、自分の資産(お金)を投じること。この定義は変だと思います。
投機・・・・・・流動性が低かったり、リターンが大き過ぎたり、リスクが大き過ぎたりする。
投資と投機の違いについては、こちらに書いてある通り、期待リターンがプラスなら投資、ゼロなら投機、という分類が一番しっくり来ます。では期待リターンがマイナスなら? それは(狭義の)ギャンブルでしょう。
円高でドルを買って円安で売るのがセオリー言うは易しの典型です。
円高のときに日本円で外貨に換金する。
→金利の高い商品で運用する。
→円安のときに日本円に戻す。
為替の動きを読んで為替差益を得ようとするのは投機以外の何物でもありません。
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