2008年11月16日

『いま債券投資が面白い!』



たとえば「貯蓄から投資へ」と言われる場合の「投資」とは株式投資を意味することが多く、リスクやリターンが預金と株式の中間に位置する債券投資をイメージする人は非常に少ないのではないでしょうか。本書は、そういうマイナーな投資対象にスポットライトを当てる希少な本であることは確かです。

株式という資産クラスのリスクの高さが予想以上だったり、自己のリスク許容度が意外に低いと感じるときは、ポートフォリオのリスクを下げる必要がありますが、必要以上の安全資産(現金や預金)を抱えるよりも、それが余裕資金である限りは債券クラスの割合を増やすほうが良いと思います。年齢やリスク許容度によってはポートフォリオの中心が債券になる場合もありますし、債券投資の知識を補っておいて損はないでしょう。

しかし本書で残念なのは、株式市場や金利の動向を見極めて、あるときは株式を売って債券を買い、またあるときはその逆を行うというような、アクティブな運用で超過リターンを狙うことを勧めており、アセットアロケーションの一環としての債券保有という最もオーソドックスな話がまったく出てこないことです。現在の株価が割高か割安か、これから金利が上昇するのか下落するのかが読めるという前提で話をするので、それができるなら誰も苦労しませんよと、読みながら何度ツッコミを入れたかわかりません。(笑)

また、債券投資の具体的な方法については知れば知るほど、日本の債券投資環境の悪さが目立ってきます。たとえば外国債券に直接投資したい場合は、野村や大和などの大手証券会社に口座を開設して、年間3,000円以上の口座管理料を負担する必要があります。債券は市場取引ではなく証券会社との取引になるので、売りと買いのスプレッドによって負担する手数料も不透明になりがちです。

では直接投資ではなく投信による間接投資はどうかと言えば、悪名高きグロソブを筆頭に、異常に高コストなものが幅をきかせているのが現状です。

2 件のコメント:

  1. 皮肉な事に、投資環境の悪さが今の日本の「投資戦不戦勝」を作ったとも言えます。
    まさに禍福はあざなえる縄の如し、というところでしょうか。

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  2. 野村證券は
    「電子メールによる書面の電子交付サービス」により口座管理料は無料となります。
    UFJも無料らしいです。

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