結論としては、まずこれが「基本型」。
(一)当座の生活に必要なお金を銀行の普通預金に置く。(二)で全額ではなく一部を株式にして、
(二)残ったお金は、全額内外の株式に投資するETFに、国内株四割、外国株六割の比率で投資する。
(三)大きな支出の必要が生じたら(二)を躊躇なく部分解約してこれに充てる。
(四)リスクを取ることに「気が進まない」お金は個人向け国債又はMRFを購入する。を追加したものが「リスク調整可能型」。
さらに保険に関するルールを追加するとこうなります。
(五)健康保険、国民年金、自動車保険には必ず入る。住む家によっては火災保険にも入る。細かい点で異論はありますけど、普通に合理的かつ柔軟性のある無難な運用ルールに仕上がっていると思います。初心者が何も考えずに著者の言う通りに運用しても、特に問題はなさそうです。
(六)必要がある場合だけネットの生命保険で死亡保障の生命保険(定期保険)に入る。
(七)確定拠出年金は最大限に使う。特に個人型の活用を見逃さない。
その他、共感したことをメモしておきます。
株式や投資信託などは、当初の自分の買値よりも上昇していようが下落していようが、そのときの価格だけに基づいて、自分の買値には無関係に売却の可否を決定することが適切なのだ。心理的には難しいことですが、まったく反論の余地がない正論です。
目下の結論として、民間の保険会社の医療保険には入る必要がない。国民皆保険制度は伊達じゃないです。
はっきりいって、世の中の金融商品の大半が、検討にすら値しない「ダメな商品」なのだ。日本という金融後進国の中では特にその通りだと思います。
銀行というのは、あくまで財布代わりであり、決済をするところであると理解しよう。あえて「銀行を使うコツ」をいうなら、銀行員の顔を見ないで使うのがコツだ。同感です。ネットでできることをわざわざ実店舗の窓口でやる人がいますが、そのコストは自分に跳ね返ってくるということをお忘れなく。
たとえば、○○銀行に1億円預金がある場合と、△△証券でMRFに1億円預けている場合では、どちらのリスクが大きいか。逆だと思っている人が世の中にはまだまだ多いと感じます。
(中略)
金融機関の経営リスクに対する安全度という意味では、MRFの方が銀行預金よりも安全だ。この点は、ぜひ意識改革をしておいてほしいところだ。
外国為替市場を、一言で言えば、「世界最大級のカジノ」だ。これは、大規模で、フェアで、誰でも参加できる偉大なゲームだという意味で褒め言葉でもあるし、ゼロサムゲームの場であって資産運用の場ではない、という意味の両方を込めてそういっている。実に適切な例えだと思います。
要は、人よりもよほどうまく景気を当てられるということがない限り、景気のことを考えて、株式投資のリターンを改善することはできない。同感です。
(一)結論が出るものについては勇気を持って優劣を付けて選択し、しかし、こういう考え方を著者は「大らかな合理主義」と呼んでいますが、私の価値観もこれにかなり近いです。
(二)努力で改善できないものについてはくよくよとこだわらず、
(三)事前の意思決定としておおむねベストならそれでいいではないか、
という本書の基本思想は、お金の運用ばかりでなく、人生全般を快適にするためにも役に立つ心の持ち方ではないかと著者は思っています。
次は、いまいち腑に落ちなかったこと。
高齢者は持っている資産の割にライアビリティが小さいからリスクを取ることができる場合が多い。確かにその通りなんですが、「リスクを取ることができる」か否かと、「リスクを取ることが合理的である」か否かは別ではないかと。余命の少ない高齢者の場合、後者は成り立たない、つまり、何のためにリスクを取ってハイリターンを狙うのだろうか疑問に思いました。
投資できるお金が相当額あれば、一気に投資してしまう方が、機会損失が小さいし、手数料も少なくてすむ。投資をする場合に、資金を分割して投資タイミングをずらずことに「時間分散の効果がある」などという人がいるが、これは合理的ではないので注意しよう。著者はドルコスト平均法の有効性についても否定していますが、たとえば2007年9月あたりに一気に投資してしまったケースなどを「機会損失を最小化して期待リターンを最大化するベストな方法だったが、たまたま運が悪かっただけ。」という説明で片付けてしまっていいものかどうか・・・。「時間分散が合理的でない」という詳しい根拠を知りたいところです。
0 件のコメント:
コメントを投稿