2009年12月15日

『勝間和代のお金の学校―サブプライムに負けない金融リテラシー』 1時間目



アマゾンのレビューはボロボロですが、前半を読む限りではそんなに悪くないと思います。

1時間目「世の中の大きな動きの中で金融をとらえる」の先生は竹中平蔵氏。
2時間目のテーマでもある投資信託の話が出てきます。
勝間 信託報酬の引き下げについては、もっともっと規模の利益が必要になりますので、やはり業界全体としてもう少し努力が必要かと思っています。
竹中 業界の努力というのは確かに必要ですね。以前、内閣府でアンケートをとったことがあるのですが、「あなたは証券会社に行ったことがありますか?」という質問に8割の人が「行ったことがない」と答えています。「これから行く気がありますか?」という問いにも8割の人が「行く気がない」そうです。
勝間 騙されると思ってるんですよ(笑)。
竹中 最近はオフィスもきれいにして、ファイナンシャル・プランナーの方もいて、態勢を整えつつありますが、最初の一歩がなかなか踏み出しにくいというのは、いまもあるのでしょうね。
私も証券会社に足を運んだことは数えるほどしかないです。しかも「これから行く気がない」8割の人に含まれます。もう窓口に用はありません。
竹中さんの言う「努力」って意外に古典的というか、完全にアナログ世代をターゲットにしているのがわかりますね。きれいなオフィスもFPもコストを押し上げる要因ですから、信託報酬の引き下げにつながるとは思えないです。

2時間目にも似たような話が出てくるのでついでに引用。
竹川 口座をつくるときまでは、どうしても自分でホームページにアクセスして、入力をして、しかも郵送しないといけないわけです。若い人の場合は、わりとクリアできるんですが、ご年配の方の場合、そこで挫折してしまう方も結構いますね。
勝間 私の周囲の場合、ご年配じゃなくても挫折してます、みんな(笑)。
結局何をしたらいいかわからないし、投資信託が山のようにあって、わからない。それで窓口に行ったら手数料の高い商品しか勧められないという構造になっているのではないでしょうか。
トホホ…。
日本のネット証券にすら自力で口座を開けないような人は、勧められるままに高い手数料を負担してくださいとしか言えないです。きれいなオフィスやFPは、そんな人たちのために証券会社が高いコストをかけて用意するのですから、手数料を安くしろなんてずうずうしいにも程があります。

似たような話ですが、
竹中 じつはこの間テレビのある討論番組に出演したのですが、同じような思いを強くしました。みんな政府の悪口ばっかり言うのですが、最後に、日本にどんな国になってほしいかっていうと、「スウェーデンみたいな国になってほしい」って言うのですよ。
勝間 大きな政府ですか。
竹中 私はびっくりしました。みんな消費税を1%も上げたら嫌だと言いながら、消費税が25%のスウェーデンみたいな国になればいいと言うのです。
この番組、『日本の、これから』 税金編に違いありません。森永卓郎氏らを相手に筋の通った主張をしていた竹中さんに共感しました。

ただ、
竹中 いま、その社会保障の負担が大きいから増税をするというふうに言いますけれども、社会保障は改革の進め方によって、負担が大きく違ってきます。例えば所得が1000万円以上ある高齢者には、年金を渡さなくてもいいじゃないですか。そういう改革をすれば、数兆円の単位で社会保障のコストを減らすことができるのです。
このような詐欺的な手法にはまったく賛成できないです。その理由は、
吊られた男の投資ブログ (一般人の投資生活) : [JAL]やはり企業年金削減当然論は恐怖 - livedoor Blog(ブログ)
に書かれていることと同じです。

竹中 私は、制度を考える場合の基本中の基本は、民主主義社会において「複雑な制度は悪い制度である」ということだと思います。
これは税制の話の中で出てきた言葉ですが、本当に現在の税制ほど悪い制度はないと思いますね。
社会保障制度も然り。

(2時間目に続く)

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