2008年7月7日

『エコロジストのための経済学』 を読んで



環境問題と聞けば倫理やモラルの問題と思われがちですが、実はそうではなく、「環境問題は経済問題である」というシンプルな考え方をわかりやすく解説した良書です。環境問題について考えながら、経済学の基礎(コモンズの理論、ゲーム理論、ケインズ理論など)も面白く学ぶことができました。

ただ、経済問題であることがわかったから解決方法がわかるのかと言えばそんなことはなく、むしろ解決を困難にするようです。頭の良い経済学者たちが必死で考えても容易には答の出ない難しい領域であるという認識を強くしました。

経済学の話ではないのですが、地球温暖化の原因について現在正しいと信じられていることも、観測期間の短かさが災いして、統計学的に見て過誤の可能性が十分にある、すなわち「二酸化炭素の排出量を減らせば温暖化を防止できる」という因果関係自体が、それほど確実なことでもないことがわかり、意外だなと感じました。

だからといって何もしなくて良いわけでもなく、このような不確実性の下での意思決定理論として「サベージ基準」を採用すれば、とりあえず二酸化炭素の排出を抑制する行動を選択するほうが正しいということも、きちんと説明されています。

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