2009年3月24日

『お金を知る技術 殖やす技術』



図書館で4ヶ月待ちだった人気本ですが、ちょっと癖がありすぎるというか、万人にお勧めできる内容ではないと思います。

金融は人を幸せにするための道具に過ぎません。私たちは、その道具をうまく使って「幸せ」を増進させればいいのです。しかし、そのためには金融商品の知識だけでなく、経済や金融のベーシックな知識、さらに自分自身の価値観をしっかり把握することが必要になります。
この基本的な考え方には賛成です。

ところが、いざ具体的な運用方法の話になると、やたらとツッコミどころが多くなってきます。たとえば、
リバランスは、景気の変わり目に行うのが正解です。簡単に図に示しましたが、「デフレ⇔インフレ」、「景気拡大⇔景気後退」などの兆候が現れたときに、金融商品のバランスを変えるのです。この本を読み進めていだたくと分かりますが、景気やインフレ動向によって、適切な金融商品が違うからです。
などと書いてあります。
著者の言う「リバランス」とは、本来の意味とは異なり、ポートフォリオ自体をアクティブに変更することを意味しているようです。この時点で、住む世界が違う人だなという印象を受けました。

このようなタイミング戦略への反論として、この本に書いてあったことを再度引用しておきたいと思います。
「投資家が学ぶべき教訓は明白だ。実質的な経済活動の分析によって株式投資を成功させるのは非常に困難である。経済学者ですら、これに必要な洞察力は持ち合わせていない。景気の転換点は、山であれ谷であれ、数ヶ月先まで判断できない場合が多く、株式市場で行動を起こすにはすでに遅すぎるのである。」

ほかに変だなと思ったところ。
経済の大きな流れを読みながら、(中略)
高度な見極めが必要な商品をリスク資産の中に組み入れていきます。これらの投信は信託報酬などの手数料も高いですが、より高いパフォーマンス(利回り)を期待することができます。
パフォーマンスと手数料に正の相関はないので、手数料の高い投信は避けるのが鉄則でしょう。
分散投資をすることでリスクを分散させながらリターンを高めるのが最良の方法とよくいわれます。たしかに一般論ではそうなのですが、それでは、自分の財産を何十倍にも増やす飛躍的な利回りは得られません。本当に資産を殖やすには、リスクはありますが個別銘柄の株式を長期投資で買うことです。
エクセルで資金過不足表を作るという話の中で、「攻めるお金」の想定利回りを高々10%としていたのに、ここではなぜか「財産を何十倍にも殖やす飛躍的な利回り」を求める話になっており、唐突で一貫性がないと感じました。
良い投信と悪い投信の見分け方は、あくまでも運用実績で判断すべきです。
これは最悪の見分け方だと思われます。

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