2009年2月3日

『道路の経済学』



乙川さんのブログで紹介されていたのを見て読んでみた本です。

日本の道路行政のお粗末さ、官僚主義の弊害をはっきりと認識しました。
より安くつくるという当たり前のことが、日本の道路建設ではできていないのです。
 道路公団では費用対効果や経済性など顧みず、ムダとわかっている道路もどんどんつくり続け、巨額の借金を作る一方で、天下り機関としてファミリー企業を増殖させ、「公」の名のもとに道路を私物化してきました。

イギリスの民活主義との対比が鮮明で、
・イギリスでは毎年の税収の範囲内で、つまり借入金なしで高速道路を建設
・日本の建設単価はイギリスの6倍~20倍
・借入金の金利コストも含めると60~100倍
・イギリスでは70年代に700万人いた公務員が、49万人に減少した
とのことです。
同じ先進国同士の比較とは思えないほどの差があります。

日本道路公団の民営化は「株式会社」に看板を取り替えただけで、従来通り「官」主導であることに変わりはありません。
そうではなく、財政を立て直すと同時に「官」の独占を排し、民間の力、民間の知恵が活用できるかたちにしてこそ、本当の民営化なのです。

民間に門戸を開くことが必要な理由は、
財政を立て直すと同時に、限られた予算のなかで、民間の活力を導入することによって、より安く質の高いサービスを提供するため
肥大化し、自己目的化した「官」の力を削ぎ、適正なものにする
の二つに尽きます。道路行政に限らず、日本の行政全般に当てはまるでしょう。
 官が権力を行使できるのは、本来、公僕(サーバント)として国民に奉仕するのが役割だからです。それが、一部の業者や族議員のような、声の大きい者のために奉仕している状態になっているのが、今日の道路行政なのではないでしょうか。
まさにその通りですね。
しかし、健全化へ道のりは長く険しいかもしれません。

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